ショートステイやデイサービスなどは、在宅での介護を行うのに必要不可欠なサービスです。
しかし、事前にケアプランに組み込まれていないといけない点などから、利用者や介護者の突然の状況変化には柔軟な対応がしきれない…という側面もあります。
そのデメリットを解消するサービスとして、“小規模多機能型居宅介護”があります。
本記事ではこの小規模多機能型居宅介護の…
- 特徴
- 料金
- メリット・デメリット
…などについて解説します。
小規模多機能型居宅介護とは
小規模多機能型居宅介護とは…
…になります。
特徴
上記の定義だけだと、デイサービスやデイケアと同じような印象を受けますが、“小規模多機能型居宅介護ならでは”の特徴については次のとおりになります。
- 同一の介護事業者による一体的なサービス提供
- 柔軟なサービスの組み合わせが可能
…などがあげられます。
以下に詳しく解説します。
同一の介護事業者による一体的なサービス提供
通い・訪問・泊まりなどの介護サービスはそれぞれ別の施設で受けるのが従来の介護サービスです。
一方、小規模多機能型居宅介護はこの3つのサービスを同一の介護事業者によって提供されるという点が特徴になります。
柔軟なサービスの組み合わせが可能
デイサービスや訪問介護などは、事前にケアプランで計画されているため、どうしてもその計画に利用者自身や介護者が“合わせる”生活となってしまいます。
そのため、急な状況の変化に対してはなかなか柔軟な対応がしづらいというケースもありました。
小規模多機能型居宅介護の場合は、利用する時間や利用する頻度、内容に制限がないことから非常に柔軟性の高いサービス提供を行えるという点も特徴です。
対象
小規模多機能型居宅介護は介護保険の制度下のサービスのため、
- 要介護の認定を受けた方
- さらに事業者と同一の市町村に住んでいる方
…が対象となります。
利用料金
小規模多機能型居宅介護の利用料金は、利用頻度や回数によって変動があるのではなく、毎月決まった金額の定額制になります。
その定額料金の1割(所得によっては2割or3割)が自己負担となります。
介護度 | 単位 | 自己負担額 |
---|---|---|
要支援1 | 3,418単位 | 3,418円 |
要支援2 | 6,908単位 | 6,908円 |
要介護1 | 10,364単位 | 10,364円 |
要介護2 | 15,232単位 | 15,232円 |
要介護3 | 22,157単位 | 22,157円 |
要介護4 | 24,454単位 | 24,454円 |
要介護5 | 26,964単位 | 26,964円 |
小規模多機能型居宅介護のサービスの種類
この小規模多機能型居宅介護でのサービスの種類は、前述したように…
- 通い
- 訪問
- 泊まり
…の3つで構成されています。
以下にそれぞれの内容について詳しく解説します。
通い
“通い”のサービス…つまり、利用者はデイサービスと同じように自宅から施設に通ってサービスを受けることができます。
訪問
訪問介護(ホームヘルプ)と同じように、スタッフが直接利用者の自宅に出向き、様々な介護サービスを提供します。
泊まり
ショートステイと同じように、施設に短期間入所をするサービスになります。
小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリット
では、この小規模多機能型居宅介護を利用することでのメリット、デメリットとはどのようなものでしょうか?
以下に説明します。
メリット
小規模多機能型居宅介護のメリットとしては…
- 様々なパターンで支援を頼め、その契約が1つで済むため分かりやすい
- 利用者の必要に応じて、サービスを組み合わせることができる
- 突然の変更に柔軟に対応ができる
- 料金が1ヶ月ごとの定額制
- 対応するスタッフの変更が少ない
様々なパターンで支援を頼め、その契約が1つで済むため分かりやすい
通所、訪問、泊まりのサービスを利用する際は、それぞれが別の事業所である場合がほとんどのため、契約のための書類や面談などを複数回行わないといけないため、実際に利用するまでの過程が大変な場合があります。
その分、小規模多機能型居宅介護の場合は1か所ですべてのサービスをまかなうことから、契約に関しても1回で済んでしまう場合がほとんどです。
利用者の必要に応じて、サービスを組み合わせることができる
小規模多機能型居宅介護は利用者の必要に応じて、利用する頻度や時間、内容などを自由に組み合わせることができます。
通所の場合は「今日は午前中だけ利用したい」「明日は幼児があるため午後に利用したい」といった短時間の利用も可能です。
突然の変更に柔軟に対応ができる
訪問介護(ホームヘルプ)は利用者の自宅に訪問する時間や頻度、回数が事前に決まっていますが、小規模多機能型居宅介護における訪問サービスの場合、その制限がありません。
必要な時に必要な時間利用が可能なので、「具合が悪くなった」「転倒した」といった緊急性の高いイベント発生時にも柔軟に対応することができます。
料金が1ヶ月ごとの定額制
小規模多機能型居宅介護は利用数に応じての利用料金の設定ではなく、「定額制」になります。
ケアプランにそったサービス利用であれば、いくらサービスを利用してもその金額は変わらないというメリットがあります。
対応するスタッフの変更が少ない
複数のサービスを同一の事業所で受けれることから、対応するスタッフの変更が少ないという点もメリットとしてあげられます。
認知症の利用者の場合、対応するサービスによってスタッフが変わってしまうのは非常にストレスとなり不安感が強まる要因にもなります。
小規模多機能型居宅介護の場合は通い、訪問、泊まりのスタッフが同一であることがほとんどのため、どの種類のサービスを利用しても顔なじみのスタッフが対応するため非常に安心してサービスを受けることができます。

デメリット
その一方、小規模多機能型居宅介護のデメリットとはどのようなものがあげられるのでしょうか?
- 事業所専属のケアマネジャーに変更が必要
- 部分的な事業所変更ができない
- いままで利用した介護保険サービスは併用できない
…などがあげられます。
事業所専属のケアマネジャーに変更が必要
小規模多機能型居宅介護を利用する際は、その事業所専属のケアマネジャーに変更する必要があるので、いままで依頼していたケアマネジャーとは契約解消する必要があります。
ケアマネジャーのみ他の事業所に依頼する…ということはできないということです。
部分的な事業所変更ができない
通い、泊まり、訪問のサービスを一つの事業所でまかなうのが小規模多機能型居宅介護の特徴ですが、「通所サービスだけ他の事業所に依頼したい」といった部分的な事業所変更はできません。
いままで利用した介護保険サービスは併用できない
部分的な事業所の変更ができないことと同じで、その小規模多機能型居宅介護のサービスを利用する際には、いままで利用していた「居宅介護支援」「訪問介護」「訪問入浴介護」「デイケア」「デイサービス」「ショートステイ」のサービスを併用することができなくなります。
ちなみに訪問看護や福祉用具などは併用可能です。
まとめ
本記事では、定額制の介護保険サービスである小規模多機能型居宅介護について解説しました。
- 通い・訪問・泊まりのサービス同一の事業所で提供される小規模な居住系サービス
- 時間や頻度、サービスの種類を利用者の状況に合わせて組み替えられる柔軟性の高いサービスが特徴
- また高い柔軟性の他に、契約のしやすさや料金が定額制であること、スタッフの変更が少ないことなどのメリットがある
- 一方、その事業所外のサービスやケアマネの利用ができなくなるというデメリットもある
作業療法士は語りたい!
