作業療法をはじめ、リハビリテーション医療においての臨床現場では感覚・知覚検査って非常に頻繁に行う機会がある検査です。
そこで今回は『感覚・知覚検査の種類と方法、注意点』についてまとめてみました。

目次

感覚、知覚の違い


そもそもこの“感覚”と“知覚”にはどのような違いがあるのでしょうか?
端的に言えば、

感覚:内外の刺激情報が対応する感覚受容器に受けたときに意識される内容
知覚:過去の経験に基づいて情報の意味が何であるか感知分別すること
…となります。

知覚の種類


知覚には大きく“表在覚”と“深部覚”、そして“複合覚”に分けられます。
またそれぞれ、

表在覚:触覚、痛覚、温度覚
深部覚:運動覚、位置覚、振動覚、圧覚、深部痛覚
複合覚:2点識別覚、立体識別覚
…に分けられます。

感覚・知覚検査を英語で何という?

知覚検査は英語で“esthesiometry”、感覚検査は“sensory examination”などというようです。

感覚・知覚検査の目的や意義について

感覚・知覚検査の目的や意義としては、

①被験者の知覚障害が発生している“部位”と“範囲”を評価すること
②その結果によって回復の過程や機能の実用性、知覚再教育の適否を評価すること
…が感覚・知覚検査の目的であり、意義とされています。

またリハビリテーションにおける感覚・知覚検査には

被験者の日常生活能力にどのような影響を及ぼすか明確にし、その改善とリスク回避につなげる
…という点も重要になると思います。

感覚・知覚検査の方法について

では、この感覚・知覚検査はどのような方法で行うのでしょうか?

基準について

感覚・知覚検査の臨床上の基準についてですが、

正常
鈍麻
脱失
過敏
といった基準が用いられています。

基準の判定について

感覚・知覚の基準判定については、

・正常、鈍麻:正常域や左右の応答の比較によって判別
・脱失:1つの感覚様式を通じた刺激をくわえても全く応答がない状態
…とされています。
加えて、被験者の覚醒状態や知的レベルによっても反応性が変わってくるので注意が必要です。

表在覚の検査方法について

異常と思われる部位を検査する前に、まず被験者の正常領域に刺激を加えることを前提とします。
理由としては、

・被験者の知的レベル、覚醒レベルを理解し適切な回答が可能かどうかを判断するため
・異常値との差を比較するため
…といったことがあげられます。

触覚

触覚検査の使用器具


触覚の臨床検査の際には指先や筆などを用います。
整形外科…特に手の外科領域での知覚検査では“セメスワインスタインモノフィラメント”が多く使用されます。

触覚検査時の触り方

触り方ですが、四肢の場合は長軸方向に、体幹の場合は肋骨に沿わせて行います。

触覚検査の指示の仕方

指示の仕方としては「触るのを感じたら「はい」と答えてください」とし、各部位に刺激を入れます。

正常域→障害領域の順に行う

まず被験者の正常域とされる部位を軽く触ることで応答の可否、程度の基準を把握します。
正常域への刺激に対する反応を確認したら、障害領域の部位を刺激し、応答の有無を確認します。
この際、応答がない場合は「脱失」と判断します。

触覚検査の回数

再現性をみるためにも2~3回程度繰り返すことが必要です。

痛覚

痛覚の使用器具


痛覚の臨床検査では、針先や安全ピン、爪楊枝などを使用します。

痛覚検査の方法

触覚検査と同じように、痛みを感じる程度に刺激をし、被験者の応答を確認します。

温度覚

温度覚検査の使用器具


温度覚の臨床検査では、冷水(5~10℃)と温水(40~45℃)が入った試験管を使用します。

温度覚検査の方法

上述した2種類の試験管をそれぞれ皮膚に密着させ検査します。
その際、触覚検査同様、正常域→障害領域の順に行います。

温度覚検査の注意点

触覚刺激と区別するために2~3秒程度試験管を皮膚に密着させることが必要です。

深部覚の検査方法について

運動覚

運動覚検査の方法

運動覚の臨床検査では、被験者の四肢の各部位を、検者が他動的にわずかに動かすことで、運動が発生したか否かについて被験者に答えさせます。

運動覚検査の注意点

被験者の筋の緊張はできるだけ弛緩するように指示します。

位置覚

位置覚検査の方法

位置覚の臨床検査では、被験者に閉眼させて関節を他動的に動かし、運動の方向や位置を答えさせる…という方法です。
対側の上下肢で同じ運動を再現させるという方法もあります。

位置覚検査の判断基準

位置覚検査における判断基準ですが、答える事ができるor同様の運動を再現できれば“正常”、
返答に時間がかかるor不正確の場合は“鈍麻”、
全く答えられない、わからない場合は“脱失”とします。

振動覚

振動覚検査の使用器具



振動覚の臨床検査では、通常は128Hzの音叉を用います。

振動覚検査の方法

音叉を被験者の“骨が皮下に露出する部分”に当て、振動の有無を答えさせる…という方法です。
触覚検査同様、正常域→障害領域の順で行います。
そして振動が消失する時間を測定し、健常側と比較します。

複合覚の検査方法について

2点識別覚

2点識別覚検査の使用器具


2点識別覚の臨床上検査では、スピアマン式触覚計、コンパス、ノギス、ペーパークリップなどを使用します。

2点識別覚の検査方法

被験者には2点で触ったら「2点」、1点と感じたら「1点」と答えるように指示します。
その後被験者の皮膚の長軸方向に沿って、2点同時に皮膚に触れて検査します。
この検査では、2点間の距離を少しずつ短くしていき、「2点」と判断できる距離を測定します。
合計で10回程度行います。

2点識別覚検査の注意点

被験者の皮膚に蒼白部が生じない程度の強さで行います。

2点識別覚の最短距離の目安

身体部位 目安距離
口唇 2~3mm
指尖 3~6mm
手掌・足底 15~20mm
手背・足背 30mm
脛骨面 40mm
背部 40~50mm

立体識別覚

立体識別覚の使用物品

立体識別覚の臨床上の検査では、硬貨、ボタン、マッチ箱、消しゴム、ボルトといった被験者が普段使用する物品を用意します。

立体識別覚の検査方法

上述したような物品を、被験者には閉眼したまま握らせて、それが何であるか当てさせる…という検査方法になります。
最初から障害側で握らせますが、当てることができなかった場合に初めて健常側で握らせて判断します。

立体識別覚検査の注意点

使用する物品は音がでないものを準備します。

まとめ

脳血管障害だけでなく整形疾患においても、感覚・知覚検査は重要ですし、ADL動作の遂行だけでなく様々なリスク管理にもつながってきます。
その方法だけでなく、「なぜ感覚・知覚検査をしないといけないか?」という目的、意義もしっかりと理解したうえで臨床や現場で行うようにする必要があります。

作業療法士は語りたい!

感覚・知覚検査ってざっくりと行いがちですけど、
決められた検査用具、決められた方法できちんと行う必要がある評価項目ですよね!
感覚・知覚検査によってその後の作業療法プログラムの立案や内容の変化にも反映されるし、
リスクヘッジのための指導にもつながるからね!

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