手洗い動作の目的の一つとして感染予防があげられますが、この目的のためには手洗い動作の質も求められます。
手洗い動作一つ評価するとなっても、様々な視点での評価が求められます。
今回はこの手洗い動作の評価方法についてまとめてみました。
目次
手洗い動作に関する評価について
作業療法士がクライアントの手洗い動作にフォーカスし評価を行う際、以下のような項目を評価する必要があります。
- 日常生活内で行われている手洗い動作の自立度
- 手洗い動作に対しての身体機能評価
- 手洗い動作に対しての精神機能評価
- 手洗い動作の達成度・質の評価
①日常生活内で行われている手洗い動作の自立度
クライアントが手洗い動作をどの程度の自立度で行っているのかという“手洗い動作の自立度”と評価する必要があります。
この自立度の評価方法としては、
- FIM
- Barthal Index(BI)
…があげられます。
FIM
“しているADL”を評価するFIMにおいては、手洗い動作は整容動作の判定基準内の一つの項目として扱われます。
FIMでは整容動作の自立度について7段階で評価します。
・関連記事:FIM(整容)
Barthal Index(BI)
“できるADL”を評価するBarthal Index(BI)において、手洗いは整容の項目内で扱われます。
そのため個別の動作としての評価はされず、あくまで“整容動作全体の中の一部”としての評価になります。
“自立”or“部分介助または全介助”の2段階で評価されます。
・関連記事:Barthel Index(BI)
②手洗い動作に対しての身体機能評価
手洗い動作における身体機能評価としては、主に
- 蛇口へのリーチ動作
- 蛇口の開閉動作
- 流水に対してのリーチ動作
- ハンドソープへのリーチ動作
- 両手を合わせての手洗い動作
- 姿勢保持能力
- 耐久性や疲労度
- 流水やハンドソープなどに対しての手の感覚機能
…といった工程や動作要素に対して評価することができます。
つまり、身体機能面への評価項目としては、
能力・機能 | 評価 |
---|---|
関節可動域 | ROM-T |
筋力 | MMT |
感覚機能 | 感覚検査 |
姿勢保持能力(バランス機能) | Berg Balance Scale(BBS) |
上肢の操作性 | STEF |
…などがあげられます。
*クライアントの疾患や症状、障害によって多少の違いはありますのでご了承ください。
③手洗い動作に対しての精神機能評価
手洗い動作に対しての精神機能を評価するには、
能力・機能 | 評価 |
---|---|
意欲 | CAS |
問題解決能力 | 包括的作業療法評価尺度(COTE) |
注意 | TMT・CAT・かなひろいテスト |
前頭葉機能 | WCST・FAB |
…といった項目が必要になります。
④手洗い動作の達成度・質の評価
手洗い動作の達成度や質の評価については市販の“グリッターバグ”を使用することが多いようです。
手洗い評価キット グリッターバグについて
手洗い動作を行ったあと、しっかりと手が洗えているかを評価し、トレーニングする教材としてこの“グリッターバグ”があげられます。
方法
グリッターバグの使用方法ですが、以下のような手順で行います。
- 手洗い前に、グリッターバグ専用のローションを一回押して手に取り、手の隅々に充分に擦り込みます
- 洗剤や石鹸、ハンドソープなどで手洗いをして、乾かします
- 乾いた手をグリッターバグにかざして確認します。汚れがきちんと落ちきれていないところは光って見えるため、どこの部分に洗い残しがあるのか視覚的にはっきりと確認できます。
パウダーについて
グリッターバグ専用のパウダーを使用することで、「接触による伝幡」「接触感染(MRSA等)」がどのような原理で広がるのか視覚的に確認することができます。
まとめ
手洗い動作も他の整容動作同様に、生活の中の自立度とその自立度を向上するための機能を評価する必要があります。
加えて感染予防という目的達成のためには、手洗い動作の質も求められます。