認知症のクライアントは多くの場合、その手が非常に不衛生状態になっていることが多くあります。
感染症予防のためにも、生活の中での頻繁な手洗い動作が必要にも関わらず、適切な対応をされていないのがほとんどのようです。
今回は認知症への手洗い動作支援が必要な理由とリハビリテーションのコツについてまとめました。

認知症に対して積極的な手洗い動作支援が必要な理由について

認知症のクライアントに対して手洗い動作の支援を積極的に行うべきだと考えます。
その理由としては、

  • 不衛生状態の手を介して感染する可能性が高いこと

…があげられます。

脳卒中による片麻痺のクライアントの麻痺側の手も、不衛生状態の可能性が高いのはもちろんですが、身体機能障害もあることからこの手を介して口腔内に伝搬し、体内に細菌感染するということは少ないような気がします。
それに比べて、認知症の場合は身体機能…特に手の機能は保持されていることから、便や陰部に触れ、そのまま何か食べ物をつかみ口に入れてしまう…といった危険性が高くなる可能性があります。
使用頻度が高く、手を介した感染機会が多いことからも、認知症のクライアントへの手洗い動作支援は積極的に行うことが必要と考えます。

認知症への手洗い動作支援のコツについて

では、認知症のクライアントに対して手洗い動作支援をおこなう場合、どのようなコツやポイントを抑えるべきなのでしょうか?
主に以下のような項目があげられます。

  • 弄便や陰部いじり、おむついじりの状態を把握する
  • 手洗い動作に対してポジティブなイメージを持つよう促す
  • わかりやすい手洗いの方法を検討する
  • 手洗い動作が習慣化するようにする

弄便や陰部いじり、おむついじりの状態を把握する

認知症のクライアントでも便をいじってしまう症状である“弄便”や陰部、おむつをいじってしまう症状がみられるケースがあります。
原因としては様々ですが、手の清潔状態の維持や感染予防のためにもまずこれらの問題行動の状態や状況をしっかりと把握しておくことが前提となります。

手洗い動作に対してポジティブなイメージを持つよう促す

実際の手洗い動作に対しての支援のコツですが、認知症のクライアント自身が手洗い動作に対して必要性を感じていない場合や、ネガティブなイメージを持っていると、いくら介護者や作業療法士が積極的に促しても定着しないことがほとんどです。
それどころか、精神的な不安定に陥ってしまい問題行動が悪化する…なんて場合もみられます。
対策としては、手洗い動作に対してクライアント自身が「心地いい」「楽しい」「さっぱりする」というようなポジティブなイメージをもつような環境設定、声掛け、工夫が必要になります。

わかりやすい手洗いの方法を検討する

認知症のクライアントに対して複雑な工程数の多い動作指示は、理解するのが困難であることからも定着しづらくなります。
できる限り工程数が少なく、わかりやすい、かつ清潔状態が保てる方法を検討する必要があります。

手洗い動作が習慣化するようにする

手洗い動作に対して拒否なく行うようになったら、習慣化するように促す必要があります。
食事の前後やトイレ後、帰宅時だけでなく、失禁してしまった後など「手が汚れた→手洗いをする」というパターンになるようにします。
この項目では、応用行動分析的なアプローチが必要になります。

まとめ

認知症のクライアントに対して手洗い動作への支援を行う場合、感染の原因になる問題行動にまで広げて考える必要があります。
身体機能面での問題ではない部分に、非常に難しさはあるのですが、いかにクライアント自身に手洗い動作を行うことでのメリットを感じ取れるとれるように促すか?がポイントだと思います。

作業療法士は語りたい!

認知症のクライアントに対してADL動作の支援を行う場合は、非常に内面への介入が必要なんでしょうね!
そのための手段として応用行動分析学などの知識も、作業療法士にとっては必要なのかもしれないね!

参考論文・文献

・訪問リハビリテーション利用者の保清状況に及ぼす影響について
応用行動分析学(ABA)で学ぶ認知症介護者行動プログラム

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