“正常”と“異常”の違いとはどのようなものになるのでしょうか?
今回はこの違い、境界線を引く基準について解説します。

“正常”と“異常”とは?

まずは“正常”と“異常”の違いについて定義から解説します。

正常の定義

“正常”の定義としては次のように示されています。

  • 普通であり、変わったところがないこと
  • 正しいとされる状態にあること

英語で言えば“normality”になります。

異常の定義

一方、“異常”の定義としては次のように示されます。

  • 普通またはいつもと違って、どこかくるっていること
  • 通常でないこと

英語で言えば、“abnormality”になります。

身体医学における“正常”と“異常”の違いとは?

では、身体医学における“正常”と“異常”の違いとはどのようなものになるのでしょうか?
身体医学ではこの違いを、自覚症状に加えて、検査結果に平均範囲内にあるものを“正常”、平均範囲から逸脱がある場合を“異常”とし、治療の対象としています。

精神医学における“正常”と“異常”の違いとは?

精神医学における“正常”、“異常”の違いも身体医学と基本的には同じであるとされています。
しかし、精神の場合、身体的な基礎をもたない場合や、明らかでない場合には、国情や時代、文化や宗教といった社会的な価値判断によって正常or異常の判断が異なる場合があり、決して一様ではない点が難しい部分でもあります。

今の時代では社会的にも受け入れられてきている“LGBT”なんかは、一昔前は“異常”とされていたからね!
現代でも国によっては差別的な扱いをされていますからね。

精神科領域における“正常”と“異常”の境界線の4つの基準について

では精神化…メンタルヘルスの領域において、なにをもって“正常”とし、なにをもって“異常”とするのか?
その境界線を引く基準については次の通りになります。

  1. 適応的基準
  2. 価値的基準
  3. 統計的基準
  4. 病理的基準

以下に詳しく解説します。

①適応的基準

まず、適応的基準とは、

所属する社会や集団に適応しているかどうかによる基準

…になります。

この場合、

  • 正常:所属する社会に適応している場合
  • 異常:社会生活が円滑にできなくなった場合
…となります。

また、この基準に基づいて判断するためには次の判断があります。

  • 主観的判断:本人自身が判断する場合、精神的、肉体的な苦悩を伴う場合が多い
  • 社会的判断:他者が判断する場合で、個人的な偏見や要求が含まれる場合もある

②価値的基準

次に、価値的基準とは、

所属する社会の理念体系に基づく規範
…になります。

この場合

  • 正常:その規範の許容範囲内で行動している状態
  • 異常:その規範から逸脱している場合
…となります。

また、この価値的基準には次の判断があります。

  • 生活的判断:道徳観や社会通念、倫理観など日常的な規範意識による判断。
  • 論理的判断:法律や慣習など制度的規範による判断

③統計的基準

統計的基準とは、

所属する集団での平均的な行動、価値観、思考
…になります。

この場合、

  • 正常:集団の中で平均に近い標準的状態にあるもの
  • 異常:平均から偏奇の度合いが強い状態

…となります。

判断としては、基準からどれだけ離れているかによります。

④病理的基準

病理的基準とは、

精神病理学に基づく医学的判断により、疾病と診断されるかどうか
…になります。

つまり、この場合

  • 正常:健康と判断された場合
  • 異常:疾病と診断された場合
…となります。

この判断にはDSM-5などが利用されます。

まとめ

精神科領域、メンタルヘルスの領域において、この正常か異常かの境界線を引くことって非常に難しい場合があります。
今回解説した4つの基準の視点を理解することで、クライアントの心理的な内面をより客観的に把握することができるのかもしれません。

作業療法士は語りたい!

セラピストとして重要なことって、正常or異常のどちらかに当てはめるのではなく、
“あるがまま”っていう第三の選択肢を選ぶ心構えも必要なのかなって思うんだ。
そのクライアントが置かれている状況や環境によっても変動しますからね。