社会参加

TOKIO山口達也さんの事件から、“社会復帰”について作業療法士が考えてみた。

 

TOKIOの山口達也さんの今回の騒動をニュースでみて、もちろん被害者の方のお気持ちや今後についても考えなければなりませんが、加害者である山口達也さん自身の今後の“社会復帰”をするとしたらどのような形があるのでしょうか?
リハビリテーションを通して“社会参加”に関わっている作業療法士としては、少し気になったので考えてみました。

そもそも“社会復帰”とは?


社会復帰(しゃかいふっき)とは、軍隊・刑務所・病院・寺院など、一般社会から離れて生活していた者が、再度一般社会に参加することを指す。職業訓練など、社会復帰に備えたプログラムが組まれることもある。この他、犯罪被害者に対しても用いられることがある。
引用:wikipedia

リハビリテーションにおいての障害を持つ人への支援は“社会参加”ですので、この“社会復帰”とは少し概念としてはニュアンスが違うかもしれません。
でも“一般社会から離れた生活をしていた人”を“一般社会に再度参加すること”を促すという点では、同義として扱ってもよいのかもしれません。

でも「社会復帰」を英訳すると「Rehabilitation(リハビリテーション)」だからね!
そうなると、“社会復帰”の中に“社会参加”が含まれているって感じでしょうね!

犯罪の加害者は社会復帰困難?



どうしても逮捕歴があるというだけで、その人の社会的なイメージは悪いものになってしまいます。
犯罪者、元受刑者といった呼び方は様々でしょうけど、どうしても一般の社会からは敬遠されてしまう存在になってしまうことは否めません。
その罪の種類、程度にもよるのでしょうけど、どうしても全部をひとくくりにされて「犯罪者」として扱われてしまう印象は受けます。

受刑を終えた時点で一般市民と変わらない?

「“元受刑者”にも一般市民と同じ待遇を受ける権利がある」と述べているのは、心理学博士・臨床心理士の村田 晃さん。
犯罪を犯してしまった方が、法や裁判で決められた刑期を全うした時点で自らの犯罪への償いを終えたことになります。
つまりは「犯罪者」から「一般市民」に復帰したということになります。
刑期を終えた「一般市民」に対して「元受刑者」「犯罪者」という“差別的”な扱いをすること自体、論理としては破たんしているのではないでしょうか?
(感情論としてはまた別の話になりますが。)

参考記事:犯罪者の社会復帰に厳しい現実、求められる支援

アルコール依存症の社会復帰について



今回のTOKIOの山口達也さんの問題を考えるにあたって、もう一つは“アルコール依存”と言えます。
今回の事件もアルコールが原因の一つでもあることですし、会見後すぐに再入院した…という報道もあります。

“アルコール依存症”は作業療法のリハビリテーション対象でもあります。

アルコール依存症とは


アルコール依存症、アルコール使用障害(Alcohol use disorder、AUD)とは、薬物依存症の一種で、飲酒などアルコール(特にエタノール)の摂取(以下、飲酒とする)によって得られる精神的、肉体的な薬理作用に強く囚われ、自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神障害である。
引用:wikipedia

ちなみにWHO(世界保健機構)によると、このアルコール乱用・依存の未治療率は78.1%(2004年)であり、精神疾患の中でも羅漢率が高いようです。
また、日本におけるアルコール依存症の患者は230万人とも言われています。

アルコール依存症の人の社会復帰について



実はアルコール依存の人が社会復帰するにはまず「アルコールを絶つ」ことが前提になりますが、これ結構難しいんです。
薬物依存の場合はその薬物の入手ルートが困難な場合もあるのでまだ絶ちやすいのですが、「飲酒」という文化は日常生活に受け入れられているものなので、すぐに手に入ります。
その手に入りやすさからも、「お酒をもう飲まない!」という意思だけでは、どうにも難しい場合があるようです。

