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人工骨頭置換術の禁忌肢位と、更衣動作の際の注意点 – 下衣・靴下・靴の着脱について

 

転倒による大腿骨頸部骨折や、大腿骨頭壊死などによる人工骨頭置換術を行ったクライアントの場合、下衣、靴下、靴の着脱の際に股関節脱臼を起こさないような工夫が必要になります。
今回はこの人工骨頭置換術のクライアントが更衣動作を行う際の注意点についてまとめました!

人工骨頭置換術の禁忌肢位について

人工骨頭置換術(Bipolar Hip Arthroplasty:BHA)を行ったクライアントが抱えるリスクとしては、姿勢によっては関節に負担がかかり脱臼を起こしてしまう…ということがあげられます。
人工骨頭置換術のクライアントにとっての禁忌肢位は、

・股関節の過度な屈曲
・股関節の過度な伸展
・股関節の過度な内転
・股関節の過度な内旋
…があげられます。

人工骨頭置換術の更衣動作の注意点について

上述した肢位は下衣や靴下、靴の着脱に大きく関わるため、その方法工夫をしないと脱臼のリスクが高まってしまいます。
その為、主な注意点としては、

①できる限り座位で行う
②着衣はオペをした側から行う
③靴下や靴の着脱の際、過度に前かがみにならない

①できる限り座位で行う

股関節のオペをした後は、どうしても立位バランスが不安定になってしまいます。
下衣であるズボンはもちろん、靴下や靴の着脱の際は、立位で行わず、できるかぎりイスやベッドに座った状態で行うようにする必要があります。

②下衣の着用はオペをした側から行う

更衣動作の基本は、「着用するときは動かしにくい方を先に、脱衣するときは動かしやすい方を先に行う」ことになります。
これは、脳卒中の更衣動作でも、慢性関節リウマチの更衣動作でも同じことが言えます。
人工骨頭置換術の場合でも、下衣の着用はオペを行った側の下肢から裾に通すことがスムーズに着用でき、かつ脱臼リスクを低くする更衣動作方法と言えます。
また脱衣の際はこの逆で、オペをしていない側の下肢から行います。

③靴下や靴の着脱の際、過度に前かがみにならない

いくら座位姿勢で更衣動作を行っていても、靴下や靴の着脱の際に無理やり手を届かせようとして、結果股関節の過度な屈曲肢位を招いてしまう場合があります。
どうしても足部に手が届かず、靴下や靴を操作しにくい場合は、リーチャーやソックスエイドといった自助具を利用することが必要です。

まとめ

人工骨頭置換術を行ったクライアントにとって、下衣の更衣動作は非常に脱臼リスクが高いADL動作と言えます。
またクライアント自身が禁忌肢位を頭で理解していても、更衣動作を行う中で思わずその肢位をとってしまい負担がかかってしまっている…なんて場面はよくみられます。
クライアントの生活場面を想定して、どのような場面で禁忌肢位をとりやすくなってしまうか?ということまで共通理解を促すことも作業療法士にとっては必要といえます。

作業療法士は語りたい!

人工骨頭置換術の禁忌肢位は前方アプローチと後方アプローチによっても違うから注意だね!
前方アプローチの場合は股関節伸展・内転・外旋、
後方アプローチの場合は股関節屈曲・内転・外旋が禁忌肢位になりますよね!
下衣や靴下、靴の着脱で股関節の伸展運動は行わないだろうけど、
他のADLでの指導の際に必要だから覚えておかなきゃいけないね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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