インフォームド・コンセントとは? – 意味・内容・法律・概念・事例・適用免除事由について

 

病院に勤務していれば普段何気なく使うIC(インフォームド・コンセント)という言葉。

実は単に今後行う医療行為や検査について説明すればよい…ということではないんです。

本記事ではこのインフォームドコンセントについて…

  • 意味や内容
  • 法律
  • 構成している概念
  • 主な内容の事例
  • 適用免除事由

…などについて解説します。

インフォームド・コンセントの意味とは?

インフォームド・コンセントとは、端的に説明すると…

「十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念

…とされています。

つまり…

患者やその家族が病状や障害、そして治療について十分に理解し、また、医療職も患者と家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、そしてどのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、MSWやケアマネジャーといった関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセス

…となります。

この説明からも、インフォームド・コンセントはただ単純に病状を説明し、治療方針について同意書をとることではない…ことがわかります。

インフォームド・コンセントと法律

インフォームド・コンセントの根拠となる法律として、医療法第1条の4第2項があげられます。
この医療法第1条の4第2項では…

医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない

…と示されています。

インフォームド・コンセントに重要な3つの概念

このインフォームド・コンセントを構成する要素として、大きく3つの概念があります。
それが…

  • 説明
  • 理解
  • 合意

…になります。

以下に詳しく解説します。

説明

インフォームド・コンセントにおける”説明”という概念ですが、これは医療従事者が

  • 病状
  • 提示する医療行為の内容
  • 提示する医療行為の目的
  • 提示する医療行為に伴う危険性
  • 他の方法とそれに伴う危険性
  • 何もしない場合に予測される結果

…といった内容について適切な説明を行うことにあります。

また、この説明の時期やタイミングについてですが…

  • 初診時
  • 治療方針がほぼ確定した時期
  • 入院時
  • 手術・処置をする時
  • 退院時

…といった場合が多いようです。

理解

インフォームド・コンセントには重要な要素として“理解”というものもあります。

“理解”の意味としては…

  • 物事のすじみちをさとること
  • わけを知ること
  • 物事がわかること

…とあります。

つまり、インフォームド・コンセントにおける“理解”とは、患者側が次の事柄についてきちんと理解した場合に成立することになります。

  • 自分の現在の病状(経過観察に伴う状態の変化も含む)
  • 効果が期待できる治療法(想定できるリスク)
  • 有効な代替の治療方法(医療側の専門的な意見として)
  • 上記の事側に関する不明点

合意

インフォームド・コンセントにおける“合意”とは、

双方の意見の一致(コンサンス)

…という意味で扱われることが通常です。

もちろんこれには拒否する権利(Informed refusal)も含まれています。
医療者側が提案した治療方針に対して、必ずしも受け入れる必要はないということになります。

インフォームド・コンセントの主な内容

では、実際にインフォームド・コンセントではどのような内容が説明されるのでしょうか?
もちろんその疾患や病状、状況によって様々ですが一例としては…

  • 現在の病名や病状
  • 予定している検査
  • 予定している治療法
  • 投与している薬物について
  • 手術について
  • 輸血の有無について
  • 延命措置について
  • 予測される経過と合併症について

…などがあげられます。

以下に説明します。

現在の病名や病状

そのクライアントの診断、症状、障害などについての説明になります。

予定している検査

今後行う予定の検査の実施予定日時や伴うリスク、他の検査方法などの説明になります。

予定している治療法

どのような治療で対処していくかについて説明します。
行われるリハビリテーションプログラムの内容などもこの項目に含まれます。

投与している薬物について

現在投与している薬の投与法や投与期間、主作用、副作用などの説明をします。
また、今後使用する可能性のある薬などについての説明がされる場合もあります。

手術について

手術の必要性や使用する麻酔の方法、内容、伴うリスクについての説明になります。
また、手術の予定日、や執刀医、麻酔医の氏名、執刀補助者についても説明される場合があります。

手術に伴うリスクについてですが、具体的な数字で表現されることがほとんどです。

輸血の有無について

輸血の必要性、起こり得る副作用についての説明がされます。

延命措置について

延命措置を行う理由や期間、内容と予測される結果、そして危険性や副作用などについての説明がされます。

インフォームド・コンセントの要件の適用免除事由

医療措置でも、場合によっては患者や家族が医療側から説明された内容を十分に理解できていない、権利を尊重できていないことなどから、十分な合意形成ができないまま、医療が提供されることがあります。
これを“インフォームド・コンセントの要件の適用免除事由”と呼ばれていますが、具体的は…

