介護付き老人ホームや住居型老人ホームの他にもここ最近急増しているのが“サービス付き高齢者向け住宅”になります。
本記事ではこの“サービス付き高齢者向け住宅”について解説します。
サービス付き高齢者向け住宅とは?
サービス付き高齢者向け住宅とは…
…を言います。
「サ高住」という略称で呼ばれることも多いです。
介護保険制度上では?
サービス付き高齢者向け住宅は、民間企業や社会福祉法人、医療法人などが事業主体になります。
特に介護保険とは関係ないため介護付き有料老人ホームのような扱いはされません。
対象
サービス付き高齢者向け住宅の入居対象についてですが、
…となります。
この“同居者”の条件ですが…
- 配偶者
- 同条件の親族
- 特別な理由により同居する必要があると登録主体(都道府県又は指定機関)が認めた人
…とされています。
利用料金について
サービス付き高齢者向け住宅は“賃貸借契約”が中心になります。
敷金は比較的安価で、礼金や更新料は不要という施設も多いようです。
ただし、入居時に前払い金として数百万円~数千万円が必要なケースもあります。
また、月額の費用は10万~25万円程度ですが、施設のサービスによって変動はあるようです。
受けられるサービス
サービス付き高齢者向け住宅で提供されるサービスは、基本的には…
- 安否確認
- 生活相談
…になります。
安否確認
サービス付き高齢者向け住宅では、生活状況や健康状況における安否確認が基本的なサービスとなっている場合が多いようです。
その内容ですが…
- 毎朝朝食前に職員が居室を訪ねて健康チェックをする
- 一定時間洗面者などの設備を利用しないと、職員にお知らせが届く
…といったものがあるようです。
また、夜間の時間帯は、緊急通報装置で対応する場合が多いようです。
生活相談
サービス付き高齢者向け住宅には、医療や介護の有資格者が常駐しており、入居者の困りごとや苦情に対応するようになっています。
また、高齢者詐欺の被害を防ぐ防波堤の役割を担っている…との見解を示す方もいらっしゃいます。
メリット・デメリットについて
では、このサービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリットとはどのようなものがあげられるでしょうか?
メリット
サービス付き高齢者向け住宅のメリットとしては…
- 入居拒否や強制退去がさせられない
- 有料老人ホームと比べると初期費用が比較的低額
- 施設環境がバリアフリーのため高齢者でも安心
- 選択肢が豊富で待機期間が比較的短い
- 生活の自由度が高い
- 外部の介護サービスの利用が可能
…などがあげられます。
以下に詳しく解説します。
入居拒否や強制退去がさせられない
現実問題として、一般的な賃貸の場合入居希望者が高齢者ということだけで入居拒否や強制退去させられるというケースがあります。
事故や怪我、さらには孤独死といった問題を物件側がリスクとして捉えてしまうと、こういうケースに至ることがあるようです。
その点、サービス付き高齢者向け住宅の場合は高齢者の入居が前提になって建てられたわけですから、“高齢”という理由で入居拒否や強制退去を指せられる心配がありません。
有料老人ホームと比べると初期費用が比較的低額
介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームは比較的入居時の初期費用が高額になる場合が多いとされています。
しかし、サービス付き高齢者向け住宅の場合は国の優遇策もあり比較的初期費用が低額で済む場合があります。
施設環境がバリアフリーのため高齢者でも安心
高齢者向けの施設ということで、基本的にはバリアフリーの環境になっています。
洗面台や手すりの高さ、浴槽の深さといった環境にも配慮されてつくられています。
選択肢が豊富で待機期間が比較的短い
現在多くの民間企業や医療法人、社会福祉法人がこのサービス付き高齢者向け住宅の建設に参入していますので、住宅の供給量が非常に多くなっています。
そのため選択肢が増えたこと、入居までの待機期間が比較的短くなったことなどのメリットがうまれました。
生活の自由度が高い
サービス付き高齢者向け住宅の場合は外出も自由にできて、キッチンや風呂も居室ごとにあるため、自由な生活を楽しむことができます。
外部の介護サービスの利用が可能
介護付き有料老人ホームの場合はその施設のケアマネジャーやサービス以外を利用することができませんでしたが、サービス付き高齢者向け住宅の場合は外部のサービスを利用することができますので、在宅で契約していたケアマネジャーやデイサービスなどを断らずにすむというメリットがあります。
デメリット
ではその一方、サービス付き高齢者向け住宅のデメリットとはどのようなものがあげられるのでしょうか?
主に…
- 一般的な賃貸住宅より家賃は高い
- 医療的なケアが不十分な場合がある
- 有料老人ホームと比べると、見守り体勢が希薄
- 介護度によっては、住み続けることが困難になる
- 施設によってサービスの質、内容に差がある
…などがあげられます。
以下に詳しく解説します。
一般的な賃貸住宅より家賃は高い
やはり一般的な賃貸住宅よりは、入居時の初期費用から毎月の家賃の金額は高くなってしまいます。
医療的なケアが不十分な場合がある
サービス付き高齢者向け住宅には看護師など医療スタッフの配置義務がないため、施設によっては常駐していない場合もあります。
医療的なケアが必要な入居者の場合はやや不安点とも言えます。
有料老人ホームと比べると、見守り体勢が希薄
日中はスタッフが常駐していたとしても、夜間は見守りシステムに委託している分体勢が希薄とも言えます。
何かあったときには対応はしてくれますが、常駐している有料老人ホームに比べると頼りないかもしれません。
介護度によっては、住み続けることが困難になる
基本的に介護サービスは外部のサービスを利用することになります。
そのため介護度があがるとそれだけ介護サービスが必要になり、場合によってはその施設に住み続けることが困難になるケースもあります。
施設によってサービスの質、内容に差がある
施設の急激な増加に伴い選択肢が増えたというメリットの反面、玉石混合とも言える状態と指摘する専門家もいます。
施設によってそのサービスの質や内容、スタッフの体制などが様々なため、選ぶ段階で注意して検討する必要があります。
まとめ
本記事では、サービス付き高齢者向け住宅について解説しました。
- 介護・医療と連携した高齢者が安心して住めるバリアフリー構造の住宅
- 60歳以上の高齢者、要介護・要支援認定者が対象
- また、配偶者や親族といった同居者も対象となる
- 利用料金は月額10万~25万円程度で施設によって様々
- 基本的に受けられるサービスは安否確認と生活相談
- 介護サービスや医療サービスは外部に依頼する形になる
- 施設の数が増えているため、比較的待機期間が短い場合が多い
- 外出が容易だったりと自由度が高い生活が送れる
- その一方、医療的ケアが不十分であったり、見守り体勢が希薄というデメリットもある