掃除という家事仕事についてですが、健康的な生活を維持していくためにはその環境を衛生的に保全しておく必要があります。
そのための手段の一つとして“掃除”があげられますが、障害を有した方や高齢の方にとってはこの家事動作を行うことが非常に困難になる場合があります。
そこで今回はこの掃除の特性や目的、リハビリテーションにおける治療的効果についてまとめました。
目次
掃除とは?
掃除とは、
掃除の特性について
掃除の特性についてですが、頻度や範囲、行う時期によって目的や意味が異なってきます。
毎日の掃除は習慣的な作業活動ですが、年末の“大掃除”となると一種のイベント的な要素も含まれます。
また、地域の清掃活動やゴミ拾いとなると衛生管理だけでなく地域活動参加という社会活動的な要素も含んできます。
“掃除”という作業活動ですが、これは多面的に捉える事で非常に多くの意味を含んでくるという特性を知っておく必要があります。
掃除の目的について
普段習慣的に行っている“掃除”ですが、この掃除の目的とはどのようなものになるのでしょうか?
一般的に掃除を行う目的としては、
掃除の方法は様々ですが、どの方法も目的としては一貫しています。
この『ちりやほこり、しみ等の除去』という掃除の目的をさらに深堀していくと、次のような目的に細分化されます。
- 疾病や怪我、事故の予防のため
- 社会生活の維持のため
①疾病や怪我、事故の予防のため
生活環境を掃除することで衛生的に保持することは、公衆衛生的な観点からも疾病の発症リスクを低減させる効果として有効になります。
また、物が乱雑に散らばった状態では転倒による事故や怪我のリスクも高まる可能性もあります。
このように健康的な生活を維持するためにも、生活環境を掃除することは必要になります。
②社会生活の維持のため
生活環境を掃除することで衛生的に保つことは、他者に不快感を与えないという社会生活を送る上でも必要なことといえます。
加えて、近隣環境の清掃活動といったものに参加することは、地域コミュニティにおける生活を送る上でも必要になってきます。
自分の生活環境にどの程度、どの位の頻度で他者が関わるかにもよるでしょうけど、健全な社会生活を送る上では求められる作業活動と言えます。
掃除の治療的効果
では、作業療法において“掃除”という作業活動をリハビリテーション場面で用いる時、クライアントにとってどのような治療的効果が期待できるのでしょうか?
- 生活環境が衛生的に保持できる
- 軽度の運動負荷をかけることができる
- 脳トレとして
- 精神的なリラックス効果として
生活環境が衛生的に保持できる
これは掃除の目的の項目でも触れたように、生活環境をきれいに保つことで健康的に生活ができますし、社会的な交流にもつながるようになります。
軽度の運動負荷をかけることかできる
20分間の屋内の掃除活動の運動強度はおよそ3METs(メッツ)に値します。
これは犬との散歩といった普通に歩くことと同様の運動強度とされています。
つまり、毎日屋内の掃除動作を行うことだけでも、ウォーキングと同様の運動負荷をかけることができるということです。
脳トレとして
掃除動作は様々な工程を同時進行する必要がありますし、家具や物品の配置を記憶し、空間的な認知機能を賦活するといった脳への適度な負荷と活動の促通が効果的に行える作業活動になります。
逆にこの脳機能と掃除や片づけの相関性は、最近は発達障害の分野でも注目されていることからも、作業療法士にとっては非常に見直すべき作業活動とも言えます。
精神的なリラックス効果として
掃除は達成感や満足感、それに加え前述したような適度な運動負荷もあるため、非常に精神的なリラックス効果を得ることができる作業活動です。
また工程は様々でも、他の作業活動に比べて単純作業、反復動作の組み合わせでもあるため非常にセロトニン分泌に優位ともされています。
このような点からもリラックス効果として高いことがわかります。
まとめ
掃除は衛生的な生活の保持、社会生活の円滑化のためにも必要な作業活動であると同時に、適度な運動負荷をかけること、精神的なリラックス効果としても非常に有益なことがわかります。