FIMで更衣動作を評価する際に、「どこまで分析的にみればよいのか?」「義手やスプリントなどの補装具の着脱は含むのか?」といった疑問が臨床や現場でよくきかれます。
そこで今回は『FIMの更衣(上半身)における項目や具体例、採点方法』などについてまとめました!

更衣(上半身)の評価対象の課題

FIMにおける更衣(上半身)を評価する際、対象となる課題の動作とはなにがあげられるのでしょうか?

シンプルですが、更衣(上半身)における評価対象の課題は次の動作になります。

  • 腰より上の衣服の着脱動作

更衣(上半身)の採点のポイント

クライアントの更衣(上半身)をFIMで採点する際のポイントとしては、

  • 上衣を「かぶる」「片袖を通す」「もう一方の袖を通す」「衣服を引きおろす」の4動作にわけ、そのうちどれくらい自分でできるのかを評価する
  • その上でそれぞれの動作工程が何%できているか

かぶりシャツ・前開きシャツそれぞれの工程について

この上衣の更衣ですが、大きく分けて“かぶりシャツ”と“前開きシャツ”の2種類に分けることができます。
また、それぞれ次の4つの動作工程に分けることができます。

かぶりシャツ

  1. 片袖を通す(25%)
  2. かぶる(25%)
  3. もう一方の片袖を通す(25%)
  4. 引き下ろす(25%)
前開きシャツ

  1. 片袖を通す(25%)
  2. 背中にまわす(25%)
  3. もう一方の片袖を通す(25%)
  4. ボタンを止める(25%)

それぞれこれらの4動作に分けて評価をしますが、クライアントはこの4動作のうちいくつの動作を自分で行えているのか?…で採点します。

更衣(上半身)を採点する際の注意点

更衣(上半身)を評価する際に、よくやりがちな間違い、注意点は以下のとおり。

  1. 入浴前後の着脱は特殊な状況なので評価対象外となる
  2. かぶりシャツと前開きシャツを着ている場合、主に着ている方の自立度をみる
  3. 義肢や装具を装着している場合はその着脱も含まれる

以下に詳しく解説します。

①入浴前後の着脱は特殊な状況なので評価対象外となる

クライアントによってはその動作能力によって、入浴後身体が乾ききっていない状況ではなかなか更衣動作に手間がかかる…なんて場合もあります。
あくまでFIMにおける更衣(上半身)の項目は“普段の下衣の更衣動作”を評価対象としているため、入浴に関する下衣の着脱は評価対象とはなりませんので注意が必要です!

②かぶりシャツと前開きシャツを着ている場合、主に着ている方の自立度をみる

こちらもあくまで“しているADL”という普段のADL動作に対する評価ですので、評価時主に着用しているタイプの上衣で評価を行います。

③義肢や装具を装着している場合はその着脱も含まれる

これは更衣(下半身)でも同じなのですが、義手やスプリントといった装具の着脱も更衣動作に含みます。
しかしFIMの更衣(上半身)の主な動作ではないので、仮に義手や装具の着脱が全介助だったとしても5点までしか減点されないというルールがあるので注意が必要です。

FIM-更衣(上半身)の採点基準と具体例

では、更衣(上半身)の採点基準と実際の臨床や現場で多くみられる具体例を以下にまとめます。

7点(完全自立)

  • 引き出しや押し入れのような通例の場所から衣類を取り出すことを含めた衣服の着脱が一人で可能
  • ブラジャー、頭からかぶる衣服、前開きの衣服の着脱、ジッパー、留め金、およびスナップの取り扱い、義肢、装具の着脱も含む動作が一人で可能

6点(修正自立)

  • 一人でできるが、通常の3倍以上の時間がかかる
  • マジックテープのように改良し特殊な部品または、補装具(義肢、装具含む)が必要となる

5点(監視または準備)

  • 上衣の更衣動作において、監視(例として待機、指示、または促し)または準備(装具の装着、衣類や特殊な更衣用具の準備)が必要
  • 背中の衣類がちゃんと着れているか声かけや監視が必要
  • タンスから衣類を出し、片付けて貰えば自分で着替えをすることができる

4点(最小介助)

  • 更衣の“75%以上”を行う(介助量<25%)
  • 更衣動作(上衣)の4つの動作のうち3/4項目以上は自分で行うことができる

3点(中等度介助)

  • 更衣の“50%~75%未満”までを自分で行うことができる(25%≦介助量<50%)
  • 更衣動作(上衣)の4つの動作のうち2/4項目は自分で行うことができる

2点(最大介助)

  • 更衣の“25%~50%未満”を自分で行う(50%≦介助量<75%)
  • 更衣動作(上衣)の4つの動作のうち1/4項目は自分で行うことができる

1点(全介助)

  • 更衣動作の“25%未満”しか行わない
  • または更衣をしない(75%≦介助量)

まとめ

上衣の更衣動作をFIMで評価する際に、その動作工程をどこまで分析的にみるのか?で結構迷ってしまう印象があります。
作業療法士としてはその職業の性格上、更衣動作を非常に細かく分析してしまいがちですが、あくまでFIMによる評価のルールに従って分析し、採点をする必要があります。

作業療法士は語りたい!

入院患者さんで病衣を主に着て過ごされている場合は、
“前開きシャツ”での評価になるんですか?
FIMは“しているADL”の評価方法だから、
評価する時点で来ている頻度が高い上衣の形状で評価する必要があるね!