統合失調症だけど、なんとか就職して働きたい、自分のペースで仕事をしたいと悩んでいる人。

がんばっていても理解されない。
どうがんばっていいのかもわからない。
そんな状態になっていませんか?

本記事では、リハビリテーションのセラピストである作業療法士が、統合失調症の方の就労支援や、身につけるべき能力などについて解説します。



統合失調症の就労問題を考える

統合失調症の方の就職や仕事をする上での問題を考える前に、まず統合失調症について“知識”としておさらいしてみます。

統合失調症とは?

統合失調症とは、思考、知覚、感情、言語、自己の感覚、および行動における他者との歪みによって特徴付けられる症状を持つ精神障害の一つです。

症状について

統合失調症の症状についてですが、大きく分けると次の3つになります。

  • 陽性症状:幻覚や幻聴、妄想など
  • 陰性症状:意欲の低下やうつ状態
  • 認知機能障害:臨機応変な対応をとりにくい

発症の原因について

統合失調症の発症の原因ははっきりとは解明されていませんが、脳の機能的・器質的変化、病前性格、環境因子、遺伝的素因などいくつかの仮説が考えられています。

有病率について

統合失調症の有病率は人口の約0.85%(120人に1人)です。
この統計からみると、日本では約100万人前後という計算になります。

合併症について

統合失調症の合併症で、特に多いのは抑うつと薬物乱用と言われています。
また、少なくとも25%は常時抑うつの状態であること、米国ではアルコール依存が30%以上、麻薬25%以上、喫煙率は50%以上というデータもあります。

医学の進歩により回復しやすくなってきている

そうはいっても、統合失調症は現在では、薬物療法や心理社会的リハビリテーションの進歩により、日常生活に支障をきたさない程度に回復する人が増えています。
加えて、インターネットなど様々な情報収集もできる環境になったことから、早期発見や早期治療に至るケースも増えてきているようです。

実際に、日常生活や社会生活に多いな視唱をきたす人たちは全体の1/4以下に過ぎません。
つまりこのことからも、働くことも含めた社会生活を楽しむ人が増えてきていることがわかります。

統合失調症の仕事での悩み(身体的、精神的、人間関係)

統合失調症の場合、日常生活はなんとか上手く過ごすことができても、就職や仕事となると非常に“働きづらさ”を感じてしまうようです。

主な理由としてですが、統合失調症の場合、注意や関心の幅が狭く、全体に注意を分配することが非常に難しく、苦手ということがあげられます。
そのため、状況に合わせてたくさんの情報の中から自分にとって今の段階で最も重要な情報を選択し、統合していく能力に問題が生じます。

具体的に3つにまとめると、仕事をするにあたって次のような問題が生じやすくなります。

  • 何事にも敏感で、周囲に気を使いすぎてしまう
  • 気分や症状に波がある
  • 応用が利きにくい

以下に詳しく解説します。

何事にも敏感で、周囲に気を使いすぎてしまう

この周囲の反応や言動に対して非常に敏感になってしまうことは、統合失調症の脳の神経伝達物質の過剰な分泌によるものです。
つまり、脳の情報を整理する機能が混乱し、不安をキャッチする機能が敏感になりすぎてしまうことが原因です。
その結果「自分に危害を加えようとする人がいるんじゃないか?」「自分が何か失敗して迷惑をかけてしまうのではないか?」と周囲の刺激に過剰に神経が反応してしまい、幻覚や幻聴、妄想に発展してしまうというメカニズムになっています。
このような状態では、仕事をするにしても常に気を張っていなきゃいけませんし、いつもならできることもできなくなってしまい、余計に自己嫌悪に陥ってしまいます。

気分や症状に波がある

統合失調症の症状は良くなる日もあれば、逆に悪化する日もあるので、非常に波がある場合が多いとされています。
この不安定な症状によって、入退院を繰り返したり、毎日継続して働くということが困難になってしまいます。
それだけではなく、調子が良い時と悪い時とのギャップが激しいことから、職場でも適切な対人関係をとることも難しくなってしまい孤立しがちな場合が多いようです。
その結果、ますます自信を失っていってしまい、働き続けることが難しくなってしまいます。

