慢性関節リウマチ(RA)のリハビリテーションを行っていると、その症状の特徴から着替えをしにくい、痛みを我慢しながらなんとか着替える…といった状態を目の当たりにする機会が多くあります。
そこで今回はこの慢性関節リウマチのクライアントの更衣に対して行うべき8つのポイントについて、“おしゃれをする”という観点も含めてまとめました!

慢性関節リウマチ(RA)の更衣のコツについて

慢性関節リウマチ(以下RA)のクライアントが着替えを行おうとすると、関節の動かしづらさや痛み、手指のこわばりによる巧緻能力の低下などが大きな障害になる場合があります。
いかに関節に負担をかけず、少ない動作工程で更衣を行えるかどうかがポイントとなります。

①ゆったりとした衣服を選ぶ
②前面もしくは側面にファスナーがあるものを選ぶ
③ファスナーやボタンをカスタマイズする
④ボトムスは弾性のあるウエストのものを選ぶ
⑤自助具を検討する
⑥スポーツブラを試してみる
⑦靴は伸縮性のある靴ひもorマジックテープ式に変える
⑧シリコンゴムを使用したアクセサリーを検討する

…といったポイントを抑えて、RAのクライアントの更衣への援助、支援をおこなっていくことが作業療法士にとって必要な能力といえます。
以下に詳しく解説します。

①ゆったりとした衣服を選ぶ

多くのRAのクライアントは、関節をスムーズに動かすことが困難になります。
関節可動域(ROM)がどの程度なのかを評価するとともに、衣服の選択もゆったりとしたものを選ぶことが必要です。
また、伸縮性の高い素材も推奨されています。

②前面もしくは側面にファスナーがあるものを選ぶ

関節の拘縮によって、リーチ範囲の狭小化が起こる場合があります。
そういった点では、レディースファッションに多い背部にファスナーがあるタイプの衣服は非常に着脱を困難にします。
衣服の前面、もしくは側面にファスナーがあるタイプの衣服を選ぶことが必要です。

③ファスナーやボタンをカスタマイズする

RAのクライントは手指のこわばり、関節拘縮、炎症による痛みによって巧緻能力を発揮することができなくなります。
そのため、ファスナーの開閉、ボタンの付け外しなどが非常に行いにくくなるケースがあります。
ファスナーにループを装着する、ボタンは大きめのものに付け替える…といったカスタマイズも作業療法士は検討する必要があります。

④ボトムスは弾性のあるウエストのものを選ぶ

下衣(ボトムス)でもウエスト部が固いもの、ボタンで留めるタイプのものは非常に手指の関節へ負担をかけてしまいます。
ウエストゴムタイプのものを選ぶといった工夫が必要になります。

⑤自助具を検討する

手指の関節への負担軽減のためにも、ボタンエイドなどの自助具の使用を検討することも重要になります。
また、リーチ範囲の狭小化対策のためにリーチャーを導入する場合も多いかと思いますが、その際はリーチャー自身が軽い素材で持ちやすいものを選ぶ必要があります。

関連記事:更衣動作に役立つ自助具・福祉用具10選

⑥スポーツブラを試してみる

統計的にRAの多くは女性であり、作業療法の臨床や現場でもブラジャーといった下着の着脱に対して支援することが多くあります。
代表的な対策としてはスポーツブラに変更することですが、他にはフロントフックタイプのものも検討してみるとよいかもしれません。

⑦靴は伸縮性のある靴ひもorマジックテープ式に変える

脳卒中による片麻痺の更衣動作や、パーキンソン病の更衣動作に対してでも触れましたが、靴ひもはその場所と形状から非常に操作しにくいとされています。
伸縮性のある靴ひもに交換する、もしくはマジックテープ式のものに変える、またはレースロックを使用するといった対策が必要です。

⑧シリコンゴムを使用したアクセサリーを検討する

RAになってから、アクセサリーを付ける事がなくなった…なんて声、比較的多く聞かれます。
アクセサリーは下着や衣服といった生活上最低限必要な“着替え”よりも、段階的には上位の“おしゃれ”に位置するものなので、二の次になってしまう点が原因とも考えられますが、QOLや行動変容、自尊心の向上、自己評価の向上といった社会生活の支援まで関わる作業療法士としては、アクセサリーの装着も必要な“更衣動作”と考えます。
その場合、留め金で付け外しを行うタイプのものから、シリコンゴムを使用したアクセサリーに変更するといった対応が必要になります。

まとめ

RAのクライアントの更衣への支援をおこなう際、いかに関節に負担なく、着脱しやすい、操作しやすいものを選ぶかということが重要になります。
加えて、RAの症状の特徴である朝のこわばりといった時間別の症状の変化にも配慮しつつ、そのクライアントの生活や価値観に合わせた作業療法による介入が必要と言えます。

作業療法士は語りたい!

RAに限ったことではないけど、着替えるという活動を生活に最低限必要なADLとみるか、
おしゃれをする、楽しむといったQOLや社会参加にまで拡大してみるかってのは、関わる作業療法士の力量に掛かると思うんだよね。
相手の生活をどこまでイメージできるかが、非常に重要な能力なんでしょうね!

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