Rehabilitation

手洗い動作へのリハビリテーション – 目的・種類・タイミング・時間や回数・必要な機能について

 
手洗い動作へのリハビリテーション・目的、種類、タイミング、時間や回数、必要な機能について

手洗いは日常生活での感染予防策のなかでも最も重要な手段とされています。
重篤な疾病予防の観点からも、生活のなかでの手洗い動作は身に着けておく必要があります。
そこで今回は手洗い動作へのリハビリテーションを考えるにあたって必要な、手洗い動作の目的や種類などについてまとめました。

手洗いの目的とは?

手洗い動作の目的とは、主に

  • 手指の汚れを落とす清拭として
  • 手に付着した細菌、微生物を取り除く感染予防として

…があげられます。

つまり、手洗いの目的は衛生、清潔保持のためであること、そして感染症や食中毒の予防として機能しなくてはいけません。

手洗いには3つの種類がある?

手洗いには以下の3つの種類があり、それぞれTPOによって使い分けられています。

  • 日常的手洗い
  • 衛生的手洗い
  • 手術時手洗い

日常的手洗い

日常的手洗いとは、日常生活において行う手洗いで、配膳や食事、トイレといった日常的高位の前後に行われるものとされています。

衛生的手洗い

衛生的手洗いとは、中斜、ガーゼ交換など医療行為の前後の手洗いを指し、病院感染予防のための手洗いとされています。

手術時手洗い

手術時手洗いとは、術中感染予防のための手洗いであり、消毒薬配合スクラブを用いた厳密な手洗いを指します。

“衛生的手洗い”と“手術時手洗い”は医師や看護師、リハビリテーションセラピストといった医療従事者に対しての手洗いとして位置されるため、本記事の主旨とは該当しないため割愛し、“日常的手洗い”について考えていきます。

日常生活内で手を洗うタイミングについて

では、実際日常生活内でいつ手洗いを行うのか?
そのタイミングについては以下のような状況があげられます。

  • トイレ使用後
  • 廃棄物処理などの作業を行った後
  • 調理前や調理中の必要時
  • 外出先からの帰宅時
  • 嘔吐物を処理したり接触した後
  • 乳幼児等の嘔吐や下痢便を処理した後

つまり、これらの状況下の時は特に手洗いを必要とすると判断してよいといえます。

感染予防として効果的な手洗いについて

前述したように手洗い動作の目的の一つに感染予防があります。
しかし、その手洗いの方法によっては感染予防として意味をなさない場合もあります。
推奨されている手洗い方法としては、

  • 固形石鹸ではなくハンドソープ(自動吐出タイプ)を使用
  • 乾燥にはペーパータオルやハンドドライヤーを使用

…とされています。
タオルや石鹸といった他の人と共用するものを使用すると、病原性微生物の伝搬になる可能性が高くなるというのが主な理由になります。

手洗いの時間・回数による効果について

では、実際に感染予防のためには手洗いをどの位の時間、何回行うのがよいのでしょうか?
手洗いによるウイルス除去効果の検討によると、以下のような結果が報告されています。

手洗いの方法 残存ウイルス数(残存率)
手洗いなし 約1,000,000個
流水で15秒手洗い 約10,000個(約1%)
ハンドソープで10秒または30秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ 数百個(約0.01%)
ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ 数十個(約0.001%)
ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返す 約数個(約0.0001%)

参考:Norovirus の代替指標として Feline Calicivirus を用いた手洗いによるウイルス除去効果の検討

つまり、感染予防効果が高い手洗い方法としては、ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返す…という方法になります。

アルコール消毒の有効性について

手洗い動作において、アルコール擦式製剤には短時間で細菌からウイルスまで幅広い微生物に対する非常に高い消毒効果があります。
また通過菌に対する効果も優れているようです。
しかし、手洗い動作のもうひとつの目的である汚れを落とす清拭としての機能はあまり期待できないので使い分ける必要があります。

ウェットティッシュのみの有効性について

手洗いをウェットティッシュでの清拭のみで済ませる場合がありますが、感染予防の効果としてはどのようなものなのでしょうか?
報告によると、アルコールタイプのウェットティッシュのほうがノンアルコールタイプのものよりも除菌効果が高い傾向があったようです。

手洗い動作に必要な身体機能について

では実際に手洗い動作に必要な身体機能とはどのようなものになるのでしょうか?

