生活にも質が問われる時代と言えます。

いかに質の高い生活を送るか?というのが、これらの世の中には必要な考え方になるのかもしれません。

“生活の質”を表す言葉で“QOL”があります。

本記事ではこのQOLについて解説します。

想定読者は、

  • 作業療法士
  • 理学療法士
  • 言語聴覚士
  • ケアマネージャー
  • 看護師
  • 医師
  • 介護福祉士

…といった、医療、福祉関係者になります。

QOLとは

QOLとは、「Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の略称になります。
日本語では「生活の質」などと訳され、「生きがい」や「満足度」という意味を含みます。

つまり、ひとりひとりの“人生の内容の質”や“社会的にみた生活の質”のことを指すことになります。

言い換えれば、

その人が「どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか」、ということを尺度としてとらえる概念

…とも言えます。

WHOによるQOLの定義

世界保健機構(WHO)による定義ですが、そもそもこのQOLについては、1947年の“健康憲章”内で健康について次のように定義したことが基礎になっています。

「…not merely the absence of disease, but physical, psychological and social well-being(…単に疾病がないということではなく,完全に身体的・心理的および社会的に満足のいく状態にあること)」

その上で1998年には「spirituality(宗教的,霊的,実存的)」を健康を定義する概念の中に加えることを提案しています。

QOLの定義や概念…となるとはっきりと明記されている文言は見当たらないのですが、上述の概念がQOLの概念に相当するものと考えてよいようです。

QOLは「どう認識しているか?」によるもの

また、WHOはQOLについて次のようにも述べています。

「一個人が生活する分化や価値観の中で、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」

端的に言ってしまえば、「健康に生きれているかに対する認識」と表現されます。

この際の「健康」についてですが、WHOによる「健康とは、単に病気ではないだけでなく、⾝体的、精神的、および社会的に良好な状態を指す」という概念に基づいた、幅広い意味として捉える必要があります。

QOLを計る観点について

QOLは決して身体の健康面のみで成立しているわけではありません。
「QOLが高いかどうか?」といった程度を計るには、次のような観点が例としてあげられます。

  • 身心の健康
  • 良好な人間関係
  • やりがいのある仕事
  • 快適な住環境
  • 十分な教育
  • レクリエーション活動
  • レジャー

加えて、QOLには“国家の発展”、“個人の人権・自由が保障されている度合い”といったものも関与すると言われています。

いずれにしても様々な価値観によって変わってくるということは重要な視点と言えます。

どうしてQOLの概念が作られた?

では、このQOLという概念はどうしてできたのでしょうか?
その経緯について少し解説をします。

そもそもQOLの概念は、医療とともに発展してきたという経緯があります。
数十年前の医療の現場で主流だった“ICIDH(国際障害分類)(1980年制定)”は、病気や怪我などによって起こった障害を、“機能障害”→“能力障害”→“社会的不利”の3つのレベルに分けて捉え、治すという考え方でした

こうなると、医療の在り方として病気や怪我を治療することのみにフォーカスがあてられてしまいます。
そのため患者自身の負担を顧みない医療(延命治療・過度のオペや治療etc)が主となり、結果として患者自身の「自ら理想とする生き方」「人間らしい生活」という観点がなおざりになってしまいました。

その反省からQOLという考え方の重要性がさけばれるようになった…という背景、経緯があります。

QOLが高いとは?

上述したように、QOLという概念は非常に主観的なため、個人の価値観や考え方によって大きく変わってきます。

その為、ある人からみれば「QOLが高い」という状態も、違う人からみたら「そうは思えない」ということが多くあります。

その人の持つ主観的幸福感の程度によって、QOLは決定します。

健康関連QOLと非健康関連QOLについて

医療の領域においてこの“QOL”を考えた場合、次の2つに分類されます。

  • 健康関連QOL
  • 非健康関連QOL

以下に詳しく解説します。

健康関連QOLとは?

