どんな生活をするにしても、その前提として“意識”がはっきりしていないといけません。
しかし様々な疾病や傷病によって意識障害を呈するクライアントもいらっしゃいます。
今回はこの意識障害の種類や分類、それぞれの違いについてまとめてみます。

意識とは?

まず、この“意識(consciousness)”の定義について解説します。

定義上、意識とは一般的に次のような状態を言います。

  • 起きている状態にあること(覚醒)
  • 自分の今ある状態や周囲の状況などを認識できている状態

日本語において、相手や物事へ注意を払う意味での“意識”や、「“意識が高い」なんて表現をすることもありますが、今回はあくまで“覚醒状態”を意味する“意識”でお話します。

正常な意識状態とは?

臨床的に「意識が正常」であるとは、次のような条件が必要になります。

  • 外部からの刺激への適切かつ敏速な反応
  • 外界の出来事や対象への十分な注意
  • 自分の現在の状況の正しい認識
  • 新しい出来事や体験の過ちない印象づけ
  • 周囲の出来事や質もんの意味の正しい理解
  • 全体としての思考のまとまり
以下に詳しく解説します。

①外部からの刺激への適切かつ敏速な反応

意識が清明であること、覚醒していることは、外部からの刺激に対して適切にかつ、敏速に反応できることが1つの条件になります。

②外界の出来事や対象への十分な注意

覚醒状態であることは、その人自身が外界の出来事や対象へ十分に注意を払うことができることも条件となります。

③自分の現在の状況の正しい認識

自分自身の置かれている状況に対して、正しく認識するということも覚醒していることの条件です。

④新しい出来事や体験の過ちない印象づけ

これは「新しい情報を覚え込むこと」である“記銘(impression)”における条件になります。
新しい出来事や体験した情報を正確に覚えておくことができるということは、意識が清明であることの条件の一つとされています。

⑤周囲の出来事や質問の意味の正しい理解

周囲に起こった出来事、その人自身に投げかけられた質問といったものの意味を、正しく理解できていることも清明な覚醒状態の条件です。

⑥全体としての思考のまとまり

様々な考え、思考が散在することなく、全体としてまとまった思考ができているということも重要な条件です。

意識障害とは?

意識障害とは、端的に表せば

周囲や自分自身、時間的なことについて判断できなくなった状態
…になります。

つまり、上記の6つの精神活動が低下or消失している状態を指します。

意識障害の種類とそれぞれの違いについて

臨床において、この意識障害は単純なものと複雑なものに大別され、それぞれ

     
単純な意識障害 意識混濁 明瞭困難状態
傾眠
嗜眠
昏睡
複雑な意識障害 意識狭窄
  意識変容 せん妄
アメンチア
もうろう状態

このように分けられます。

意識混濁(clouding of consciousness)

意識混濁(clouding of consciousness)は、単純な意識障害に分類され、意識の清明度の量的な障害になります。
特徴としてあげられるのは、この意識混濁の程度は、ごく軽度から最も高度のものに至るまで連続的な移行があることです。

また、意識混濁はこの程度によって次のようにわけられます。

  • 明瞭困難状態(Schwerbesinnlichkeit)
  • 傾眠(somnolence)
  • 嗜眠(lethargy)
  • 昏睡(coma)
明瞭困難状態(Schwerbesinnlichkeit)

ごく軽度の意識混濁を“明瞭困難状態(Schwerbesinnlichkeit)”と言います。
特徴としては、

  • ぼんやりとした表情がみられる
  • 注意の集中や持続の困難な状態
  • 思考のまとまりの不十分さがみられる
  • 自発性の減退がみられる
  • 見当識は侵されず正常

…のようになります。

傾眠(somnolence)

“傾眠(somnolence)”は軽度の意識混濁の状態を指します。
特徴としては、

  • うとうとして眠りやすい
  • 反復刺激や呼びかけに対して一時的に覚醒する
  • 単純な内容の問いかけに応じることができる
  • 放置するとすぐにうとうとしてしまう
  • 反応の遅延がみられる
  • 見当識も障害される

…のようになります。

嗜眠(lethargy)

中等度からかなり高度の意識混濁を“嗜眠(lethargy)”と言います。

  • 強い疼痛刺激や大声で名前を呼ぶことで多少の覚醒反応が見られる
  • しかし完全な覚醒には至らない

…こういった特徴があります。

昏睡(coma

意識混濁で最も高度であり、完全に意識消失をしている状態になります。
特徴としては、

  • 外部からの刺激に対するすべての反応が失われている
  • 自発運動の消失
  • 筋緊張の低下、消失
  • 尿便の失禁
  • 対光反射の消失
  • 腱反射の減弱、消失

…などがあげられます。

意識狭窄(narrowing of consciousness)

意識狭窄(narrowing of consciousness)とは、複雑な意識障害に分類され、体験の広がり(意識野)の障害を言います。
これには意識混濁を伴うものと伴わないものがあります。
心因性には解離性障害(ヒステリー状態)や催眠などで認められます。
また、身体的原因によるもうろう状態の時にも著しく意識狭窄がみられます。

何かに熱中し集中しているときに呼びかけられても全く気が付かなかった…なんて現象が意識狭窄のイメージに近いでしょうね!

意識変容(alterration of consciousness)

意識変容(alterration of consciousness)は、軽度もしくは中等度の意識混濁に、

  • 不安
  • 不穏
  • 精神運動興奮
  • 錯覚
  • 幻覚
  • 妄想

…といった要素が加わることで起こる複雑な意識障害です。
時に意識狭窄も著しく起こることも特徴と言えます。

この意識変容は次のように分けることができます。

  • せん妄(delirium)
  • アメンチア(Amentia)
  • もうろう状態(twilight state)
せん妄(delirium)

意識変容でも、意識混濁が軽度~中等度であり、その程度が短時間のうちに変動しやすい状態を“せん妄”と言います。
このせん妄には、

  • 錯覚(錯視)
  • 幻覚(幻視)
  • 強い不安
  • 不穏
  • 精神運動興奮
  • 徘徊
  • 状況の誤認

…などが伴って生じることが多いとされています。

多くの場合1~2週間で以内に消失します。

寝ている最中に“ねぼけ”て大声を出したりないはずのものが見えたりするのが“夜間せん妄”になるからね!
アメンチア(Amentia)

アメンチア(Amentia)とは、せん妄の軽度の状態を指します。
特徴としては、

  • 強い思考障害と困惑
  • 思考の錯乱
  • 注意の集中持続困難
  • 幻覚や妄想症状は伴わない

…などがあげられます。

もうろう状態(twilight state)

軽度~中等度の意識混濁の状態を“もうろう状態(twilight state)”と言い、意識狭窄を著しい状態を指します。
特徴としては、

  • 突然始まる
  • 回復も急速
  • 室内を意味なく歩き回ったりする
  • 精神運動興奮や衝動行為などを示す
  • 錯視や幻覚、妄想を伴うことがある
  • 攻撃的になる場合もある
  • そしてもうろう状態の間のことは覚えていない

…などがあげられます。

まとめ

意識障害と一言で言っても様々な種類、特徴があることがわかります。
臨床でクライアントの覚醒状態をその特徴から正確に表現することは、情報共有の観点からも重要なことと言えます。

作業療法士は語りたい!

急性期でのリハビリテーションを行っている作業療法士は特に必要な知識だろうね!
「意識状態が悪い!」の一言では、その意識障害の背景因子や起こり得るリスクなどは分かりかねますからね。

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