Rehabilitation

認知症の洗顔拒否への対応のコツと、洗顔に期待できる認知症への治療的効果について

 
認知症の洗顔拒否への対応のコツと、洗顔に期待できる認知症への治療的効果について

認知症のクライアントのなかでも、入浴や整容動作といったセルフケアに対して拒否的な反応を示すケースが多くみられます。
衛生面や感染予防の観点からだけでなく、社会参加機会の喪失という観点からも、解決すべき問題と言えます。
今回はこの整容動作のなかでも洗顔に対して拒否をする場合の対応のコツと洗顔動作が認知症に対して期待できる効果についてまとめました。

洗顔に対して拒否をする場合の対応のコツ

整容といったセルフケアでも、洗顔動作に対して拒否を示す認知症クライアントに対して、どのような対応をすればよいのでしょうか?
考えるに…

①タイミングを変えてみる
②洗顔方法を変えてみる
③声掛けを変えてみる
④洗顔をする場所を変えてみる

①タイミングを変えてみる

認知症の場合、一日でも気分の変動が激しく、ちょっとしたきっかけで不機嫌になったり、上機嫌になったりと気分のむらが激しいことも特徴の一つです。
洗顔を促して拒否反応を示した場合、無理に誘うのではなく一旦引いて、少し時間を置いてからまた誘うというタイミングをずらす対応が有効な場合があります。

②洗顔方法を変えてみる

顔を水で洗うという行為は、もしかしたら認知症のクライアントにとっては非常に恐怖に感じることなのかもしれません。
無理に水で洗うという方法ではなく、蒸しタオルで拭くようにするなどの洗顔方法を変えてみることで拒否反応が軽減する場合もあります。

③声掛けを変えてみる

認知症は周囲の状況理解や判断に乏しく、「今、自分がどのような状況下に置かれているかわからない」という状態でいることが多くあります。
そのため、こちらの意図とは全く異なる捉え方をし、不安感やパニックに陥る場合もあります。
洗顔に対しても、「急に水を顔にかけられた!」「目をふさがれて怖い!」といった不安感が先行し、拒否反応につながるケースもあるようです。

④洗顔をする場所を変えてみる

昔から洗顔はきちんと洗面台で行っていたのに、「足が悪いから」という理由でベッドサイドや、介護者は介護しやすいけど本人にとっては全く洗顔とは関係のない場所で洗顔を促されても、やはり拒否反応を示す場合があります。
元々どのような場所で洗顔を習慣として行っていたのかを聴取し、できるかぎりその環境に近づけて促すことで、拒否反応が軽減する場合もあります。

洗顔動作が認知症に対して期待できる効果

洗顔動作は整容動作というセルフケアの一つとして扱われますが、作業療法士にとって非常に治療効果が期待できる有用な作業活動としても捉えることができます。
例としては、

①生活習慣や一日のリズムの調整として
②脳の活性化、精神賦活として

①生活習慣や一日のリズムの調整として

一日の始まりである起床後の朝や、終わりである就寝前の夜に洗顔をすることで、気分の切り替えができ生活習慣を整えるきっかけの作業として扱うことができます。
昼夜逆転のリスクが高い認知症の場合、起床するきっかけや就寝するきっかけに強い感覚刺激を関連付けることで、自律神経の調整にも役立つことができます。

②脳の活性化、精神賦活として

洗顔動作に伴う工程や、泡立てる感触、顔を洗う時の刺激、石鹸や洗顔料の香り、水で洗い流す際の刺激など多様な感覚入力は非常に脳の活性化につながります。
ましてやそれが洗顔後のすっきり感という快刺激ならなおさらです。
脳の活性化のための感覚入力訓練としても、洗顔動作は非常に有益な作業になります。

まとめ

整容や入浴といったセルフケアに対して拒否的な認知症のクライアントの場合、根本的に現在の状況を理解できていないことによる不安や恐怖感があることを把握していないといけません。
拒否をするにも本人なりの理由があるはずですから、その心理や背景をしっかり分析的に評価し対応策を考えることも作業療法士の役割になります。

作業療法士は語りたい!

目の前に現れている拒否という反応も、なにかしらの理由や原因があるってことを前提に考えないといけませんね。
いきなり誰だかわからない人に顔に水をかけられる…って認識は恐怖でしかないからね!
作業療法士には知識、技術だけでなく、“想像力”が臨床で必要なことがわかりますね!

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