クライアントの生活を支援する手法としての作業療法においての“作業”についてですが、改めて考えると幅が広く捉えにくい印象もあります。
そこで今回は作業=目的活動という観点で考えてみたいと思います。

“作業”の定義について



作業療法の哲学的基礎(AOTA,1979)では、
「作業」=目的活動
として作業療法の本質である“作業”を用いる根拠を示しています。

目的活動について



では、この目的活動とはどのようなものになるのでしょうか?
アメリカの作業療法士協会による公式見解からすると、目的活動とは、
①治療目的があることが目的活動の必要十分条件ではなく、行為者自身にとって行う意味が明確な活動で、
②その活動には到達目標があり、行為者はその目標に向かって作業をすすめる
③行為者は主体的(能動的)にこの活動に関わる
④このような活動に従事することで、行為者は心身のすべての系を統合的に使用し、環境(物理的、人的)と自己に対して適応という作用を生じさせる
…とあります。

つまり、定義として簡潔にまとめると、

①目標思考的活動であること
②能動的参加であること
③治療目的以外の有用性、有意義性を含むこと
④行為者本人だけでなく、環境にも影響を及ぼし、適応過程を含むこと
とされます。

例で言えば、畑仕事をしていたクライアントに園芸の作業提供をするのは、上肢筋力向上や耐久性向上、悪路での歩行能力向上といったフィジカル面、季節感を感じる、外にでて気分転換を図る…といったメンタル面だけでなく、「園芸作業で摘んだ花を近所の人に分け、交流を図る」といった社会活動、社会参加的な側面にまで適応できるような作業療法プロセスを導くことも作業療法士にとって重要なこと…と解釈できます。

作業療法の目標に社会参加を加える必要性について



突き詰めて行けば、クライアントへ作業療法サービスを提供する目的って「機能改善」ではないことがわかります。
上肢の可動域が拡大した、筋力が向上した、痛みが改善した…っていうのはあくまで通過点であり、その先の「社会参加」のために必要な“要素”的な意味合いでしかないと考えます。
もちろんその社会参加の形は復職や就労をはじめ様々な形があります。
ただし、作業療法士が提供する作業や活動課題のどれをとっても、そのクライアントに合った社会参加に繋がるような提供の仕方を意識しないと「クライアント中心」とは言えなくなってしまうのではないでしょうか?

まとめ

作業療法士にとっての“作業”って身近にあるが故に無意識使用しているので、しっかりと言語化して理解しておく必要があるんですよね。
作業=目的活動としての定義や見解を知っておくと、提供する作業活動の内容にも深みが増してくる…のかもしれません!

作業療法士は語りたい!

なんとなくですが、作業を提供して支援することってあらゆる面で一方向では成り立たない気がするんですよね!
クライアント自身の内でもそうだし、取り巻く環境に対しても相互的に作用しあっているとみたほうがいいかもしれないよね!
そういった意味では作業療法に関わるものは“円環の構造”を基礎に考えるとスムーズなのかもしれませんね!
作業療法の対象を“生活”や“社会”を含めて考えた場合は、そのほうがしっくりくるだろうね!
sponsored Link