主なものとして、

  1. 関節可動域
  2. 筋力
  3. 感覚機能
  4. 姿勢保持能力(バランス機能)
  5. 上肢の操作能力・手指の巧緻能力

…といった項目があげられます。

①関節可動域

手洗い動作を行うためには、

  • 蛇口からの流水へのリーチ
  • 両手を合わせるだけの可動域
  • ペーパータオルへのリーチ

…の確保が必要になります。

②筋力

手洗い動作において、筋力が必要な場面は、

  • 蛇口の栓の開閉に必要な筋力
  • 蛇口からの流水までリーチし、上肢を空間保持したまま洗浄するための筋力
  • ハンドソープ使用時の操作
  • ペーパータオルを取り出すときの筋力

…などがあげられます。

③感覚機能

手洗い動作で最も感覚機能を必要とするのは、

  • 手を合わせて洗いあう時

…になります。
片麻痺ではない場合は、両手がどちらも協調的に洗いあう動きをするため、両手の感覚フィードバックが必要になります。

④姿勢保持能力(バランス機能)

手洗い動作を洗面台に向かって立位で行うのか、もしくは座位姿勢のままで行うのかは状況によるところが多いですが、一定の動作性姿勢保持能力は求められます。

⑤上肢の操作能力・手指の巧緻能力

上肢の操作能力や手指の巧緻能力を必要とするのは、

  • 蛇口の栓の開閉
  • ハンドソープの操作
  • 両手で泡立てる
  • ペーパータオルを取りだす
  • ペーパータオルで拭く

…などがあげられます。

手洗い動作に必要とされる精神、認知機能

手洗い動作に必要とされる精神、認知機能ですが、

  • 意欲
  • 前頭葉機能
  • 問題解決能力
  • 注意
  • ワーキングメモリー

…といったものがあげられます。

意欲

そもそも手洗い動作の目的を理解し、生活のなかで手洗い動作に対しての意欲があることが前提となります。

前頭葉機能

ハンドソープの使用手順、蛇口の栓を開けるタイミングやタオルを事前に準備しておく…といった全体のプランニングや遂行能力が求められます。

問題解決能力

予期せぬ事態になった際、対処できるような能力が求められます。

注意

手洗い動作において注意能力が必要な場面の例としては、

  • 蛇口の水を出しっぱなしにする
  • 他の侵害刺激に気を取られ、動作がストップしてしまう

…といったことが想定できます。

ワーキングメモリー

ワーキングメモリー機能に障害がある場合、手洗い動作場面でハンドソープでの手洗いやすすぎなど適切にできなくなる場合があるようです。

まとめ

実際に生活の中で手洗い動作の目的などについて考えると、非常に“感染予防”の意味として重要な印象を受けます。
作業療法士をはじめリハビリテーションを必要とするクライアントの多くは抵抗力や免疫力が低く、感染しやすい状況下にあると言えます。
手洗い動作をしっかりできるように支援することで、感染予防にもつながっていくのだと思います。

作業療法士は語りたい!

インフルエンザやノロウイルスなどが流行したときも、手洗いは非常に推奨されてましたからね!
できる範囲での感染予防策としては、手洗いは非常に簡易的かつ効果的な方法なんだろうね!

参考論文

・感染予防に向けた高齢者への手洗い指導方法の検討
・ウェットティシュと手洗いによる除菌効果の比較
・手洗い過程における手指の細菌数の変化から見た有効な石鹸と流水による手洗いの検討
・Norovirus の代替指標として Feline Calicivirus を用いた手洗いによるウイルス除去効果の検討

 

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