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作業療法士の職域拡大について – OTが活躍できる領域・職場別で可能性を考えてみた

 

作業療法士として長く働いていると、非常に作業療法士って多様性に富む珍しい職種だなって感じます。
そこで本記事では、作業療法士が活躍している現場の種類についてご紹介します。

想定読者としては…

  • 作業療法士としてキャリアアップを考えている
  • 作業療法士の職域拡大に興味がある

…といった方になります。

領域別

まずは、作業療法士が活躍できる現場を領域別で分けてみます。

身体障害領域

先天的もしくは後天的な理由から、身体機能の一部に障害を生じている状態や障害である“身体障害”への支援を行います。

この身体障害を呈した原因は様々であり…

  • 中枢性疾患:脳卒中、頭部外傷etc
  • 整形疾患:骨折、脊髄損傷etc
  • 内科疾患:心臓などの循環器障害や消化系疾患
  • 難病:パーキンソン病や筋ジストロフィーetc
  • 廃用症候群

…などがあげられます。
“医療職”として作業療法士が活躍できる領域としては最も人数が多いようです。

精神障害領域

何かしらの脳の器質的変化、もしくは機能的障害が起ることで、さまざまな精神症状、身体症状、行動の変化が見られる状態である“精神障害”への支援を行います。

この精神障害は…

  • 統合失調症
  • 感情障害
  • 器質性精神障害
  • 依存症
  • 摂食障害

…などがあげられます。
作業療法の特性を考えると、今後の社会において精神障害領域の作業療法士はもっと需要が高まると考えられています。

発達障害領域

身体や精神、また学習や言語、行動における一連の症状が、発達中に発見され、生涯にわたって持続する障害とされる“発達障害”への支援を行います。

この発達障害は…

  • 脳性麻痺
  • 自閉症
  • 精神遅滞 知的障害
  • 染色体異常
  • てんかん
  • 重症心身障害

…などがあげられます。

発達障害領域の施設は、他の病院に比べると少ないこともあって身体障害、精神障害に比べると活躍している人数は少ない印象を持ちます。
しかし、“大人の発達障害”による社会生活の問題が顕在化している昨今では、今後需要と活躍できる場が広がっていくとも考えられます。

高齢者領域

前述した“身体障害”や“精神障害”と重複する疾患、障害もありますが、特に高齢の方を対象としています。

  • 脳血管障害
  • 廃用症候群
  • 認知症
  • 心疾患
  • 呼吸器疾患
  • 悪性新生物(がん)

…といった障害、疾患を主に対象とします。
超高齢化社会を迎える日本において、身体障害、精神障害領域の知識、経験だけでなく、老々介護や高齢者の独居などの“高齢者”特有の問題や課題を把握し、支援できる作業療法士が求められてくると思います。

職業関連領域

主に“仕事への復帰”や“就労”といった“働く”ことへの支援になります。

対象とする疾患は身体障害、精神障害、発達障害様々ですが、支援内容としては…

  • 職業の内容や種類
  • 対人関係
  • セルフコントロール
  • 職業支援関連施設との協力

…といったものがメインになります。

教育領域

海外ではスクールカウンセラーに近いポジションの作業療法士が多くいることからも、この教育領域で活躍する作業療法士は求められてくると思います。
実際、作業療法士の協会でも特別支援学校への支援の取り組みに力を入れているようです。

加えて、作業療法士の専門学校、大学の教員もこの教育領域に含まれるかと思います。

福祉用具領域

普段の臨床や現場で福祉用具の選定や住宅改修に関わる機会も多い作業療法士は、福祉用具領域でも活躍できます。
また、バリアフリーや住宅改修、リフォームといった建築の分野にも広げることができると考えられます。

社会支援領域

“社会支援”の領域でも主に…

  • 発展途上国への支援
  • 災害現場への支援

…があげられます。

内容としては…健康管理やコミュニティの運営など多岐に渡るため、非常に広い知識と応用力が求められる領域とも言えます。

領域別で作業療法士が活躍できる現場を考えると、なんとなくイメージどおりですね!
身体障害領域の作業療法士…といっても、実際は福祉用具にも関わったりするからね!

職場別

ここでは、ある程度絞った作業療法士が活躍できる“職場”を解説します。

病院

作業療法士が活躍する職場としては最も多いのが病院になります。
これは一般病院からクリニックまで様々です、
また、身体障害でも整形外科、精神障害など特化している病院もあるようです。

施設

介護保険制度ができてから、介護保険施設やデイサービス、デイケアで活躍する作業療法士も増えてきています。
実際病院に勤務する人数に次いで、介護老人保健施設勤務の人数が多いという統計もあるようです。

訪問ステーション

地域医療や在宅診療を後押しする政策も背中押しされていることから、訪問ステーションで活躍している作業療法士も増えてきています。
実際今後の医療の中心は在宅を含めた地域に移行するといわれているため、さらに需要が増えると考えられます。

学校

上述したように、海外では小学校や中学校に勤務する作業療法士が多くいらっしゃるようです。
主にスクールカウンセラーとしての位置になるようですが、対象としては軽度発達障害の場合が多いようです。

