Rehabilitation

マズローの欲求五段階説について – リハビリテーション医療に活かすためには?

 

「いつも患者に嫌われる。」
「うまく関係性を築くことができず、関わることに拒否される。」
「患者が何を求めているのかはっきりわからない。」

リハビリテーションセラピストでも、看護師でも、介護士でも、こんな経験をしている人は少なくないはずです。

本記事では、この悩みについて『マズローの五段階欲求説』を軸に掘り下げていきます。
何にでも言える事ですが、ある程度“型にはめて考える”ということって重要です。

マズローとは?

アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow)はアメリカの心理学者です。
彼は心の健康についての心理学を目指す『人間性心理学』の最も重要な生みの親とされていて、人間の自己実現を研究する心理学者として有名です。
この『人間性心理学』とは、『精神分析』(精神病理の理解を目的)、『行動主義心理学』(人間と動物を区別しないで考える)の間に位置しています。

マズローの五段階欲求説とは?


そのアメリカの心理学者である自身の名前も使われている“マズローの五段階欲求説”とはどのようなものなのでしょうか?

結論から言えば次の通りになります。

マズローの五段階欲求説とは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説をもとに作られた理論

人間が持つ欲求を5段階の断層にして表現するこの理論は、「人間の動機づけに関する理論」という論文で1943年に発表されました。

この5つの欲求ついては次の通りになります。

  • 生理的欲求
  • 安全の欲求
  • 所属と愛の欲求
  • 承認の欲求
  • 自己実現の欲求

以下に詳しく解説します。

生理的欲求

生理的欲求 (Physiological needs)は、生命を維持するための本能的な欲求になります。
呼吸をし、食べ物を食べ、喉を潤し、性欲を満たし、十分な睡眠を得る。
こういったものが生理的欲求としてあげられます。

この生理的欲求の特徴としては、

  • 動物にはこの段階の欲求を超えることはほとんどないということ。
  • 人間においては、極端に生活に関するあらゆるものを失った場合(災害など)に最優先される

…などがあげられます。

安全の欲求

安全の欲求(Safety needs)は、生理的欲求がある程度満たされると現れる欲求になります。
身体的・心理的・経済的な安全性を確保し、良好な健康状態を維持すること。
良質の生活水準を維持したうえで、事故や怪我の防止がされ、不安や混乱に悩まされないことなどがこの安全の欲求としてあげられます。

この安全の欲求の特徴ですが、

  • 生理的欲求と同じくらい安全の欲求は強い
  • 幼児に関しては抑制がきかず顕著にみられる

…などがあげられます。

社会的欲求/所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)

社会的欲求/所属と愛の欲求((Social needs / Love and belonging)とは、自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚を満たそうとする欲求です。
この欲求は生理的欲求と安全の欲求が満たされると現れます。

  • 孤独や追放、拒否を避け、仲間など共同体の一員に加わりたいと思うこと。
  • 他者から愛情深く暖かくけ入れられている、自分が社会に必要とされ、果たせる社会的役割があるという感覚。

こういった感覚を満たそうとする欲求になります。

承認の欲求(Esteem)

承認の欲求(Esteem)とは、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求を言い、「所属と愛の欲求」が満たされると現れる欲求とされています。
承認の欲求の特徴としては、

  • 承認の欲求が満たされることで、自己肯定感が生まれやすくなる
  • 逆に満たされないと、焦燥感や劣等感、無力感などの感情が現れる

…などがあげられます。

この承認の欲求は「尊厳の欲求」と「自尊心の欲求」の2つのレベル別に分けられて捉えられることもあります。

尊厳の欲求(低レベル):他者からの評価に対する欲求であり、評判や信望、地位、名誉、優越、承認、注目などを求める欲求
自尊心の欲求(高レベル):自己に対する評価の欲求であり、強さや達成、熟達、能力への自信、独立や自由など、自己をより優れた存在と認めるものへの欲求

承認欲求の危険性

マズローはこの承認の欲求について、低いレベルの承認欲求に留まり続けることは危険とされています。
それよりも、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされる高いレベルの尊重欲求を満たすことが重要としています。
つまり、他人からの評価よりも、自己評価が重視されるということです。

最近の例で言えば、“いいね”をもらうようにするために、タピオカミルクティーを飲んで“Instagram”に写真をアップする…といったことでしょうかね。
そんな写真のために何時間も並ぶのではなく、何か一つでも本を読む、勉強をするといったことで自尊心の欲求を満たせ!って、きっとマズローも言うと思います(笑)。

自己実現の欲求

自己実現の欲求 (Self-actualization)とは、自分らしく生きたい欲求のことを言います。
自己実現の欲求の特徴としては、

  • 自分に適していることをすることで満たされる
  • 非常に個人差が大きい
  • 1つのものですべての人の自己実現欲求を満たすことは困難

…などがあげられます。

仮に下位の段階の欲求が満たされたとしても、自己実現の欲求が満たされていない状態は結局は新しい不満につながるということになります。

リハビリテーションに活かすには

では、実際にマズローの五段階欲求をリハビリテーションの臨床現場に活かすためにはどうすればよいでしょうか?

結論から言えば、

患者の訴えや要求を各段階に当てはめて、優先順位を捉えなおすこと
…だと考えます。

リハビリテーションにおいて、患者の訴えや目標とするものは千差万別です。

今現段階で何を問題としているのか。
何に対して不安を抱えているのか。

ある程度の経験を積んだセラピストなら感覚的につかむことができるのでしょうが、
経験値が低いセラピストの場合は、自分の介入が全く見当違いになってしまう場合があります。

そのため、患者の訴えや要求、現段階の状態から予測されることをマズローの五段階欲求に当てはめ、その中の最下層の欲求に対して優先的に処置していくことが求められます。

*実際には多くの場合は飲食や睡眠といった「生理的欲求」や、痛みの緩和といった「安全の欲求」に対してのケースが多い印象を受けます。

まとめ

マズローの五段階欲求についてセラピストが知ることは、患者の求めるものの優先順位を付けることができ、その結果ラポールの形成や拒否の回避などにつなげることができます。
またこの階層的に欲求を当てはめることで、次にどういった要求が生まれるか?というのも、ある程度予測ができるようになります。

作業療法士は語りたい!

マズローの五段階欲求のピラミッドのように、
多種多様なものを把握しやすくするためにはモデルやフレームワークを利用して考えることって重要だろうね。
特に作業療法士は扱う範囲も対象も幅広いですからね。
そういった思考法は重要なのかもしれませんね。
sponsored Link
 

ピックアップ記事

Sponsored Link

PAGE TOP