アイデンティティ・クライシスという言葉を知っていますか?
恐らく誰でも経験がある…
「自分はこのままでいいのだろうか?」
「本当の自分ってなんだろう?」
…という疑問から起こる問題とも言えます。

変化の激しい今の世の中では、このアイデンティティ・クライシスを引き起こしているケースが多いように感じます。

そこで本記事では、このアイデンティティ・クライシスの…

  • 定義や特徴
  • 症状や徴候
  • 原因
  • 治療や解決方法

…について解説します。

アイデンティティ・クライシスとは?

アイデンティティ・クライシスとは、端的に説明すると…

「自分は一体何者なのか、自分にはこの社会で生きていく能力があるのか」といった疑問をいだき,心理的な危機状況に陥ること

…とされます。

つまり同一性の危機…を指します。

アイデンティティ(同一性)とは?

そもそもこのアイデンティティ(同一性)とはどのようなことを言うのでしょうか?

  • 「(他ならぬ)それそのものであって他のものではない」という状態や性質のこと
  • そのような同一性の確立の拠り所となる要素のこと

…という説明がされますが、簡潔に言えば「自分らしさ」という解釈で概ね間違いないような気もします。

ちなみに、このアイデンティティという言葉は、ドイツ出身の発達心理学者であるエリクソンという人が提唱しました。

アイデンティティ・クライシスの症状

アイデンティティ・クライシスの状態か否かは、特別に医師やセラピストの評価によって診断ができるわけではありません。
また、精神疾患のような典型的な症状というものもないため、一概に線引きが難しい状態ともされます。

あくまで一例ですが、アイデンティティ・クライシスの状態である可能性が高い徴候としては次のようなものがあげられます。

  • 自分がどんな人間であるかがわからない
  • 今の職業が向いているかどうかわからない
  • 離婚や別れといった自己の意識に影響を与える変化があった
  • 自分の価値観や信念が正しいのかわからなくなっている
  • いつまでも自分探しをしている
  • 興味や関心の対象が変わりやすい
  • 周りに合わせて態度が変わる
  • 自分について聞かれることが怖い

もちろん、年齢を重ねるだけ生活スタイルや価値観は変化していきます。
なにか大きな出来事が起こった場合に、自分を改めて見つめ直すという経験もあるはずです。

しかし、問題となるのはそれら疑問視することが日常生活に悪影響を与え始めると、これはアイデンティティ・クライシスの状態に陥っている…と考えてよいかもしれません。

アイデンティティ・クライシスの原因について

このアイデンティティ・クライシスですが、主な原因としてはどのようなものがあげられるのでしょうか?

多くの場合、アイデンティティクライシスは特定の年齢…例えば10代や“中年の危機(ミッドライフ・クライシス)で起こることが多いとされています。
しかし、変化の激しい現代社会においては、あらゆる年齢や人生の変化点で発生する可能性があると言えます。

要因となるストレスとは?

多くの場合、うつ病といった精神疾患と同様、生活上の大きなストレスをきっかけにアイデンティティ・クライシスが発生する可能性が高いとも言われています。

例としては…

  • 結婚
  • 離婚
  • 精神的ダメージを受ける経験
  • 家族や友人との別れ
  • 失業
  • 就職
  • 健康問題の発生

…などがあげられます。

これらのストレスの中には本質的には悪いものではないものもありますが、生活に変化を及ぼすという点ではストレスを引き起こす可能性があると考えられます。

アイデンティティ・クライシスの治療方法

このアイデンティティ・クライシスを乗り越える…いわば治療方法とはどのようなものがあるのでしょうか?

主に次のようなものがあげられます。

  • 好きなこと、嫌いなことを明確化する
  • 具体的にどう行動するかを計画する
  • サポートにつながるモノや人を探す
  • 他人や世間からの評価を無視してみる

以下に詳しく解説します。

好きなこと、嫌いなことを明確化する

アイデンティティ・クライシスの状態に陥ってしまっている時は、なによりまず焦らず、少し自分自身を見つめ直す時間をとることが必要です。
とはいっても、「自分を見つめ直すと言ってもどうすればいいの?」となる場合がほとんどだと思います。

そういう場合は…

  • 自分が好きなこと、幸せと感じるもの、意欲的になれること
  • 嫌いなこと、不幸と感じる事、人生で必要のないもの

この2つについて改めて考え、実際にペンで書きだしてみることが重要です。

できるできないは関係なく、あくまで自分自身の判断でどんどん書き出してみることです。
だれに見せるわけでもないですので、自由に思いつく限り書き出す作業を行います。

具体的にどう行動するかを計画する

書き出した“好きなこと”と“嫌いなこと”をそれぞれ…

  • 好きなこと、幸せと感じるもの、意欲的になれること…は、どうしたら増やすことができるか?
  • 嫌いなこと、不幸と感じる事、人生で必要のないもの…は、どうしたら減らすことができるか?

…実際にどう自分が行動すればよいかを計画に落とし込む作業を行います。

ポイントとしては、決して100%の計画にしないことです。
ぼんやりとした「方針」程度でも構わないので、どう行動するかの“足がかり”を作っておく…というイメージです。

サポートにつながるモノや人を探す

アイデンティティ・クライシスに陥ったときこそ、改めて周囲を見つめ直し、自分のサポートにつながるモノや人を探してみるというのも解決策の一つです。
ポイントとしては“新しく得ようとしないこと”だと思います。

あくまでも今まで自分の周りにあったけど、気付かなかったようなモノやコト、ヒト…というイメージです。

他人や世間からの評価を無視してみる

アイデンティティ・クライシスの状態に陥っていると、普段以上に他人の意見や状況に振り回されてしまいがちです。
そうすると自分自身を見失ってしまうのも当然とも言えます。

一度、他人や世間一般の常識、評価というものをシャットアウトして…

  • 本当に自分はなにがしたいのか?
  • 本当は自分はなにがしたくないのか?

…ということをシンプルに考えてみるという工程も重要だと思います。

まとめ

本記事では、アイデンティティ・クライシスについて解説しました。

アイデンティティ・クライシスとは…

  • 「自分は一体何者なのか」といった疑問をいだき,心理的な危機状況に陥ること
  • 自分を改めて見つめ直すことは問題ないが、日常生活に悪影響を及ぼしてしまうと対応が必要
  • 原因としては、特定の年齢や様々なライフイベントによるストレスがあげられる
  • 解決方法としては、本当に自分が好きなこと、嫌いなことを明確にし、実現するための行動計画を考える事
  • 自分のサポートにつながるモノやコト、ヒトを得ると同時に、世間一般の常識などは一旦無視してみる…ということも必要

作業療法士は語りたい!

正解がないからこそ、このアイデンティティ・クライシスは難しいかもしれませんね。
でも正解がないってことは、考え方によっては…
どんな選択肢でも“一つの正解の形”ってこととも言えるからね。
重要なのは、いかに自分が“納得できているか?”なんでしょうね。
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