職業・産業リハ

作業療法士が中途障害者の職場復帰、復職に関してできる事を考えた

 

職場復帰や復職、もしくは就労といった社会参加を目標にしているクライアントは、その目標達成に至るまではもちろん、その就労生活を長く維持していくための工夫や配慮が必要です。
このクライアントの社会生活維持のために、作業療法士ができることはどのようなものがあるのか、考えてみました。

作業療法士が職場復帰、復職に関してできること

では職場復帰や復職、就労に関して作業療法士ができることをいくつか列挙してみます。
ちなみに今回対象は脳卒中といった身体障害領域の中途障害を有したクライアント…とイメージしていますが、俯瞰的な視点からみれば汎用的に扱える項目になるかと思います。

①障害特性からの現状と課題の把握



なによりもまずはクライアントの「現状」について医学的な視点から客観的に把握することが必要ですし、作業療法士にとってはこれが可能だと考えられます。
クライアントの現状把握のための評価は様々ですので、ここで詳細については言及しませんが、復職や就労に向けて必要な要素を評価し、顕在化することで“課題”として抽出することができます。
もちろんこの場合は一方的なものではなくクライアントを中心としたものでないといけませんし、共通理解が取れるように配慮する必要もあります。

②残存能力の開発



医学的リハビリテーション、医学的モデルの視点からすれば、障害の改善、治療的介入を優先させるのかもしれませんが、職業リハビリにおいてはむしろ「どのように就労生活へ適応させるか?」という「治療<適応」のような発想が重要視されると思います。これは作業療法士の代償的アプローチを基礎とするものだと思います。
どのような能力が残存しているのか、本人に負担なく、かつ意欲的にその能力を“生かす”ことができないのか?という視点からのアプローチが必要です。

③予後予測



長く就労生活を維持していくためには、やはり障害特性を踏まえたうえでの「予後予測」も必要になってきます。
クライアント自身はもちろん、雇用する事業主(企業)とともに、この障害特性を踏まえたうえでの予後予測への理解を促すことで、リスクヘッジにもつながっていくと考えられます。
この部分を考えると、定期的かつ長期的なフォロー、関わりが必要になってくるので、『作業療法士による職業リハ、復職支援の現状と課題』でも触れたように制度的な課題解決をしないといけないかもしれません。

④作業分析



作業分析って聞くと、作業療法士にとってはAMPSに代表するようにADLやAPDLに限定的なイメージですが、それって非常にもったいないと思うんです。
産業界での作業分析について調べると、サーブリッグ分析MODAPTSといった「いかに効率よくその作業を行うか?」という分析学が非常に多くありますし、一般化しています。
この手法をもっと作業療法士が実用的に利用することで、復職や就労支援の一つとして役立たせることができるんだと思うんです。

⑤精神、心理面への支援



フィジカル面、動作、活動面への支援のみならず、作業療法士の強みとしては精神、心理面へも介入できる点があげられます。
職業リハビリにおいての精神、心理面への支援で代表的な項目としては「うつ病」があげられますが、その他にも「働くこと」「働き続ける事」に対してのモチベーションの維持と向上や、ストレスへの対処の方法、仕事に対しての自分の心構え(マインドセット)といったものにまで拡大して支援することができます。

⑥環境調整



就労生活を過ごすための環境も、人的環境、物的環境があります。
人的環境は主に上司、同僚、取引先、顧客や家族との“人間関係”、物的環境はその仕事(作業)を行う“現場”になります。
復職、職場復帰、そして長い就労生活の維持を行うためには、本人の努力だけでは難しい部分があります。
これらの環境の整備をコンサルテーション的に行うことは作業療法士にとって得意な項目ではないでしょうか?

まとめ

こうしてまとめてみると、復職や職場復帰、就労に関して作業療法士が支援できる項目って非常に多くあるんだと思うんです。
でもこれらの項目って別に職業リハビリとは別の領域でも同じことなんですよね。
ただその視点のベクトルが「勤労」という部分に向いているというだけなんです。
そう考えると、どんな領域で活躍している作業療法士にもこれらの項目は持ち合わせているので、少しそのベクトルを変えるだけですぐに就労支援につなげることができるはずなんです。
「知識や経験がないからできない」ではなく、すでに自分のなかに持ち合わせているということに“気づく”ことが作業療法士としてできることを増やすことにつながるんだと思うんです!

作業療法士は語りたい!

どうしても“就労支援”っていうと新しく何かを覚える、身に着ける…に意識が向きがちかもしれないけど、
むしろ大前提としていままでの経験から身に着けていた能力や知識に“気づく”ということの方が重要なのかもしれないね。
脳卒中などの中途障害を有する人にとっては、なおさらこの“気づく”ということが重要視されますね!
そういった意味でも、その人が持つ残存能力をいかに発揮できるように支援するか?って言う部分に、
作業療法士が関わっていくのかもしれないね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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