脊髄損傷のクライアントは自律神経症状を呈していることからも爪の状態悪化が著明なケースが多くみられます。
そこで今回は脊髄損傷に多い爪のトラブルとその対策についてまとめました。
目次
脊髄損傷に多い爪のトラブル
脊髄損傷のクライアントによくみられる爪のトラブルについては以下のとおりになります。
- 爪白癬による爪肥厚
- 陥入爪による炎症
爪白癬による爪肥厚
爪が白く変色してきた、または爪が厚くなってきたという場合は、爪白癬の可能性が高いと言えます。
この場合自己判断で薬を使用せず、きちんと皮膚科を受診する必要があります。
陥入爪による炎症
脊髄損傷のクライアントで自律神経障害が著明ですと、四肢の血行不良から浮腫を起こし、爪の変形を招きます。
この変形した爪が巻きこんで皮膚を傷つけ、細菌感染することで炎症を起こす場合があります。
また、この陥入爪によって皮膚が刺激され、痙性亢進の原因になる場合もあります。
脊髄損傷の爪への対策
では、脊髄損傷のクライアントにとって、爪切りをはじめとした爪への対策はどのようなものがあるのでしょうか?
主に以下のような項目があげられます。
- 毎日爪の状態をチェックする
- きつい靴は履かない
- 自助具や便利グッズを積極的に使用する
- 介助をしてもえる環境をつくる
毎日爪の状態をチェックする
やはり毎日の爪の状態をきちんと管理することは非常に重要になってきます。
家族や介護者が管理することも重要でしょうけど、自分自身で管理し、なにかしらトラブルがあった場合はすぐに対応できるような工夫をする必要があります。
きつい靴は履かない
足部の感覚障害があると、履いている靴がきついのか、それとも丁度良いのかわからない場合がよくあります。
足の大きさに対して小さいサイズの靴を使用すると、足の爪への圧迫が大きくなり、爪の変形を招く場合があります。
多少の余裕があるサイズのものを選ぶようにする必要があります。
自助具や便利グッズを積極的に使用する
脊髄損傷の場合、ADL動作の獲得や自立度の向上を目指す際には、残存機能をどのように活かしていくかが求められます。
ボトムアップアプローチを軸にした身体機能向上よりは、トップダウンアプローチを軸にした介入がより効果的な印象を受けます。
その為、積極的に爪切りの際の自助具や便利グッズといった道具を工夫することも重要です。
介助をしてもらえる環境をつくる
どうしても爪切り動作が困難な場合、介助をしてもらう環境を整えるということも必要です。
家族でも介護サービスでも、介護する側が無理なく負担が少なく介助を行えるように、道具や方法などを工夫するという介入も、作業療法士には必要なことと言えます。
まとめ
脊髄損傷のクライアントの場合、感覚障害を伴うと爪の状態や痛みなどは目で確認するしかないでしょうね。
気が付いたら炎症を起こしていた…なんてこともあるようです。
重篤な状態を予防するためにも、毎日の爪の状態確認は必須な作業といえます。