幼稚園・保育園

幼児教育、保育分野に作業療法の知識や技術を取り入れるという発想が背景にあります。
実際に、作業療法士の免許を持っている保育園の園長先生もいらっしゃいます。
通常の児童を対象にする場合と、やはり発達障害を有している児童を対象とするケースが多いようです。

学童保育・放課後デイサービス

ここ最近増えてきたように感じるのが、学童保育や放課後デイサービスで活躍する作業療法士です。
実際に発達障害児向けの放課後デイサービスを立ち上げ、運営し、現場でも活躍している作業療法士もいらっしゃいます。
絶対数としてはまだまだ少ないですが、今後さらに需要が高まっていくと考えられます。

免許センター

高齢者による自動車事故の増加に伴い、非常に作業療法士による自動車運転支援の必要性が高まってきています。
実際に2018年には神奈川の免許センターに作業療法士が非常勤職員として採用されたケースもあるので、今後作業療法士の活躍する職場のひとつとして可能性があります。

行政

市役所や県庁で公務員として勤務する作業療法士も人数が少ないながらもいらっしゃいます。
業務内容に関しては、勤務する課によって多少の違いはあるものの、健康やコミュニティ、社会支援といったものが多いようです。

養成校

作業療法士の専門学校や大学で教員として活躍するケースです。
大学の場合だと教授や助教授といったポジションになるためには論文や研究も行う必要があるので、非常に大変らしいです。
ここまでくると“作業療法士”というよりは“作業療法”という学問を扱う…という捉え方になるイメージを持っています。

職業センター

“就労支援”の業務に作業療法士が携わるケースもあり、職業センターもそのうちの一つです。
作業療法士の他にジョブコーチといった資格を持つ場合もあるようです。
対象としては、障害を有する人はもちろん、一般の離職者の人もいらっしゃいます。

刑務所

“司法領域”や“触法”といった表現をされますが、刑務所内で受刑者に対して作業療法を行う…というケースです。
受刑者の中には障害を有している人や高齢者もいらっしゃることから、作業療法士としての基礎知識に加え、司法に関する知識も必要になるようです。
“受刑者の社会復帰”という観点からも重要な役割を担っていると考えられます。

企業・社団法人

自分で起業をし、デイケアやデイサービス、介護老人保健施設を運営する作業療法士も増えてきています。
また、自費による整体院や一般社団法人によるセミナー事業などを行うというケースもあります。

旅行代理店

障害を有する人でも旅行を楽しめるように支援する業務を担う作業療法士の方もいらっしゃいます。
やはり障害を持つと、日常生活から離れる“旅行”は非常にハードルが高い活動になるということからも、専門知識を持つ作業療法士の支援が求められてくるようです。
実際に、リハビリ推進センター株式会社によるリハビリ旅行事業、HISユニバーサルツーリズムデスクによる旅リハといったものがあるので、今後“旅行×リハビリ”という分野に参入する企業は増えてくるとみています。

経営コンサルタント会社

企業への経営コンサルタントを行う“船井総研”は、病院や治療院向けのコンサルティングに元理学療法士の方が関わっているようです。
臨床での経験を活かして医療経営コンサルタントを行うというケースになります。
同じように、今後は“作業療法士×経営コンサルタント”というのも現れてくる可能性があります。

ボードゲーム会社

海外の子供向けボードゲーム開発会社の創始者がルーシー・ジェーン・ミラーという小児作業療法学の著名な研究者のようです。
主に自閉症スペクトラム障害をもつ児童のために作られているボードゲームですが、すべての子供にも適していることから非常に人気が高いゲームのようです。

JICA

青年海外協力隊として発展途上国で働く作業療法士も増えてきているようです。
JICA(独立行政法人国際協力機構)に登録し、研修を受け、途上国へ行く…というプロセスのようです。
作業療法やリハビリテーションの知識、技術だけでなく、その国の言葉なども使うことができないといけないので大変のようです。
ちなみに2019年度では、マレーシア、ベトナム、モンゴル、ドミニカ、ニカラグア、チリなど26件の募集がありました。

作業療法は非常に汎用性が高い

このように作業療法士が活躍する現場って非常に多岐に渡ると思います。
作業療法が扱う分野って身体障害や福祉用具、精神機能やアクティビティなど非常に幅が広い珍しい職種と言えます。

この幅の広さが一般的な認知度の低さに繋がっているのかもしれませんが、逆に考えれば…

様々なものと組み合わせる、掛け合わせることができる稀有な職種

…とも言えるかと思います。

まとめ

本記事では作業療法士が活躍できる領域や分野について実際の事例を踏まえて考えてみました。

作業療法士が活躍できる場は…

  • 医療、介護だけでなく教育や就労など非常に幅が広い
  • 作業療法=医療職だけで捉えるのはもったいない
  • 様々なものと組み合わせる、掛け合わせることで作業療法の職域拡大の可能性は高くなる

作業療法士は語りたい!

前例が少ないというだけで、活躍できる場を狭めてしまうのはもったいないですよね!
“作業”という人間の生活上必要不可欠な行為を対象としているなら、
極端な話、参入できない分野はないと思うんだよね!
『作業療法×〇〇』という発想が、今後のキャリアアップには必要かもしれませんね!

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