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記憶- 記憶の定義とその種類や分類、それぞれの違いについて

 
記憶- 記憶の定義とその種類や分類、それぞれの違いについて

“記憶”の種類って非常に多く、それぞれの定義をしっかりと説明できるかといわれると曖昧だったりまします。
そこで今回はこの記憶の概念や分類についてまとめてみました!

記憶とは?

記憶の定義についてですが、

  • 過去に経験した事を忘れずに覚えていること。また、その覚えている内容。物覚え。
  • 過去の経験の内容を保持し、後でそれを思い出す(想起)こと。
  • 将来に必要な情報をその時まで保持すること。
…といった文言で説明されます。

想起における4つのプロセス

また、この“想起”するという精神機能には以下の3つのプロセスが含まれています。

  1. 記銘(impression)
  2. 把持(retention)
  3. 追想(recall)

①記銘(impression)

新しい事柄を印象付ける機能を“記銘”といいます。
これは、入力された感覚刺激を意味情報に変換し、保持するまでの一連の情報処理過程になります。
母国語といった意味を理解できる言語などは記憶が可能ですが、外国語といった意味を理解できない言語などは記憶することが困難になります。
つまり、意味情報に変換できない入力情報は記憶されにくいということになります。
また、“記銘”は“符号化”とも呼ばれます。

②把持(retention)

記銘された物を保持する機能を“把持”といいます。
記銘によって変換された意味情報は保持されますが、入力された情報が同じだとしても、把持される情報は人によって異なる場合があります。
これは、意味情報に変換される際に用いられる既有の知識によるものとされています。
つまりこの知識は人によって異なることから、情報が切り捨てられたり、付加されたりするためです。
また、“把持”は“貯蔵”とも呼ばれる場合があります。

③追想(recall)

把持されているものを再び意識に上らせる機能を“追想(想起・再生)”といいます。
この追想のされ方については、次の3つがあります。

  • 再生:保持されている記憶がそのままの形で再現されること
  • 再認:過去に経験したことを「経験した」と改めて認識できること
  • 再構成:保持されている記憶のいくつかを組み合わせて再現されること
つまり、クライアントの記憶障害の有無はこの“追想”の状態を検査することで把握できるってことになります!

記憶の分類と種類について

実際に記憶の概念としては様々あり、以下のように分類されています。

分類 種類
把持時間 短期記憶・長期記憶
即時記憶・近時記憶・遠隔記憶
内容 陳述記憶(宣言的記憶・顕在記憶):意味記憶・エピソード記憶
非陳述記憶(潜在記憶):手続き記憶・プライミング記憶・古典的条件付け・非連合学習

“把持時間”による分類

記憶は把持する時間によって心理学上では『感覚記憶・短期記憶・長期記憶』の3種類に分けられます。

感覚記憶

“感覚記憶”とは、最も保持期間が短い記憶です。
各感覚器官に特有に存在し、瞬間的に保持されるのみで意識に上ることはないとされています。
外界から入力された刺激情報は刺激の形式に応じて、まず感覚記憶として保持されます。
つまり、聴覚に刺激を受ければ音声として、資格に刺激を受ければ視像として把持されます。
そのうち注意を向けられた情報だけが短期記憶・長期記憶として把持されます。
ちなみに感覚記憶は処理されなければすぐに失われてしまいます。

短期記憶

“短期記憶”とは、記銘後の保持期間が数十秒程度の記憶になります。
保持できる量は少ないものの、この時間内では想起や復唱が可能になります。
また、保持時間だけではなく、一度に保持される情報の容量の大きさ(一般的に7個程度の数や文字)にも限界があることが特徴です。

長期記憶

“長期記憶”とは、記銘後、年単位にわたって長期間保持される記憶を言います。
人や場合によっては生涯把持されているものもあります。
メカニズムとしては、把持内容が何かしらの処理(復唱や符号化、既有の知識のネットワークへの摂取)などの処理を経ることによって長期間保持されるようです。
また、この長期記憶の容量については現在ではほぼ無限とされていますが、忘却は記憶そのものが自然と消滅することよりも、他の記憶の干渉によるものとされています。

また、臨床神経学上では『即時記憶・近時記憶・遠隔記憶』の3種類に分けられます。

即時記憶

“即時記憶”とは、情報を記銘直後に想起・再生するものであり、それまでに干渉を挟まない記憶です。
例として、今聞いたばかりの人の名前を復唱する…といったことがあげられます。
臨床場面では数字系列の復唱などで評価をおこないます。