映画「キャッチミーイフユーキャン」から考える



「犯罪の加害者が社会復帰する」ということを考えた際、真っ先に浮かんだのがこの映画。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(英: Catch Me If You Can)は、2002年のアメリカ映画。
1980年に出版されたフランク・W・アバグネイル・Jr著の自伝小説『世界をだました男』を元に製作されたドリームワークス作品。
引用:wikipedia

この映画、実話が元になっている映画なのですが、作中では詐欺師の主人公がFBIから何年も逃亡生活をして、その結果逮捕された後は自身の経験と才能を活かし、FBIの偽札、偽小切手解明の強力をすることで社会復帰する…というオチになります。
実際、詐欺師だった主人公“アバグネイル”は21歳で逮捕され刑に服した後、その才能を生かして詐欺防止を中心とした金融コンサルタント会社を設立して大成功しているようです。

“社会復帰”には当事者だからこそできる“社会貢献”が必須では?



前述した「キャッチミーイフユーキャン」の例もそうですが、何かしらの犯罪を犯した“加害者”が社会復帰するには、当事者側の心理や考えなどを逆手にとった“犯罪予防”という形で社会貢献をすることが必要なのかもしれません。
犯罪であったら加害者としての気持ちや心理、考え、なぜその犯罪を行ってしまったか、生活歴や家族歴、幼少期のトラウマetc…。
依存症といった精神疾患でも同じことが言えます。
もちろん、これは“障害を持つ人”にも言えることです。

“当事者”は一般の人より先に経験している人という捉え方



作業療法士として多くの障害を持つ人に関わっていると、
・障害を持った際の気持ちや心理の変化
・家族関係の変化
・生活の変化
…といったものをクライアントを通して知ることができます。

これって、自分がもし障害を持った際に起こり得るプロセスなんですよね?
ただ、たまたま目の前のクライアントの方が、自分に代わって経験している…ということ。

誤解を招く言い方かもしれませんが、「自分より先に経験していることで、自分はその状態を予防することができる」って思います。
これは、障害だけでなく、様々な“経験”に当てはめられませんか?

“挫折の経験”をそのままにしておくことが大罪では?



障害も犯罪も依存症という疾患も、“経験”してしまってそのままにしておいたらそのまま。
自分が経験したことを、多くの人に伝えることで“予防”だったり“気づき”につながる人がいるはずです。

これは“離婚”でも“リストラ”でも、“引きこもり”でも当てはまります。
人生において“挫折経験”をそのままにせず、そこから多くの課題解決のヒントを抽出し、多くの人に伝えることで“社会貢献”という形を通した“社会復帰”になるのではないでしょうか?

社会貢献という社会参加は再犯防止につながる



また、社会貢献という活動を通しての社会参加をすることで、少なくても多くの人に関わるようになります。
良くも悪くも、“人の目”が多いほうが自制する機会は増えるので、犯罪にせよ依存症にせよ、
孤立する状況よりは、多くの人に関わる機会を創出したほうが、メリットも多いと考えられます。

まとめ

今回のTOKIOの山口達也さんの事件から、もしかしたらこういう形での社会復帰の支援って作業療法士ができるんじゃないか?って考えたんです。
作業療法=医療的なリハビリテーションではなく、もっと社会的なリハビリテーションにも関わることで、貢献できる範囲は広がるんじゃないんでしょうかね?

作業療法士は語りたい!

そうなると、社会貢献を通した社会復帰のためにはどうしたらいいでしょうかね?
今回の場合は「アルコール依存症」をテーマにしたものだろうね。
方法は執筆活動でも、講演活動でも、どんな方法でもいいと思うよ。
芸能人っていう人目を引き付ける求心力を活かしたほうが、社会貢献できることも範囲も広いでしょうからね!
作業療法士はこういう社会的リハビリテーションを軸にした、
社会復帰プログラムをつくることも、業務になってくるといいかもね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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