男性独自の整容動作としては“髭剃り”があげられます。
ほとんどの男性は頻度の違いこそあれ、習慣として髭剃りを行っていると思います。
そこで今回はこの髭剃りの目的や必要な機能についてまとめました。
目次
髭剃りの目的について
では整容動作である“髭剃り”はどのような目的で行われるのでしょうか?
主な目的としては次のようなものがあげられます。
- 衛生保持のため
- 清潔な印象を持たせるため
以下にそれぞれ少し詳しく考えてみます。
衛生保持のため
男性の髭でも、長く伸ばした髭は非常に不衛生であることが微生物学の研究によってわかっています。
アゴ髭も口ヒゲも口腔の近くにあること、髭剃りをした際皮膚が傷ついていることから、不衛生な状態のままでは感染の危険性も高くなります。
清潔な印象を持たせるため
不精髭や伸ばしっぱなしの髭は非常に不潔にみられます。
もちろん上述したように実際に不衛生な状態であることも多いのですが、さらにこの髭に潜んでいる菌によって臭く匂う場合もあるようです。
社会的交流をスムーズに行う場合、この不潔な印象は非常にマイナスになってしまいます。
髭剃り動作に必要な機能について
では実際に髭剃り動作を行う際必要な機能や能力とはどのようなものになるのでしょうか?
髭剃りの方法がT字カミソリでも電気シェーバーでも、次のような機能があげられます。
- 関節可動域
- 筋力(握力・ピンチ力)
- 感覚機能
- 姿勢保持能力
- 手の巧緻機能
関節可動域
実際に髭を剃る際にカミソリや電気シェーバーを把持したまま口髭やアゴ髭が生えている部位までリーチする必要があります。
そのリーチ動作を確保するための十分な肩関節、肘関節、手関節の関節可動域が必要になります。
筋力(握力・ピンチ力)
T字カミソリの場合はカミソリ自体比較的軽量ですのでそれほど大きなピンチ力は求められませんが、T字カミソリを把持したまま髭のある部位までリーチし、上肢を空間保持したうえで髭剃り動作を行うための筋力が求められます。
また、電気シャーバーの際はそれなりの重量があるため、さらに強い筋力が求められます。
感覚機能
髭剃り動作は一般的には鏡を見ながら行うため目で確認しながら遂行しますが、鏡にはうつりにくい部位を剃る際や、剃り残しの確認のためには感覚によるフィードバックが必要になります。
仮に感覚障害を呈したクライアントが髭剃りを行うと、剃り残しやカミソリによる怪我を起こすことがあります。
姿勢保持能力
髭剃り動作は座位姿勢、もしくは立位姿勢で行うのが一般的です。
洗面台の前で髭剃り動作を行う場合はさらに鏡で確認しながら行うので顔の位置や方向を変えた状態でカミソリやシェーバー操作ができるような姿勢を保持できる能力が求められます。
手の巧緻機能・物品操作機能
髭剃りの方法がT字カミソリでも電気シェーバーでも、髭の生えている場所や生えている方向、アゴの形に合わせた操作が必要になります。
きちんと髭剃りを行えて、さらに怪我をしないようにするためには手の巧緻機能・物品操作機能が求められます。
まとめ
男性はほぼ毎日行っている髭剃りですが、障害を有したクライアントにとっては困難な整容動作とも言えます。
作業療法士はこの髭剃り動作の目的や必要な機能についての知識を把握したうえで、評価や訓練につなげていく必要があります。