近時記憶

“近時記憶”とは即時記憶より保持時間の長い記憶になります。
記銘後、数分から数日保持してからも再生できる記憶としていますが、保持時間の長さについての明確な定義はないようです。
特徴としてですが、情報の記銘と想起の間に干渉が入ることから、保持情報が一旦意識から消えることがあげられます。
臨床場面では前夜の食事内容を尋ねる、単語の遅延再生などで評価します。

遠隔記憶

“遠隔記憶”は近時記憶よりもさらに保持時間の長い記憶である(数か月~数十年)。
何回も繰り返し思い出しているような記憶で、壊れにくいとされています。
臨床場面では個人の生活史(冠婚葬祭や旅行など)を尋ねることが多いようです。

短期・長期記憶と即時・近時・遠隔記憶との違いについて

上記のように心理学上、臨床神経学上の記憶の違いを比べると

短期記憶 – 即時記憶
長期記憶 – 近時記憶・遠隔記憶
…に相当するかと思います。

しかし、それぞれの明確な違いは、

短期記憶・長期記憶:把持時間のみで区分される
即時記憶・近時記憶:記銘から想起までの干渉の有無によって規定される

…という点があげられます。

“内容”による分類

また、記憶はその内容によっても分類されます。
長期記憶は“陳述記憶”と“非陳述記憶”の2つに大別されます。

陳述記憶

“陳述記憶”とは、イメージあるいは言語などとして意識に浮上し、なんらかの形で表現できる記憶になります。
“宣言的記憶”や“顕在記憶”とも呼ばれます。

この陳述記憶には、“エピソード記憶”と“意味記憶”があります。

エピソード記憶

“エピソード記憶”とは個人の生活上での体験や思い出などに関する記憶です。
特徴としては、その出来事を経験そのものとして記憶するだけでなく、それを経験した時の様々な付随情報(時間・空間的文脈、自己の身体的・心理的状態など)も記憶されていることがあげられます。

臨床心理学上では、記憶障害=エピソード記憶の選択的障害としています。

例:先週、家族と新しくできたレストランで夕食を食べたけど、すごい混雑していて落ち着かなかった。

意味記憶

“意味記憶”とは、言語やその意味、概念、社会常識といった世の中に関する組織化された記憶です。
特徴としては、意味記憶は生活上同じような経験を繰り返すことで形成されていきますが、その情報をいつ、どこで獲得したかといった付随情報の記憶は消失し、内容のみが記憶されるという点があげられます。

一般的に“知識”と呼ばれるものはこの“意味記憶”を指します。

例:「リンゴ」は赤くて手のひら程度の大きさで、甘酸っぱい果物の一種であり、青森県の名産品。英語ではapple。

非陳述記憶

“非陳述記憶”とは、意識には浮上しないで、行動や反応として現れる記憶になります。
この非陳述記憶には、“手続き記憶”や“プライミング効果”、“古典的条件付け”、“非連合学習”などが含まれます。

手続き記憶

“手続き記憶”とは、練習によって身につける運動技能や知覚技能、認知技能、そして習慣といった記憶になります。
特徴としては、一度形成された手続き記憶は自動的に機能し、長期間保たれるという点があげられます。

例:自転車の乗り方・自動車の運転・料理の調理方法・パソコンのタイピングETC

プライミング効果

“プライミング効果”とは、一度でも見たり聞いたり刺激を受けることで、次回での反応が促進されることを指します。
特徴としては、無意識の処理によって行われる点があげられ、大脳基底核-小脳系が重視される記憶の一種になります。
また、このプライミング効果は陳述記憶にもみられます。

古典的条件付け

“古典的条件付け”とは「パブロフの犬」で有名な、経験の繰り返しや訓練により本来は結びついていなかった刺激に対して、新しい反応(行動)が形成される現象をいいます。

非連合学習

“非連合学習”とは、一種類の刺激に関する学習であり、同じ刺激の反復によって反応が減弱したり(慣れ)、増強したり(感作)する現象をいいます。

まとめ

記憶は大きく分けると、把持時間と記憶の内容によって大別され、それぞれさらに細分化されます。
これらの記憶の種類を明確にしておくことは、単に“記憶障害”といってもどの記憶の種類の障害か?ということを追求することができ、より具体的な介入のプログラムを立案することにつながるのだと思います。

作業療法士は語りたい!

記憶っていっても様々な種類がありますね。
そういった多数の記憶が折り重なることで、生活がなりたっているんだろうからね。
どれも重要な機能ですよね。
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