応用が利きにくい

統合失調症の人は、ある環境ではその作業や仕事はこなせても、環境が変わった途端に能力を発揮できなくなることがあります。
多くの統合失調症の人が実際仕事をしても「入院中はうまくできていたのに…」「デイケアでは問題なかったのに…」と述べています。
この背景には、周囲からのプレッシャーと本人のモチベーションが大きく関わってきます。
どんな人でも慣れている環境では問題なくても、不安が強くなったり自信がなくなったりすればたちまち能力が発揮できなくなってしまいます。
統合失調症の人はこの傾向が強いという特徴があるため、この部分で仕事で支障をきたすケースが多いように感じます。

どんな業種でも、仕事は成果を求められることから、スピードと正確性、そして効率性を求められます。
言語記憶、実行機能、注意持続などの認知機能の障害が背景にある統合失調症にとっては、非常に苦手なことを求められることになります。

統合失調症の就労の現状、統計から

統合失調症を発症しやすい年齢や時期についてですが、実は70~80%が思春期から30歳までに発症することが分かっています。
このことから、発病前に就労経験がなかったり、あるいはあったとしても短期間である場合が多く、病気そのものの前に社会人としても未熟である場合が多い傾向にあります。

2009年の統合失調症の就業率のデータをみると、実際に仕事をしている統合失調症の人は全体の15%程度という報告もあります。

症状や特徴だけでなく、発症するタイミングなどもこの就業率の低さにつながっていると考えられます。

統合失調症が就職するのに必要な6つの能力とは?

様々な理由から働きにくさ、仕事のしづらさを感じやすい統合失調症の人にとって、
就職し、仕事をしつづけられるようにするためにはどのような能力が必要なのでしょうか?

仕事をする上で重要な能力を次の6つにまとめました。

  • 人との距離の取り方
  • 人への頼り方
  • 自分の気持ちや考えの伝え方
  • 自分を客観的に見るコツ
  • 物事の捉え方のコツ
  • 生活習慣
  • 情報収集能力

以下に詳しく解説します。

人との距離の取り方

統合失調症の人は非常に人との距離の取り方、関係の作り方が苦手です。
症状が軽い時は近づきすぎて、症状が悪化しているときはそっけなかったり愛想がなかったりと距離が遠くなるというのが頻繁にあります。

距離の取り方が極端で、丁度良い距離を見極め保つことが難しいと感じることが多いようです。

人への頼り方

不安や緊張が強いためなかなか他人に心を許し頼るということが難しい場合があります。

日常生活ではなんでも自分でできていても、いざ仕事となると限界があります。

自分の知らないこと、苦手なことは人に頼り、できる限り大きな失敗を避ける工夫が必要です。
また、この頼ること自体も苦手なことと、頼ったとしても頼り方が適切でない場合とがあるので注意が必要です。

自分の気持ちや考えの伝え方

統合失調症の人はなかなか自分の気持ちや考えをまとめて、人に伝えるということが苦手な場合が多くあります。

この理由としては、興味や関心の範囲が狭いという傾向だったり、不安や緊張で上手く頭が働かない…という状態だったりと様々です。
その結果仕事では自分の意見を言えず、ただ頷くだけ、人の言うことを聞くだけで精一杯…なんて状況になりがちです。

ただ自分の気持ちや考えを伝える事って、実はテクニックでカバーできる部分なので、その方法さえ学んでしまえば意外にクリアできる課題だったりもします。

自分を客観的に見るコツ

統合失調症の人は、自分自信を客観的に捉えにくいという傾向があります。
つまり自分の特徴や強み、弱みがわからなくなるということになります。

どうしても成功体験が少なかったり、人間関係で失敗が多かったりすると「自分はダメなやつ」「何もできない」というように自分自身をネガティブなイメージでみてしまいます。

自分を客観的に見るコツというものを知っておくことは、自分の強み、弱みをはっきりと捉えることになり、仕事をする上でどの部分に自分は前にでて、どの部分に自分は少し控えめにするか?といったような自分を売り込むコツに繋げることができます。

物事の捉え方のコツ

不安や緊張が強い特徴から、非常に失敗することに対して過度な恐怖を抱いていることがほとんどのようです。
失敗することを怖がり過ぎて行動に移せないことだけでなく、「一度の失敗=人生の破滅」のような極端な捉え方をしてしまいがちでもあります。

