上腕二頭筋長頭腱炎に対する徒手的検査のひとつとして“Yergason’s test”があげられます。
本記事では、このYergason’s testの目的や方法、診断学的有用性について解説します。
想定読者としては…
- 作業療法士(整形領域)
- 理学療法士
- 柔道整復師
…としています。
目次
Yergason’s testとは?
Yergason’s testとは、
上腕二頭筋長頭腱炎の評価
…を目的とした徒手検査法になります。
Yergason’s testの検査方法
ここではYergason’s testの検査方法について解説します。
検査の流れとしては次の通りになります。
- 立位or座位で検査肢位(肘関節90度屈曲位、前腕回内位)にする
- 手関節部を把持しながら被験者の前腕回外運動を指示し、検者は抵抗を加える
- 結節間溝部に限局した痛みの有無を確認する
以下に詳しく解説します。
1.立位or座位で検査肢位(肘関節90度屈曲位、前腕回内位)にする
被験者は立位or座位で上肢は体側に沿わせたまま…
- 肘関節90度屈曲位
- 前腕回内位
…にします。
2.手関節部を把持しながら被験者の前腕回外運動を指示し、検者は抵抗を加える
検者は前方に立ち、手関節部を把持しながら被験者に前腕を回外するように指示をだし、それに抵抗します。
3.結節間溝部に限局した痛みの有無を確認する
結節間溝部に限局した痛みを訴えれば陽性とします。
Yergason’s testの診断学的有用性
Yergason’s testにおける診断学的有用性については次の通りになります。
著者 | 信頼性 | 感度 | 特異度 | 陽性尤度比 | 陰性尤度比 |
---|---|---|---|---|---|
Micheroli R,et al(2015) | Kappa=0.19 | 32 | 88 | 2.67 | 0.77 |
Lasbleiz S,et al(2014) | NR | 66.7 | 81.8 | 3.7 | 0.41 |
Ostor AJ,et al(2014) | kappa=0.28 | NR | NR | NA | NA |
NR:報告なし NA:該当なし
まとめ
本記事では、Yergason’s testについて解説しました。
Yergason’s testは…
- 上腕二頭筋長頭腱炎の徒手検査に用いられる
- 結節間溝部に限局した痛みがある場合は陽性
作業療法士は語りたい!
上腕二頭筋の長頭腱は比較的強いストレスがかかる部位であることから、障害を受けやすいとされているね!
肩を捻じる動作を頻繁にしたり、腕を引っ張る動作を極端にしたりすると起こりやすいですからね…。