古典的な作業療法のアクティビティのひとつでもある“マクラメ”ですが、改めて見直すと非常にセラピーとして有用な作業活動と言えます。
そこで今回はこの『マクラメの歴史や語源、ブームなどから作業療法におけるマクラメの特性、期待できる治療効果』について解説します。
目次
マクラメとは?
マクラメとは、複数の細い紐や糸を手作業で結び合わせて、幾何学的な模様や形を編んでいく手芸の一種になります。
歴史について
もともとマクラメ手芸はアラビアが起源とされており、15世紀以来おもにスペインやイタリアといったヨーロッパで独自の発展をしてきたようです。
語源について
マクラメとは英語で“Macrame”と表記します。
これは「装飾用の房飾り」という意味になりますが、語源はアラビア語の“ムクラム”という言葉で「格子編み」という意味になるそうです。
繰り返されるマクラメブームについて
実はここ最近でマクラメがブームがなってきているようです。
60年代後半にアメリカの西海岸でのヒッピーカルチャーから流行し、日本でも70年代頃に流行したようです。
その後J-リーグ発足とともに“ミサンガ”で再ブームをし、さらにその後パワーストーンと組み合わせた南米流の“マクラメジュエリー”として流行した経緯があります。
マクラメ編みは基本的に2種類
マクラメ編みには何種類からの糸の留め方と結び方がありますが、基本的に結び方は
- 平結び
- 巻き結び
つまり、この2種類の結び方のバリエーションんで様々な模様を自由に結ぶことができるということになります。
複雑な模様も実はシンプル
マクラメの結び方は基本的に2種類のため、一見複雑そうな模様も実はこの2種類の結び方の組み合わせ方で構成されているパターンがほとんどのようです。
この点からも非常に作業療法のアクティビティとして有用とされる理由かもしれません。
作業療法におけるマクラメについて
では、ここからは作業療法のアクティビティとしてのマクラメについて解説します。
材料
マクラメに用いる材料としては、
- マクラメ糸
- マクラメバー
- リング
- ビーズ
用具
マクラメを実際に結んでいくにあたり、仕上がりをきれいにするため、結びやすくするための用具としては次のようなものがあげられます。
- マクラメボード
- 鋏
- 目打ち
- マクラメピン
- メジャー
- マクラメクリップ
- とじ針、鉤針
マクラメ手芸がもつ特性について
作業療法におけるマクラメ手芸がもつ活動としての特性については以下の通り。
- 手で紐を結ぶという単純な繰り返しの行為で成立している作業
- 基本的な2通りの結び方を理解し、模様の作り方を理解すれば可能
- いつでも中断、再開が可能
- ミスしてもほどいてやり直すことができる
- 最小限の用具や道具で作業が可能
- アクセサリーからインテリアまで、様々な作品にすることができる
- 作品の大きさや紐の太さを変化させることで粗大動作から巧緻動作の訓練として可能
- 座位でも立位でも、セッティングによってはベッド上臥位姿勢でも実施が可能
- エネルギー消費や疲労度が少ない動作が多いことから、作業耐久性が低い対象者でも適している
マクラメによって期待できる治療効果
では実際に作業療法としてマクラメを利用することで、期待できる治療効果としてはどのようなものがあげられるのでしょうか?
主なものとしては、
- 両手の協調性の向上
- 巧緻動作能力
- 筋力の維持と向上
- 関節可動域の維持と向上
- 目と手の協調
- 表在感覚の知覚的刺激入力
- 姿勢保持能力
- 注意の持続力の向上
- 知的、精神的能力の向上(計算力、企画力、理解力、判断力)
- 社会適応能力
まとめ
結構オーソドックスで古典的なアクティビティでもあるマクラメですが、改めて深堀りしていくと非常に作業療法的に優れた作業活動ということがわかります。
また再ブームが来る…なんて言われているマクラメを、ただ手芸とするのではなくセラピーとして活用してみることは、作業療法士にとっては重要かもしれませんね!