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FIM移乗(ベッド・イス・車いす)における項目や具体例、採点方法などについて

 

FIMにおいてベッドやイス、車いすへの移乗を評価する際、「手すりを使用している場合は何点になるのか?」「車椅子の位置を決めないといけない場合はどうするのか?」といった疑問が臨床や現場で多くでてくると思います。
そこで今回は『FIM移乗(ベッド・イス・車椅子)における項目や具体例、採点方法』について解説します!

FIM 移乗(ベッド、椅子、車椅子)の評価対象について

FIMにおける移乗(ベッド・イス・車椅子)を評価する際、対象となる課題の動作とはなにがあげられるのでしょうか?

端的に説明すれば、以下のようになります。

ベッド、椅子、車椅子の間での移乗のすべての段階

FIM 移乗(ベッド、椅子、車椅子)を採点する際の注意点

FIM 移乗(ベッド、椅子、車椅子)をFIMで評価する際に、よくやりがちな間違い、注意点は以下のとおりになります。

  • 歩行が移動の主要な手段である場合は、“起立動作”も評価対象に含む
  • 往復で点数が異なる場合は、低い方で採点する
  • ベッドからの起き上がり動作も比重は少ないが評価対象とする

以下に詳しく解説します。

歩行が移動の主要な手段である場合は、“起立動作”も評価対象に含む

車椅子による移動の場合、車椅子へ移乗することが前提条件となります。
この発想だと、歩行による移動の場合は、立ち上がることが前提条件となります。
つまり、歩行が主な移動手段の場合は、前提条件である立ち上がりも評価対象となるのは当然とFIMでは考えます。

往復で点数が異なる場合は、低い方で採点する

これはFIMの運動項目における採点ルールに従ってのことになります。

ベッドからの起き上がり動作も比重は少ないが評価対象とする

この項目ではあくまで移乗動作にフォーカスをあてた評価ですが、ベッドから起き上がらなければ移乗動作自体成立しない点からも、比重は少ないものの全く無視はできない評価対象と判断されます。

FIMの移乗(ベッド、椅子、車いす)の採点基準と具体例

では、FIMの移乗(ベッド、椅子、車いす)の採点基準と実際の臨床や現場で多くみられる具体例を以下にまとめます

7点(完全自立)

  • 歩行の場合、通常のいすの前に近づき、すわり、そこから立ち上がることが一人でできる
  • 車いすの場合、ベッドまたは椅子まで近づき、ブレーキをかけフットレストを上げ、必要ならアームレストをとり、そして立位で方向をかえるかまたは滑って移動し、そしてもとに戻ることで、これらを安全に行うことが一人でできる
  • ベッドから椅子に乗り移ることで、これらを安全に行う

6点(修正自立)

  • スライディングボード、リフト、手すり、特殊な椅子や腰掛け、装具、杖のような補助具(adaptive or assistive device)(義肢・装具を含む)が必要
  • 通常以上の時間がかかるまたは安全性の考慮が必要
  • 義足を使用しているが、完全に自立している場合
  • 車いすを使用して移乗が自立しているが、車椅子のアームレストが外れるなど移乗を容易にできるよう工夫されている

5点(監視または準備)

  • 監視(たとえば待機、指示または促し)または準備(スライディングボードを置く、フットレストを動かすなど)が必要
  • 車椅子のロックやいすの位置決めに介助or監視が必要
  • 布団や毛布の管理ができず、準備が必要だが、移乗は一人で可能

4点(最小介助)

  • 移乗動作の75%以上”を行う(介助量<25%)
  • 介助者が腰に触れ動作誘導するが持ち上げるような介助は必要ない場合

3点(中等度介助)

  • 移乗動作の“50%~75%未満”までを自分で行うことができる(25%≦介助量<50%)
  • 手を添えてもらい、ある程度引き上げてもらうことが必要
  • ベッドからの起き上がりが完全解除で、乗り移りが完全自立である場合

2点(最大介助)

  • 移乗動作の“25%~50%未満”を自分で行う(50%≦介助量<75%)
  • 身体を持ち上げながら、回してもらう必要がある

1点(全介助)

  • 移乗動作の“25%未満”しか行わない
  • リフターに乗せてもらい、運んでもらう

*ベッドから椅子への移乗を評価する際は、患者は仰臥位から始め、仰臥位までを行います!

FIM移乗において介助とは?

FIM移乗における“介助”とは、あくまで患者自身に手を触れることが前提となります。

FIM移乗の動作分析

FIM移乗は、移乗動作を“立つ”、“回る”、“座る”の3動作に分けて考えます。
その3動作のうちいくつの動作要素に介助が必要かどうかで介助量として判断します。

FIMの移乗を評価する際の間違えやすいポイント

では、実際にFIMの移乗を評価する際に臨床や現場でよく間違えやすいポイントを中心に解説します!

車いすの位置変え、セッティングについて

FIMの移乗において移乗しやすいように車いすの位置を変えたり、セッティングすることは“準備”にあたります。

抑制帯をしている場合

普段、歩き出しや転倒防止のための抑制帯を使用しており、移乗する際には抑制帯の介助をスタッフによって行われなければならない…という場合も、“準備”にあたります。

掛布団を片付ける場合

掛布団を自分で外すことができず、移乗する際にスタッフによって片付けてもらうことが必要という場合も“準備”にあたります。

移乗の往復で介助量が異なる場合

往きと戻りで介助量が異なる場合は点数の低い方を取ります。

昼と夜とで異なる場合

これも低い方の点数をとります。

ベッドからの起き上がりも評価対象

FIM移乗においてベッドからの起き上がり動作も比重は少ないものの評価対象となります。
例として、起き上がりのみ全介助で移乗動作は自立している場合は“3点”になります。

FIM移乗の介助の程度による採点イメージ

上記の内容と多少重複しますが、FIM移乗の介助の程度による採点イメージとしては…

4点:念のため手を触れられている
3点:軽く引き上げられる
2点:しっかり引き上げ、回してもらう
1点:してもらうばかり。2人介助。
…といったことになります。

まとめ

FIMの移乗といっても、実際は布団をどかし、起き上がり、移乗する…といった工程も評価対象となるので注意が必要です。
FIMの運動項目の採点基準を参考に、何が準備にあたり、介助量と点数の関係をしっかりと把握する必要があります!

作業療法士は語りたい!

“移乗”といってもただ単純にAの場所からBの場所へ移乗するだけをみるんではないんですね!
その移乗動作自体を行うに必要な前提条件もこの項目では評価対象としてみなければならないってことだろうね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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