初期の認知症診断にも使用される検査の一つに“かなひろいテスト”があります。
今回はこのかなひろいテストの目的や方法、採点方法や解釈、そしてカットオフ値についてまとめてみました!

かなひろいテストとは?

かなひろいテストとは、「浜松式高次脳機能スケール」のサブテストの一つになります。
単独でも使用されている早期認知症診断のために使用される検査方法です。

かなひろいテストは2種類

浜松式高次脳機能スケールにおけるかなひろいテストには、

  • 無意味綴:文章自体には意味を持たない
  • 有意味文:文章に物語がある

…の2つの課題があります。

かなひろいテストを行う目的について

かなひろいテストは早期認知症の診断に加えて、注意障害の評価として使用されます。
それぞれの主な目的としては次の通りです。

  • 無意味綴:選択的注意機能
  • 有意味文(物語文);選択的注意機能・配分的注意機能・二重課題(前頭前野を中心としたワーキングメモリが関与した機能)

必要物品

では、実際にかなひろいテストを行うにあたってどんな物品が必要でしょうか?
主なものとして…

  • 検査用紙
  • 鉛筆
  • ストップウォッチ

…になります。

適用年齢

15歳~89歳

かなひろいテストの実施方法について

かなひろいテストの実施方法ですが、ひらがなで書かれた文章内にある「あ・い・う・え・お」を見つけ丸印をつけていく…という方法です。
無意味綴りと有意味文のどちらを最初に行うか?は特に定められていませんが、課題難度を考えると無意味綴り→有意味文の順番で行うのがスムーズかと思います。

また、有意味文(物語)課題の場合では「あ・い・う・え・お」を拾い上げると同時に、物語の意味も把握するように読んでいくという二重課題になります。
最初に例題を実施してもらい、検査方法が理解できているか確認し、その後本検査に移ります。

無意味綴

無意味綴の場合、408文字内に拾い上げる「あいうえお」の文字は60個あります。

教示方法
「次の文章の中から“あ・い・う・え・お”を見つけて、それぞれに丸印をつけてください。制限時間は2分間です。できるだけ早く見落としがないようにしてください。それでは始めます。」

教示が終わったと同時にストップウォッチで2分間計測します。

「2分経過しました。鉛筆を置いてください。」

有意味文

有意味文の場合、405文字内に拾い上げる「あいうえお」の文字は61個あります。
かなひろいテストの有意味文では「昔あるところに、一人のおばあさんがいて…」から始まるイギリスの民話である「いたずらおばけ」の文をすべてひらがなにしたものが使われます。

教示方法
「次の文章の中から“あ・い・う・え・お”を見つけて、それぞれに丸印をつけてください。制限時間は2分間ですので、見落としがないようにしてください。さらに、2分経過した後に物語の内容についてもたずねます。内容も理解しながら行うようにしてください。」

教示が終わったと同時にストップウォッチで2分間計測します。

「2分経過しました。鉛筆を置いてください。」
「では、どんな物語だったか説明してください。」

制限時間について

制限時間は2分間で、その時間になったら作業をストップし、そこまでの結果で採点をします。

かなひろいテストの採点方法について

無意味綴

無意味綴の課題では、以下の項目に対して採点を行います。

  • 正答数:拾い上げた「あ・い・う・え・お」の数
  • 到達数:2分間に到達したターゲットの数
  • 正答率:正答数を到達数で除して算出した割合(正答数/到達数×100で算出)(正答数、到達数の最大60)
  • 見落とし数:到達数-正答数で算出

有意味文

有意味文の課題では、以下の項目に対して採点を行います。

  • 正答数:拾い上げた「あ・い・う・え・お」の数
  • 到達数:2分間に到達したターゲットの数
  • 正答率:正答数を到達数で除して算出した割合(正答数/到達数×100で算出)(正答数、到達数の最大61)
  • 見落とし数:到達数-正答数で算出
  • 内容把握:物語の内容を把握し、あらすじを説明できるかどうかで判断

有意味文の場合は、採点方法として大きな違いは物語の内容把握への評価です。
2分間でターゲットの文字を拾い上げた後、物語のあらすじを説明できるかどうかを評価します。
あらすじの説明ができている場合は「十分」、やや曖昧な場合は「不十分」ほとんど説明できていない場合は「不可」の3段階で判定します。

この内容把握に対しての採点ですが、浜松方式高次脳機能評価スケールでは、物語の内容把握ができない、または間違っている場合は0点、説明はできても一部不正確である場合は5点、正確に把握し説明できる場合は10点と加算方式をとっています。

他の論文では内容把握の結果については、内容理解“十分”の場合は1、“不十分”の場合は0.85、“不可”の場合は0.75の係数として、得点に乗するための補正点数にするという方法を取っているものもあります。

かなひろいテストの平均、カットオフ値について

年齢別の平均点、カットオフ値については以下のとおりになります。

各年代別の平均点

年齢別 平均点
20歳代 44.1
30歳代 42.4
40歳代 36.6
50歳代 31.9
60歳代 23.9
70歳代 22.4
80歳代 19.2

年齢別カットオフ値

年齢別 カットオフ値
20歳代 30
30歳代 29
40歳代 21
50歳代 15
60歳代 10
70歳代 9
80歳代 8
リハビリの様々な検査のカットオフ値についての記事一覧はこちら

かなひろいテストの解釈について

かなひろいテストの結果解釈についてですが、その点数結果が初回の評価結果と再評価の結果とでどれほど変化していたか、カットオフ値に対して上回っているか、下回っているかという「点数結果」は判断基準ですがあくまで一つになります。

生活を支援する作業療法士としては、被験者がかなひろいテストに臨む際に、その作業過程の中でどのような反応を示したか?と把握し、解釈する視点も必要になります。

主な例としては、以下のとおりになります。

教示した際にその内容を理解できたかどうか?
指示理解能力の程度

かなを拾う作業にミスはあったか?そのミスに偏りはないか?
→物語の後半にミスが多い…と言った場合は“注意の持続力”に問題がある傾向があります。

読み、かな拾い、内容の把握が同時にできているかどうか?
→できていない場合はワーキングメモリの問題と判断できます

検査中、周囲の音などに注意がそれないかどうか?
選択的注意の能力の程度を判断できます

まとめ

準備物も少なく、比較的簡単に導入できるかなひろいテストですが、単純に点数だけをみるのではなくその作業工程の様子もしっかり観察することが重要と言えます!
高齢者の自動車運転の評価ツールとしても使用されることからも、しっかりとその方法を学ぶ必要がありますね!

作業療法士は語りたい!

文章の意味を把握しながら、“あいうえお”を拾うのって、結構大変ですね。
注意の配分だけでなく、自分が今どこを読んでいるか、どんな内容だったかということも
覚えていないといけないからね!

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