在宅での介護生活を支援する介護保険には、介護用品の購入やレンタルに関するものもあるのが特徴といえます。
ただ、様々な種類がある福祉用具は購入の前にレンタルをしたほうがメリットが多いこともあります。
そこで本記事では、福祉用具のレンタルに関わる“福祉用具貸与制度”について解説します。
目次
福祉用具貸与制度とは?
福祉用具貸与制度とは…
…とされています。
もちろんレンタルだけでなく、自宅への設置や調整、故障してしまった際の修理といったケアも含みます。
対象者
対象は要介護1以上の認定を受けた方になります。
利用料の目安
その介護用品のレンタル料金の1割もしくは2割が、利用料の目安となります。
福祉用具貸与の対象種目
福祉用具のレンタルの対象種目としては、主に次のようなものがあげられます。
- 車椅子
- 車椅子付属品
- 特殊寝台(電動ベッド)
- 特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 手すり
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 認知症老人徘徊探知機器
- 移動用リフト
- 自動排泄処理装置
以下に詳しく解説します。
車椅子
レンタル対象の車椅子は…
- 自走用標準型車いす
- 普通型電動車いす
- 介護用標準型車いす
…になります。
注意点としては、対象の介護度が要介護2~5の方となり、要支援や要介護度1の方は基本的にレンタルはできません。
車椅子付属品
車椅子に取り付ける付属品であり、対象としては…
- クッションorパッド
- 電動補助用品
- 車いす用テーブル
- 車いす用ブレーキ
…になります。
これも車いす同様対象介護度が要介護2~5の方のみとなります。
特殊寝台(電動ベッド)
レンタル対象となる電動ベッドは、基本的にはサイドレールが取り付けてあるもの、もしくは取り付け可能なものになります。
また…
- 背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能
- 床板の高さが無段階に調整できる機能
…の機能のいずれかを有するものとされています。
車椅子同様、要支援、要介護1の介護度の方は対象外となります。
特殊寝台付属品
レンタル対象の特殊寝台付属品は…
- サイドレール
- マットレス
- ベッド用手すり
- 電動ベッド用テーブル
- スライディングボード・スライディングマット
- 介助用ベルト
…などがあげられます。
特殊寝台と同じように、要支援と要介護度1の方は対象外になります。
床ずれ防止用具
褥瘡の予防のための用具になりますが…
- 送風装置または空気マット等(部分的な圧力を解消できるもの)
- 水、エア、ゲル、シリコン、ウレタン等からなる全身用マット
…に限られます。
これも要介護度2~5の方が対象になります。
体位変換器
空気パッドなどを利用者の身体の下に挿入することで、体位を容易に変換できる機能を有するものに限ります。
あくまで、体位変換のための用具が対象ですので、体位の保持のみを目的とするものは対象外になります。
手すり
レンタル対象の手すりは…
- 取り付けるのに工事を伴わないもの
- 便器やポータブルトイレを囲んで据え置くタイプのもの
…に限ります。
この手すりのレンタルは特に介護度によって制限はありません。
スロープ
レンタル対象のスロープは、段差解消のためのものであって、取付けに際し工事を伴わないものに限ります。
また、個別利用者のために改造したものや、簡単に持ち運びができないもの、工事をしなければ設置できないものは対象外になります。
歩行器
歩行器の場合、歩くのが困難な利用者の歩行機能を補助する機能を有すること、移動時に体重を指させ得る構造を有するものとされ…
- 車輪を有するものにあっては、体の前および左右を囲む把手等を有するもの
- 四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの
…のいずれかに該当するものに限られます。
歩行器のレンタルに関しては、特に介護度による制限はありません。
歩行補助杖
利用者の歩行を補助する杖が対象ですので…
- 松葉づえ
- カナディアン・クラッチ
- ロフストランド・クラッチ
- プラットホームクラッチ
- 多点杖
…などがあげられます。
認知症老人徘徊探知機器
認知症老人徘徊探知機器とは、認知症老人が屋外に出ようとした時または屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するものになります。
対象の介護度としては、要介護2~要介護5になります。
移動用リフト
介護保険でのレンタル対象の移動用リフトは…
- 床走行式:つり具またはいす等の台座を使用して人を持ち上げ、キャスタで床を移動し、目的の場所に人を移動させるもの
- 固定式:居室、浴室等に固定設置し、つり具またはいす等の台座を使用して人を持ち上げ、移動させるもの
- 据置式:床に置いて、つり具またはいす等の台座を使用して人を持ち上げ、移動させるもの
…があげられます。
身体をつり上げ又は体重を支える構造を有し、自力での移動が困難な者の移動を補助する機能を有するものとされています。
そのため取付けに住宅改修を伴うものは対象外になります。
また、要支援や要介護1も対象外となります。
自動排泄処理装置
レンタル対象の自動排泄処理装置は…
- 尿または便が自動的に吸引されるもの
- 尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造であるもの
…が対象となります。
対象の介護度ですが、排便機能を有する物は要介護4,5の方で、それ以外のものは介護度による制限はありません。
レンタルのメリット・デメリットについて
福祉用具を介護保険によってレンタルすると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
福祉用具をレンタルすることでのメリットとしては…
- 自己負担額が低額で済む
- 必要な期間のみ利用が可能
- アフターサービスが充実している
- 種類やサイズの変更などが可能
…などがあげられます。
デメリット
それでは逆にデメリットがどのようなものがあげられるでしょうか?
考えられるものとしては…
- 長期利用する場合に、割高になる場合もある
- 利用者によっては“レンタルすること”に抵抗がある人もいる
…などがあげられます。
まとめ
本記事では、福祉用具貸与制度について解説しました。
- 介護保険で、自宅介護をサポートするための介護用品のレンタルサービスを受けられること
- 要介護1以上の認定を受けた方が対象
- レンタル料金の1割もしくは2割が利用料
- 対象種目としては車いすから児童排泄処理装置まで様々
- 自己負担が少なく、様々な種類のものを試用できるメリットがある
- 長期間では割高になることや利用者によってはレンタルすることに抵抗を感じるデメリットもある