仕事をし続ける事は、大なり小なり必ず失敗することで成り立ちます。
それを成長の機会と捉えられるような、捉え方のコツが重要だったりします。

情報収集能力

現代の世の中では非常に様々な職種、働き方があります。
あまりにもたくさん選択肢があると「どれが自分にとって適切な仕事(職場)なのか?」わからなくなってしまいます。

自分の性格や病気の特徴について客観的な理解を得た上で、自分にとって必要な情報のみを収集し、優先順位をつけて選らんでいくという能力も、仕事をするうえでは重要になってきます。

この情報収集能力を身につけることは、自分にとって必要な情報を選べるようになることとも言えます。

仕事に必要な能力を身につける方法

では、就職をし、長く仕事をしつづけるための上記の能力を得るためにはどのような方法があるのでしょうか?

  • 独学でがんばる
  • 障害者職業センターを利用する

まずは大きくわけてこの2つに絞って考えてみます。

独学でがんばる

人との関係を築きにくかったり、外にでることが億劫な場合、まず思いつくのが一人で勉強する「独学」です。
いまは様々な通信教材もありますし、インターネットやYoutubeなどで働き方や人との付き合い方などの情報を学ぶことができます。

しかし、問題なのはあくまでそれらの方法は一方的であるということです。

統合失調症である自分自身の性格や特徴、いままでの生活や背景、周囲の人間との関係といった個人の要素にまでは触れないため、非常に一方通行であり、悪く言えば「どんな人にでも共通して利用できる知識」でしかありません。

また集中力や生活習慣など、自分ひとりではなかなか身につきにくい部分はそのまま…なんて状況にもなり得ます。

障害者職業センターを利用する

都道府県に1つはある「障害者職業センター」は、国の事業として行っているため基本的には無料で就職の相談やアドバイス、能力のためのトレーニングを受けることができます。

メリットとしてはやはり無料であること、独学とは違い障害者職業カウンセラーやジョブコーチといった専門家が就職や職場への定着までの支援をしてくれることなどがあげられます。

しかし期間が決まっていることや、障害者手帳が必須なこと、多少システマチックで融通が利かないこと…などのデメリットもあるので注意が必要です。

就労移行支援事業所という選択肢

もう一つの選択肢としては、就労移行支援事業所を利用するということです。

民間で行っている就労支援サービスの事業であることから、障害者職業センターと比較すると建物が新しくきれいだったり、様々な支援プログラムが準備されていることなどがメリットとしてあげられます。
もちろん就職や企業に関する新しい情報も集まりやすいという点では利用する選択肢の一つとして考えてみる価値はあります。

統合失調専門の就労移行支援サービス

“リドアーズ”という就労移行支援サービスは障害をもつ人の就職や転職のサポート事業をしている株式会社General Partnersが運営している就労移行支援事業所です。
他の就労移行支援事業所とこのリドアーズとの違いは、なにより「統合失調症専門」という点にあります。

就職をするために就労移行支援事業所を利用するメリットの一つとして、当事者同士だからこそ理解できる悩みや苦しみ、いわゆる「あるある」ってものを共有することができることがあげられます。
ただし多くの就労移行支援事業所には様々な疾患や障害を持つ人が利用するため、どうしても共有するという点では温度差や違いが生まれてしまうのがデメリットでもありました。

その点、このリドアーズでは利用の対象者を統合失調症のみにしていることからも、利用する価値は高いと作業療法士の視点からみても思います。

まずは見学をすることをおすすめします

なにはともあれ、どんな就労移行支援事業所でも、一度は見学をすることをおすすめします。
実際の事業所の雰囲気や自分に合っているかどうかを自分の目で確認することって必要なことですからね!

»統合失調症専門の就労支援サービス【リドアーズ】

まとめ

統合失調症の就労をテーマにした本記事をまとめると下記になります。

  • 統合失調症について知識として知ることは重要
  • そして仕事をするうえでの悩みについて改めて理解する
  • その上でしっかりと働くことに必要な6つの能力を身につける
  • 独学でも可能だけどやっぱり何かしらの就労支援を利用する方がメリットがある
  • 統合失調症専門の就労支援サービスも選択肢にいれる

ざっくりとすれば上記のとおりですね。

悩みや不安を共有するという点でも、リドアーズ
をまずは見学してみるといいかもしれませんね!

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