健康関連QOL(Health Related QOL:HRQOL)とは、「個人の健康に由来するQOL」になります。

この場合の“健康”は、前述したWHOが定義した広義の“健康”ではなく、単純に「疾患と関連深い意味での健康」を指しています。

そのためリハビリテーションや医療機関における“健康関連QOL”は、「疾患によって影響を受け、医療によって変化していく患者の身体的・精神的・社会的な質」を指すことになります。

“QOL”の概念からすれば、非常に狭小的な解釈とも言えます。

非健康関連QOL

非健康関連QOLですが、「健康とは直接関連はないが間接的に健康に影響するQOL」を指します。
つまり、上述した「健康関連QOL」以外の項目に関するもの…と捉えられます。

例としては、人格や経済、政治や環境などが含まれます。

客観的QOLとは

QOLは定義上では、非常に主観的なものであり、個人それぞれによって異なる…ということは前述したとおりです。
それ故に、生活支援に関わる作業療法士をはじめとしたリハビリテーションセラピストにとって、クライアントのQOLを客観的に評価することは非常に難しいともされています。

そのため、便宜上“客観的QOL”という表現を使用し、クライアントのQOLの一端を評価することもあります。

この客観的QOLは次の3つに分類されます。

  • ⽣物レベルのQOL(⽣命の質)
  • 個⼈レベルのQOL(⽣活の質)
  • 社会レベルのQOL(⼈⽣の質)

以下に詳しく解説します。

⽣物レベルのQOL(⽣命の質)

“生命の質”は、主に苦痛の有無や程度を指します。

例としては次の通り。

  • 疼痛
  • 疲労
  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • 嚥下障害
  • 呼吸困難
  • 排尿排便障害
  • 発熱
  • 冷感 etc

ICFで言えば“⼼⾝機能”に相当します。

個⼈レベルのQOL(⽣活の質)

“生活の質”では、主にADL・APDL能力を指します。

例としては次の通り。

  • 起居動作
  • 食事動作
  • 整容動作
  • 更衣動作
  • 排泄動作
  • 入浴動作
  • コミュニケーション
  • 家事動作
  • 職業活動
  • 社会生活技能 etc

ICFで言えば、“活動”に当てはまります。

社会レベルのQOL(⼈⽣の質)

“人生の質”では、主に社会との関わりの程度を指します。

例としては次の通り。

  • 労働・仕事
  • 経済的安定
  • 住居
  • 家庭生活
  • 社会参加
  • 文化活動
  • 趣味、スポーツ
  • 旅行、レジャー etc

ICFでいう“参加”に当てはまります。

リハビリにおけるQOLの評価法について

上述した客観的QOLの各項目は非常にICFと関連することがわかります。
このことから、クライアントのQOLを評価するということは、ICFのモデルに当てはめ、それぞれの生活動作能力や心身機能について評価をすることから導き出すことができると言えると思います。

*もちろんQOLを評価する方法としては、“SF-36”や“QOL-26″といったQOL評価に特化した検査方法もあります。

QOLをあげるためには?

では、QOLをあげるためにはどのようにすればよいのでしょうか?

繰り返しになりますが、広義でのQOLは非常に個人的な価値観の違いによって異なります。
そのため、なによりも重要なことは、「クライアントが何を望んでいるか?」ということをしっかりと情報収集し、アセスメントしていくことと言えます。

その上で“客観的QOL”の項目に対しても支援を行っていくことも重要と言えます。

まとめ

本記事では、QOLについてその定義や意味、そして健康関連QOL,非健康関連QOL,客観的QOLといった種類について解説しました。

QOLとは…

  • その人が「どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか」、ということを尺度としてとらえる概念
  • WHOの定義では、「一個人が生活する分化や価値観の中で、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」
  • QOLは非常に個人の価値観によって変わってくる
  • その為、「QOLが高いかどうか?」をみるには、様々な観点から計ることが必要
  • ICIDHを軸とした医療の在り方の弊害から生まれた
  • QOLには“健康関連QOL”,“非健康関連QOL”,“客観的QOL”などがある
  • クライアントのQOLの向上のためには、しっかりとした情報収集が必要

作業療法士は語りたい!

一概に“生活の質”といってもその生活のあり方は様々だし多種多様だからね。
QOL支援のためには、その人の生活や価値観に合わせた介入や支援が必要になりますね!
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