  • 緊急事態
  • 治療上の特権
  • 他害の危険防止のため

…の3つの状況において発生する場合が多いようです。

緊急事態

ここでの“緊急事態”とは、患者の状態に想定外の変化が生じ,その救命・健康維持に迅速な対応が必要な場合…になります。
患者の状態の急変+救命・健康維持に迅速な対応が必要な場合は、その要件の充足なしに医療を行うことが認められます。

注意点として、この場合基本的には,時間的余裕があれば,患者は同意したであろうことが推定できることが必要になります。

また、詳しい説明をする時間的余裕はないが,患者から一応の同意を取り付けることは可能な場合には,説明要件のみが免除されます。
患者に意識がなく,家族といった代諾者にも接触できず,かつ緊急に医療の実施が必要とされるような場合には,説明要件だけでなく同意要件も免除されます。

治療上の特権

これに代表される例としては、がん患者に対しての病名や予後の正確な説明の回避があげられます。

医療行為に関して、真実で正確な説明を行うことで…

  • 患者自身の判断能力や合意的意思決定が妨げられる
  • 患者の心身の健康そのものが損なわれる危険性が高い

…こういった場合には、インフォームド・コンセントの要件が果たすべき機能が得られない場合ということになります。
そのような場合にはインフォームド・コンセントによる要件の充足が免除される…とされてきました。

しかし、この理由によるインフォームド・コンセントの免除は、自己決定権の保護と相反する可能性が強くなります。
そのためその決定には非常に慎重さが必要とされ

他害の危険防止のため

精神科医療における“措置入院”などがこれに代表される例になります。

つまり、第三者への危害が及ぶ危険性がある患者については,本人に同意能力があったとしても,他害を防止するために必要な医療行為を,本人の同意なしに行うことができます。
これは一見インフォームド・コンセントの根幹と矛盾するようにも思われますが、インフォームド・コンセントの要件の前提として“他者や社会に危害を与えるものでない限り…”という部分からも説明できるようです。

高齢者のリハビリにはICが重要?

高齢者のリハビリテーションを行う場合は、リスク管理が重要であると同時にインフォームド・コンセントを得ることが非常に重要とされています。

というのも、高齢者の場合心機能や呼吸機能の低下、関節障害,認知症や集中力の低下などを併存していることが多くあります。
その状況下でリハビリテーションを開始し,すぐに発作や呼吸困難,不整脈や狭心発作,転倒, 骨折…といった危険は他の領域のリハビリテーションよりも高いということが予想されます。

リハビリテーションを始める前には必ず,患者および家族に対してリスクやゴールなどを十分に説明し,患者・家族から同意を書面できちんと得ることが重要になります。

インフォームド・コンセントと倫理的課題

“適用免除事由”の項目でも説明したように、医療措置でも特に緊急を要する事態で行われる措置については、患者や家族が医療側から説明された内容を十分に理解できていない、もしくは医療側が患者とその家族の権利を尊重できていないことなどから、十分な合意形成ができないまま、医療が提供されることがあります。
こういった状況の場合、患者本人や家族が医療職に対して不信感を抱き、ケースによっては訴訟問題に発展する場合もあるので非常に注意が必要といえます。

まとめ

本記事ではインフォームド・コンセントについて解説しました。

インフォームド・コンセントとは…

  • 「十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念
  • ただ単純に病状を説明し、治療方針について同意書をとることではない
  • インフォームド・コンセントの根拠となる法律として、医療法第1条の4第2項があげられる
  • インフォームド・コンセントを構成する要素としては説明・理解・合意の3つがあげられる
  • インフォームド・コンセントの適用免除事由としては、緊急事態・治療上の特権・他害の危険防止の3つがある
  • リハビリテーションにおいては高齢者に対して行う場合は特に説明と同意が必要になる

作業療法士は語りたい!

医療者自身の身を守るためにも、インフォームドコンセントは非常に重要と言えるね
今後認知症への自動車運転評価や診断なども増えてくると、さらにしっかりと書面で残すってことも必要になるでしょうね!
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