Rehabilitation

洗顔の訓練方法 – 洗顔動作の自立度向上と、期待できる訓練効果について

 
洗顔の訓練方法 - 洗顔動作の自立度向上と、期待できる訓練効果について

整容動作でもある洗顔動作を作業療法プログラムの訓練として扱う場合、洗顔動作の獲得を目的とする作業療法プログラムがほとんどかと思います。
しかし、洗顔動作が持つ効果や期待される影響を考えると、洗顔動作そのものが“治療的な作業”として用いることができるのだと思います。
今回はこの洗顔動作を訓練について、目的的な訓練アプローチと手段的な訓練アプローチの2方向から考えてみます。

“洗顔動作”を訓練として扱う2つの側面

作業療法士としてクライアントへ“洗顔動作”を訓練として扱う場合、

・洗顔動作獲得を目的とした訓練
・洗顔動作を手段とした訓練

…の2つの側面があります。

つまり、洗顔動作そのものの自立度を向上させることを目的とするのか?それとも、洗顔動作が持つ効果や期待される影響を用いて“治療的な作業”として扱うのか?…ということになります。

洗顔動作の獲得を目的とした訓練

これは洗顔動作そのものの獲得や自立度の向上を目的とした訓練プログラムになります。
項目としては、

①洗顔動作の分析的評価
②洗顔動作の反復訓練
③洗顔動作要素に対しての機能訓練
④自助具や手順の検討
⑤介助方法の検討

…があげられます。

①洗顔動作の分析的評価

洗顔動作を工程分析し、どの工程、構成している動作要素によって困難に至っているのかを分析的に評価します。
そうすることで、より効率的に動作獲得につながる訓練プログラムの立案を行うことができます。

・参考記事:洗顔動作の工程分析・動作分析について

②洗顔動作の反復訓練

洗顔動作のどの工程、どの動作要素に問題を抱えているのかを分析し、抽出したら、その動作に対して反復練習を行います。
しかし、できない状態をただ反復したところで自立度の向上もなければ、クライアント本人もモチベーションの低下にもつながります。
介助量の調整などで段階的に行っていく必要があります。

③洗顔動作要素に対しての機能訓練

洗顔動作の獲得や自立度の向上のためには、反復練習のみならず、不十分な動作要素に対しての機能訓練も必要になります。
つまり、狭義でのボトムアップ的なアプローチになります。
例として、リーチ動作が困難な場合はそれが関節可動域制限によるものなのか、バランス能力の低下なのか、もしくは筋力低下なのか…といったように、どの動作を困難にしている要素を分析的に評価したうえで、それぞれの機能訓練を行う…というイメージになります。
重要なのは、ただ闇雲に機能訓練を行うのではなく、「この訓練は洗顔動作のこの動作をスムーズに行えるようにするため」…のような訓練の目的をしっかり説明することです。
クライアント自身が「どうして今肩をマッサージしているんだろ?」といった作業療法訓練に対して疑問を持つようになる介入は避けるべきです。

④自助具や手順の再検討

クライアント自身の洗顔動作に関する機能、能力の向上がこれ以上難しい…ような場合は、自助具や手順の再検討といった代替的アプローチも必要になります。
両手で水を汲むことが困難な場合は、片手でもできないのかどうか?
蒸しタオルなどで代用することはできないか?
洗顔料を使用しないでも満足のいく洗顔はできないのか?
…といった洗顔動作の目的達成のための手段や手順を再検討する必要があります。

⑤介助方法の検討

本人の能力向上のための直接的アプローチでも、自助具等の代替的アプローチを行っても洗顔動作の自立度が向上しない場合には、介助方法の検討を行うことも作業療法士にとって必要なリハビリテーションになります。
その際は最初から全介助で行うのではなく、あくまでクライアント自身が参加できる工程は参加してもらうような工夫が必要です。
この点が介護と作業療法の異なる点なんだと思います。

洗顔動作を手段とした訓練

では、洗顔動作を訓練手段として用いる場合、どのような効果が期待できるのでしょうか?

考えられるものとしては、

①手の協調運動として
②手、顔への感覚訓練として
③精神賦活の手段として
④生活リズムの調整として
⑤社会参加機会のきっかけとして
…などがあげられます。

①手の協調運動として

洗顔動作は両手で水を汲む、洗顔料を泡立てる、顔を洗う…といった手の協調運動を非常に多用する動作になります。
加えて質の高い洗顔動作を行うためには、より協調的な動きが求められるため協調運動訓練としては非常に有効的な活動になると考えられます。

②手、顔への感覚訓練として

洗顔動作では水(湯)や洗顔料といったことなる感覚入力を手だけでなく顔にも行うことができます。
また手と手、手と顔という感覚フィードバックを構成する活動は洗顔動作や化粧動作程度だと考えられます。
その点では、非常に貴重な作業活動とも言えます。

③精神賦活の手段として

洗顔動作を行った後のさっぱり感はもちろん、洗顔料を泡立てたときのふわふわした感覚、石鹸の香りといったものは非常に脳の活性化につながります。
手だけでなく顔への快刺激の入力は非常に心理的なリラクゼーション効果も期待できます。

④生活リズムの調整として

朝、起床して洗顔することで一日のサイクルを調整する効果も期待できます。
生活リズムの調整を行うことで、自律神経の乱れを予防することができます。

⑤社会参加機会のきっかけとして

洗顔動作を行うことは自分の顔や表情を鏡でみることになります。
自分の見た目を意識することは非常に社会参加には必要なことですので、洗顔動作をきっかけに社会参加機会につなげていくということも、作業療法士は意図して行う必要性もあるかと思います。

作業療法士は語りたい!

意外になおざりにされがちな洗顔動作も、こうしてみると非常に訓練的な要素がたくさんありますね!
ちなみに、洗顔や化粧水、乳液などの基礎化粧を習慣的に行う女性は、高次脳機能に関する検査課題の成績が良好…という報告もあることから、
手や顔への感覚入力、そして見た目を気にするということは非常に脳の活性化につながるんだとわかるね!

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