Rehabilitation

ESCROW Profileの目的と検査項目、点数について

 

クライアントの“社会的不利”を評価する方法の一つとして“ESCROW Profile”があります。
論文や文献はあまりみかけないのですが、この部分を評価することって今後の作業療法士にとって非常に重要になってくると思うんです。
そこで今回は『ESCROW Profileの目的と検査項目、点数』についてまとめてみました。

ESCROW Profileとは?

“ESCROW Profile”とはフォーティンスキー(Fortinsky)らによって開発されたハンディキャップ評価の1つになります。
ちなみにこの“ESCROW”は6つの検査対象項目である環境“E”、社会的交流“S”、家族構成“C”、経済状態“R”、総合判断“O”、就労“W”の頭文字をとった名称のようです。

目的

“ESCROW Profile”の目的としては、被験者の在宅生活の“社会的不利”に当てはまる事項に関する評価を行い、その問題となる要素を把握することになります。

検査項目について

“ESCROW Profile”の検査対象項目としては、

・環境(environment)
・社会的交流(social interaction)
・家族構成(cluster of family members)
・経済状態(resources)
・総合判断(outlook)
・就労/就学/定年後状況(work/school/retirement status)

…の6つの領域になります。
以下に各項目についてまとめてみます。

環境(environment)

   
1 問題がない:住宅の出入り、各階、各部屋への移動が安全に、介助なく可能。
2 少し:住宅の出入り、自分の部屋や家族団らんのために必要な各階、部屋への移動が可能。
それ以外の部屋に行くには、敷居があったり、通路が狭かったり、家具の置き方に問題があるなど困難を伴うが、どうにか独力で移動可能。
3 多い:住宅の出入り、自分の部屋や家族団らんのための部屋へは介助が必要であるが、家族はこのための引っ越しを望んでいない
4 家での生活に大きな支障があり、引っ越しを望んでいる

社会的交流(social interaction)

   
1 訪問したり、電話したり、趣味を楽しんだりして社会的接触を保っている。
2 社会的接触が限定している。
3 訪問看護、カウンセリングなどの介助が必要なことがある。
4 少なくとも毎週地域サービスによる介助が必要。

家族構成(cluster of family members)

   
1 家族構成は、本人のほかに、少なくとももう1人からなっている。
2 家族構成は上記と同様であるが、緊急事態の際には面倒をみてもらえないか、あるいはある時間帯は家から離れざるをえない。
3 本人の障害によって、家族の仕事量、社会活動、趣味などの活動などに変更を生じている。
4 障害によって、家族関係が険悪化あるいは崩壊をきたしている。

*被験者が1人暮らしの場合は、この“家族構成”の項目は回答せず得点は4になります。

経済状態(resources)

   
1 家族は借金することなく、障害に伴う費用を負担できる。
2 障害に伴う費用は家族が借金を負わなければならない。
3 公費による医療補助が必要。
4 生活保護や医療保護が必要。

総合判断(outlook)

   
1 次の分野に機能障害がなく、本人の能力は自立している:問題解決、他人に対する配慮、知覚運動能力、判断力、信頼性、自尊心などの分野
2 上記の分野に多少の障害があるが、本人の能力はほぼ自立している。あるいは判断力に多少の困難がともなっている。
3 上記の分野の障害のため、本人の能力改善に、介助、監視、助言、説得、あるいは判断力に多少の困難が伴っている。
4 上記の障害に対して助言をしても効果がない、あるいはほとんど判断を下せない。

就労/就学/定年後状況(work/school/retirement status)

就労者、主婦、学生に対して

   
1 就労、就学、家事従事に制限はない。
フルタイムに活動しており、障害による喪失時間は月平均1日を超えない。
2 就労、就学、家事従事に制限が伴い、パートタイムや軽作業などに限定される。
喪失時間は、月平均2~5日を超えない。
3 授産施設か特殊学級に限定される、あるいは喪失時間は月平均1週間を超えることがある。
主婦の場合、家事のために外部からの援助が必要である。
定年退職後(障害によらない)の状況

   
1 経済活動以外の、家庭や地域での日常活動や役割に充足している。
2. 経済活動以外の、家庭や地域での日常生活活動や役割に“限定的ながら”充足している。
3 経済活動以外の、家庭や地域での日常活動や役割に充足していない。

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h2>点数の解釈について

各項目は1点から4点で評価され、1点はその項目でハンディキャップがないことを示します。
また、検査結果はレーダーグラム化することができるので、能力や問題、課題が視覚的にわかりやすく表示できる点も特徴と言えます。

まとめ

ESCROW Profileは“社会的不利”を評価する方法という紹介をされている点から、ICIDHの概念が基礎にあるんだと思うんです。
今は国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へ概念も移行したものの、ESCROW Profileの検査対象項目である6領域は、
ICFでいう“環境因子”や“個人因子”に含まれる項目と言えます。
その点でも、クライアントの生活背景を把握するための評価ツールとしては非常に有効なものだと思うんです。

作業療法士は語りたい!

“ESCROW Profile”についての文献も論文もあまりないですね。
発表されたのが1981年と30年以上前であるってのも理由の一つかと思うんだけど、
検査項目の内容は特に時代背景に影響されるような内容でもないんだけどね。
養成校でも少し触れる程度ですからね。
ただ、これから生活様式の多様化や経済格差に伴って、
作業療法士はもっとクライアントの生活背景や社会的背景にまで注目する必要がでてくるから
SDHの視点やESCROW Profileのような評価の必要性は高まると思うんだよね!

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