FIMの認知項目の一つであり“記憶”を評価するのって難しいとされています。
僕自身、講習会に参加して勉強しましたがそれでもなかなか理解するまで時間がかかりました。

本記事では

  • FIMの記憶の項目の点数別の例はどんなのがあるの?
  • 採点するコツってどんなのがあるの?
  • 失語症の場合、どう評価すればよいの?
  • 依頼を覚えているかどうかがポイントってどういうこと?

…といった疑問を解決します。

FIMの“記憶”について

まず、FIMの記憶の項目の定義についてですが、端的に表すと次の通りになります。

  • 施設または社会的場面において日常的な活動を行うときの認知と記憶に関連した技能
  • 日常生活を行う上で必要になる内容を覚えていられるかどうか
  • 一般にメモを取らないと覚えていられないような特殊な内容は含まれない
  • 言語的、視覚的情報を記憶し、再生する能力
  • 課題の遂行の能力だけでなく、学習の能力も含む

特に言語的・視覚的情報を記憶し再生する能力を指すことになります。

FIMの“記憶”の評価ポイントについて


FIMで記憶を評価する際のポイントとしてですが、結論から言えば次の通りになります。

日常的活動で情報を記憶し再生することができるかどうか?

具体的には下記の3つの内容を覚えていられるかどうかで判断します。

  1. 日常でかかわりの深い人
  2. 毎日の日課
  3. 他人からの依頼

詳しく解説します。

1.日常でかかわりの深い人

その対象者の日常生活において関わりが深い人について覚えているかどうか?が1つのポイントになります。

例としては以下の人物があげられます。

  • 家族
  • 担当スタッフ(医師、OT,PT,ST,看護師など)
  • 同部屋の他患者など

注意点としては、その人物の名前に関しての記憶は対象とはなりません。
認識しているかどうか?で判断することになります。

2.毎日の日課

次に対象者の毎日の日課について覚えているか?もポイントになります。

例としては次のような日課があげられます。

  • 起床や就寝の時間
  • 食事の時間、場所
  • 訓練の時間、場所など

また、メモリーノートや予定表の使用についても確認する必要があります。

3.他人からの依頼

3つ目のポイントとしては、他人から依頼された内容について覚えているかどうか?になります。
例としては次のような依頼があげられます。

  • 手を洗ってください(1段階の命令)
  • 手を洗ってナースステーションに行ってください(2段階の命令)
  • 手を洗って、ナースステーションに行って、カギを受け取ってください(3段階の命令)

後述しますが、3段階の命令を記憶することができれば7点(完全自立)、2段階の命令を記憶できれば5点(監視・準備)という判断の基準になります。

注意点

FIMの“記憶”の項目では、評価対象はあくまで日常生活を送るうえで必要な内容になります。
同じ記憶とは言っても、“昔の思い出”や“1か月先の予定”といったものは対象外になります。

FIMの“記憶”の採点基準と具体例


では、FIMの“記憶”の項目を評価する際の点数別の考え方と、臨床や現場での具体例について以下に解説します。

7点(完全自立)

  • 『頻繁に出会う人』『毎日の日課』『他人からの依頼』の3課題を自分一人で記憶、再生することができる
  • 他人からの依頼を繰り返し聞き返す必要なく実行することができる
  • 自立しているが、1ヶ月に1,2回程度、日課のスケジュールを忘れることがある(一般人でもあるレベル)

6点(修正自立)

  • 『頻繁に出会う人』『毎日の日課』『他人からの依頼』の3課題を記憶、再生するのにわずかに困難を伴う
  • 独自のまたは周囲のものからの手掛かり、促しまたは補助具(メモリーノート等)を使うこともある
  • 通常以上の時間がかかる

5点(監視)

  • 3課題を記憶、再生するのに手帳やスケジュール帳、他者の補助が必要
  • 緊張しているとき、あるいは、不慣れな状況では促しが必要(たとえば手がかりまたは繰り返し、助言など)
  • 3課題が「10%未満」で記憶・再生できない
  • メモリーノートの使用を10回に一回程度思い出させてもらう必要がある
  • 人の認識はでき、日課も言えるが、3段階の命令は困難で2段階であれば可能

4点(最小介助・促し)

  • 予定表を見て行動しているが、予定表を見ること自体を10-25%の頻度で声掛けしないと忘れてしまう
  • 3課題が“75%以上90%未満”の場面を認識し記憶している

3点(中等度介助・促し)

  • 担当スタッフの顔は認識し、朝の検温といった日課は覚えたが、頼まれた依頼内容は覚えていない
  • 3課題が“50%以上75%未満”の場面を認識し記憶している

2点(最大介助・促し)

  • 担当スタッフは認識しているが、日課は覚えておらず、依頼には答えられない
  • 3課題が“25%以上50%未満”の場面を認識し記憶している
  • 半分以上の時間は促しが必要

1点(全介助)

  • 担当リハビリスタッフは覚えているが、担当の看護師や同室者は覚えておらず、日課や、他人からの依頼にも応えられない
  • 3課題が“25%未満”の場面でしか認識し記憶していない
  • あるいは効果的に認識し記憶しない

失語症の場合の評価ポイント

FIMの“記憶”を評価する際、対象者が失語症を呈している場合は言語的なフィードバックが得られにくいため判断に困ることが多いようです。
その際のポイントを具体的に例で説明すると…

  • よく会う人を認識しているかどうかは、名前を言えなくてもその表情や行動(側に行くetc)によって判断する
  • 対象者がウェルニッケ失語症の場合は、他人の依頼という命令が入らないため、3つのジェスチャーを真似することができたら依頼を実行できたと判断する

…となります。

Q&A

記憶”における介助ってどういう意味ですか?
FIMの記憶の項目における“介助”とは、日常的活動における情報(関わりの深い人、毎日の日課、他人からの依頼)について記憶や再生(実行)を促すこととされています。
具体的な例としては、

  • 助言(声掛け)する
  • 道具(ノートや日課表)を見るよう促す
  • 道具の使用、作成を援助する
  • 依頼を繰り返す

…などがあげられます。

まとめ

本記事では、FIMの認知項目である“記憶”を評価する際のポイントや点数の付け方、具体例、注意点などについて解説しました。

FIMの“記憶”をまとめると…

  • 言語的・視覚的情報を記憶し再生する能力を評価する
  • 日常的活動で情報を記憶し再生することができるかどうかがポイント
  • 具体的には“日常で関わりの深い人”、“毎日の日課”、“他人からの依頼”の3つ
  • 失語症の場合は、その表情や仕草、模倣などによって判断する

作業療法士は語りたい!

FIMの記憶の項目は少しテスト的に行う場合がありそうですね!
FIMはあくまで“しているADL”が対象だけど、“階段”の項目と同じで“できるADL”をみる視点が必要ってことだね!
脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編] (実践リハビリテーション・シリーズ)

脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編] (実践リハビリテーション・シリーズ)

千野 直一, 椿原 彰夫, 園田 茂, 道免 和久, 高橋 秀寿
2,808円(09/20 09:58時点)
発売日: 2012/12/26
Amazonの情報を掲載しています
sponsored Link