福祉用具

福祉用具やICT機器を導入する際のポイントをまとめてみた!(運動障害編)

 

福祉用具やICT機器をリハビリテーションの臨床や現場に導入する際、明確な目的を見据えたうえで導入しないと作業療法士側とクライアント側での温度差ができてしまいます。
そこで今回は『福祉用具やICT機器を導入する際ポイント』についてまとめてみました!
ちなみに、今回は運動障害に特化しています!

運動障害と福祉用具、ICT機器

運動障害といってもその疾患によって様々な症状があると思います。
そこで、以下には運動障害における代表的な症状別に、福祉用具やICT機器の導入ポイントについてまとめてみました!

筋力低下



運動麻痺や筋障害による生じる随意運動遂行能力の低下・消失した状態を“筋力低下”と表しますが、福祉用具ICT機器がこの筋力低下を補完するためには、
①自重の軽減
②動作圧の軽減
という点にあります。

①自重の軽減

筋力低下の症状を補うための福祉用具として代表的なのは“ポータブルスプリングバランサー(PSB)”があげられます。
上肢の筋力低下によって目的物のところまでリーチができない、といった状況にはこのPSBを使用することで手の届く範囲を拡大することができます。

②動作圧の軽減


様々な機器を操作するスイッチの動作圧が強い場合は、筋力低下を引き起こしているクライアントにとっては操作が困難になることがあります。
なるべく操作負担が少なくなるように、スイッチの動作圧を軽減させる工夫(スイッチの種類の選定や操作方法のカスタマイズetc)を含めた環境調整が必要になってきます。

運動失調・不随意運動



筋力低下や感覚障害がないにも関わらず、随意運動遂行時に働く筋群の間に協調性が失われ、そのために運動が円滑に進まずばらばらに分解された状態になることを“運動失調”、自分の意思とは別に身体が動いてしまう異常運動の症状を“不随意運動”と表現します。
この運動失調や不随意運動の症状を福祉機器やICT機器によって補完するためには、
①運動範囲の限局化
②操作対象物の範囲拡大
③低レイテンシー設定
…があげられます。

①運動範囲の限局化



運動失調や不随意運動によってピンポイントの操作が難しく、パソコンのキーボード操作の際に他のキーにも触れてしまいスムーズにタイピングができない…なんて場合には、“キーガード”といった“運動範囲の限局化”を可能にする機器を導入することが必要になります。
運動失調や不随意運動という症状を“軽減する”というよりはその症状が残存していても問題ないような環境設定をする…という視点の介入といえます。

②操作対象物の範囲拡大



ピンポイントの操作が困難な運動失調や不随意運動の場合、例えばスイッチを大きなものに変更するといった“操作対象物の範囲拡大”という措置をとるだけでも操作がスムーズになることがあります。

③低レイテンシー設定

パソコンのキーボードを打つ際に、運動失調や不随意運動の症状があると不随意的にキーを連打してしまい上手くタイピングできない…なんて場合があります。
その際はコンピュータアクセシビリティ機能の“フィルタキー”といった操作に対しての反応設定(レイテンシー設定)という環境調整をすることで解決できる場合があります。
関連記事:不随意運動でうまくタイピングできない時にはWindowsのフィルタキーがおすすめ!

筋緊張亢進



脳卒中後遺症で良くみられる筋緊張の亢進(痙性)やパーキンソン病の主症状の一つである固縮などが“筋緊張亢進”としてあげられます。
この場合は、
①身体的、精神的な過剰努力を必要としない環境設定
②操作に必要な運動範囲の狭小化
…などがあげられます。

①身体的、精神的な過剰努力を必要としない環境設定



機器の操作が複雑であったり、操作するのに姿勢保持が困難な場合は、余計な筋緊張亢進を招いてしまいます。
この場合“機器操作の困難さ”につながるだけでなく、長期的にみると痛みや動作能力の低下を招く危険性があります。
クライアント自身が身体的にも、精神的にも過剰な努力をしないで済む環境設定が必要です。

②操作に必要な運動範囲の狭小化



前述した“過剰努力を招かないような環境設定”につながることになりますが、操作に必要な運動範囲を小さくすることも負担を減らすという観点からは重要なことと言えます。
例で言えば、手の中の単純操作なスイッチだけで完結できるような工夫があげられます。

感覚異常



視覚、聴覚、触覚、固有需要覚といった“感覚”が減弱、消失した状態を“感覚障害”、“感覚異常”として表します。
外部の刺激がなくても“ジンジンする”といった異常知覚や、冷たさを鋭い痛みとして感じてしまう錯感覚なども感覚障害として扱われます。
この場合は、
①感覚異常でも操作しやすい接触環境設定
②操作に対してのフィードバック機能設定
…が必要になります。

①感覚異常でも操作しやすい接触環境設定



触覚鈍麻の場合は操作対象物に触れる接触面、視覚障害の場合は目に入りやすくする位置や色、大きさ…といった、クライアントの障害された感覚でも捉えやすくなるような“接触環境”の設定が必要といえます。

②操作に対してのフィードバック機能設定



感覚障害を有するクライアントの場合、操作したことに対してのフィードバックが得にくいことが機器操作の困難さを招く場合があります。
スイッチを押すと音が鳴る、機器を操作すると光る…といった別の感覚へのフィードバックが起こるような環境調整が必要と言えます。

まとめ

今回は運動障害において代表的な各症状別に、福祉機器やICT機器によって補完するためのポイントやコツを少し俯瞰的な視点からまとめてみました!
また例としてあげたものはあくまで一例ですが、その一例から必要な要素抽出をすることは他の事例にも応用が利くことになるんだと思います。
作業療法士にとっては一つの現象に捉われず、幅広い視点で福祉用具やICT機器を導入すると、クライアントの生活改善につながりやすくなるはずです!

作業療法士は語りたい!

あくまで認知面、精神面、高次脳機能面に問題がない“運動機能障害”だけに対しての福祉用具、ICT機器の導入の場合、
“汎用性が高い”という点も重要なんだと思うんだ。
スマートフォンやタブレットといった、一つのデバイスで多機能が搭載されているようなものが非常に汎用性が高い福祉機器、ICT機器といえますよね!
その観点からも、作業療法士はもっとそういうテクノロジーに触れることが重要かもしれないね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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