脳卒中(脳出血・脳梗塞)による片麻痺を呈したクライアントにとって、爪切り動作は非常に困難な整容動作の一つとされています。
そこで今回は脳卒中片麻痺への爪切り動作上の問題点と対策についてまとめました。
目次
脳卒中片麻痺に起こる爪切り動作の問題点について
では脳卒中による片麻痺のクライアントが爪切り動作を行う際、どのような問題が起こるでしょうか?
例としてあげると、
- 非麻痺側手の爪を切ることが困難になる
- 麻痺側の手指が丸まってしまい爪を切ることが困難になる
- 足の爪まで手が届かず、爪が切れない
- 感覚障害のため、麻痺側の爪を深く切りすぎて怪我をしてしまう
…などがあげられます。
それぞれ少し具体的に考えてみます。
非麻痺側手の爪を切ることが困難になる
脳卒中による片麻痺のクライアントの爪切りで一番多い悩みのような気がします。
基本的に爪切り動作って両手で行うことが前提になっているため、片手しか使えない状況下ではそれだけで爪切り動作自体が困難になってしまいます。
麻痺側の手のブルンストロームステージにもよるところですが、怪我の予防を考えると麻痺側の手での“爪切り”操作はなるべくは避けたいところ。
結論としては、片手用の爪切りといった自助具を使用することが最も現実的な気がします。
麻痺側の手指が丸まってしまい爪を切ることが困難になる
麻痺側の手指のブルンストロームステージがⅢの場合、手指は屈曲位のままのため丸まった状態でいます。
この状態だと爪は手掌内に食い込んでしまうため、非常に爪切りをしにくい肢位になります。
対策としては、手指の屈曲拘縮の改善や手指の伸展を促すとともに、両者の指導をした上で、爪切りをしやすい肢位をとれるように訓練していくことがあげられます。
足の爪まで手が届かず、爪が切れない
下肢の関節可動域の制限や、筋緊張の異常、そして座位バランスの不良などが原因で、足の爪を切ろうとしてもリーチすることができない場合があります。
対策としては、足を組む、台の上にあげるなどの環境設定をしたうえで、足の爪まで姿勢が崩れないようにリーチすることができるようにすることが望ましいといえます。
感覚障害のため、麻痺側の爪を深く切りすぎて怪我をしてしまう
麻痺側の手の爪を切ろうとする際、重度の感覚障害がある場合はどこまで深く切ってよいのかわからず、深爪をしてしまい怪我をしてしまうケースも見られます。
対策としては、きちんと目で確認できるような肢位や向きを工夫して行うように指導することがあげられます。
まとめ
脳卒中片麻痺のクライアントに対しての爪切り動作支援のためには、片麻痺の特徴をしっかりと捉えたうえで、いかに負担なく、筋緊張を亢進させないように爪切り動作を行うよう設定するかがポイントになります。
また積極的に自助具などの選定をし、より簡単に爪切り動作を行えるようにすることも必要です。