脊髄損傷のクライアントにとって手洗い動作による手の清潔保持は感染予防の意味としても非常に必要性が高いADL動作と言えます。
今回はこの脊髄損傷の手洗い動作の必要性と支援のコツについてまとめました。

脊髄損傷は感染症になりやすい

脊髄損傷のクライアントは尿路感染症の発生頻度としては22~45%と比較的高い割合が統計結果として出されています。
その理由としては、間欠導尿、もしくは留置カテーテルによる排尿管理を受けていることがあげられます。
看護師といった医療専門スタッフによる管理の場合は比較的尿路感染症になる可能性は少ないものの、自己導尿の場合は手の不衛生状態が原因で尿路感染を併発するという可能性も否めません。

そのような理由からも、感染症にかかりやすい脊髄損傷のクライアントは積極的に手洗い動作による手の清潔保持を獲得することが必要と言えます。

脊髄損傷への手洗い動作支援のコツ

脊髄損傷への手洗い動作支援のコツとしては以下のような項目があげられます。

  • 車いすに対応できる洗面台に工夫する
  • アルコール消毒なども使用する
  • 自己導尿前は手洗いを徹底する

車いすに対応できる洗面台に工夫する

他の疾患の場合、洗面台に対して立位で手洗いを行う場合がありますが、脊髄損傷のクライアントの多くは立位姿勢保持が困難なため、手洗い動作は車いす乗車のままで行うことがほとんどと言えます。
そのため、車椅子に乗車したままでも手洗いや洗顔といった整容動作を行いやすくするための環境設定が必要になります。
必要によっては洗面台周辺のリフォームも検討する場合があります。

アルコール消毒なども使用する

尿路感染症といった感染症予防の意味が強い、脊髄損傷クライアントへの手洗い動作支援ですが、流水やハンドソープで洗うのみではなく、積極的なアルコールによる消毒も行う方がよいとされています。

自己導尿前は手洗いを徹底する

特に自己導尿を行う前はしっかりと手洗いをし、アルコールによる消毒をした後に行う必要があります。

まとめ

脊髄損傷のクライアントは、常に尿路感染症のリスクが高い状態にあることを理解した上で、手洗い動作といった感染予防策の徹底を行うことが必要になります。
作業療法士はクライアントの生活の質の低下を防ぐ“予防”的な観点や介入も求められると思います。

作業療法士は語りたい!

脊髄損傷のクライアントに自己導尿の方法や手順の指導は行っても、
感染症の対策としての手洗い動作…というところまでは徹底されていない場合が多いような気がしますね。
ただ動作を指導、訓練するのではなく、いかにその状態を悪化させず維持させていくかという観点でのアプローチも求められるってことだろうね!

参考論文

・Everaert K, Oostra C, Delanghe J, Vande Walle J, Van Laere M, Oosterlinck W. Diagnosis and localization of a complicated urinary tract infection in neurogenic bladder disease by tubular proteinuria and serum prostate specific antigen. Spinal Cord 1998;36:33-38