ティモシー・オマンソン – 脳卒中からの生還、そして俳優復帰を実現した4つの要素とは?

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こんにちわ、セラピストブロガーあいとう(@otpressinfo)です。

みなさんは、“ティモシーオマンソン”というアメリカの俳優をご存知でしょうか?
主に海外のコメディドラマでの脇役を中心に活躍している俳優ですので、残念ながら日本ではそれほど有名ではないかもしれません(泣)

ただ…不幸にも彼は2017年に脳卒中を発症したものの、周囲のサポートによってまた俳優として活躍することができた…という経歴から、人生の逆境を乗り越える…という点で非常に学ぶものがあります。

そこで本記事ではこのティモシー・オマンソンの脳卒中からの生還についてケーススタディしたいと思います。

ティモシーオマンソンの経歴について


まずはティモシーオマンソン自身について、彼の経歴と一緒に解説します。

誕生~幼少期


ティモシーオマンソンは、1969年7月29日にミズーリ州セントジョセフ元鉄道員の父親と、教師の母親の間に4人の子供の末っ子として生まれました。
幼少期はワシントン州シアトルで育ちました。

演劇との出会い

ティモシーオマンソンの俳優としてのキャリアは、12歳の時のシアトル子供劇場で演劇を学んだことから始まります。
その後、高校時代は劇場でインターンをしたり、ニューヨーク州の演劇芸術アカデミーで過ごします。

大学での活躍とプロとしての始まり

高校を卒業後、さらに演劇を学ぶため南カリフォルニア大学(USC)に入学します。
USCでは美術学士号を取得したり様々な賞を受賞するなど活躍していました。

また卒業するとすぐ、脇役ですがコメディドラマ『となりのサインフェルド(1989)』で最初のプロの仕事を得る事ができました。

脇役としてでも順調なキャリア形成

その後スティーブンスピルバーグが制作総指揮に当たったアメリカの海洋SFアドベンチャードラマ『シークエスト(1996)』で「ジョシュア・レビン博士」という役で出演しています。
そして…

  • SFアクション映画である『スターシップ・トゥルーパース(1997)』
  • ジョン・トラボルタとヒュー・ジャックマンが主演で話題になった『ソードフィッシュ(2001)』
  • 西部劇テレビドラマの『デッドウッド(2004)』
  • 日本でも人気だった『CSI:マイアミ(2005)』や『24(2006)』
  • トムクルーズ主演の『ミッションインポッシブル3』

…などの作品にも脇役ですが出演しています。

重要な役への抜擢

様々な映画やテレビドラマの脇役、チョイ役として出演をしていたティモシーオマンソンですが、2006年についにコメディドラマ『Psych 名探偵はサイキック(2006-2014)』の“カールトン・ラシター警察署長”としてのレギュラー出演を果たします。
この作品は2006年7月より、アメリカ合衆国のUSAネットワークで放送開始されました(日本ではhuluで配信されています)
2006年~2014年までテレビ放送し、2017年にテレビ映画として放送もされています。

また、ミュージカルコメディ『ギャラバント(2015)』での“リチャード王”という役でも出演しています。

この2つの作品への出演は、彼のキャリアだけでなく、後の人生そのものを変えた作品とも言えます。

脳卒中の発症


徐々にでも確実に俳優としてのキャリアを築いていたティモシーオマンソンですが、2017年4月下旬に悲劇が訪れます。
その日はインディペンデント映画祭からロスへ帰るため、タンパ空港(アメリカ合衆国フロリダ州タンパ市)でフライトを待っていたそうですが、不運にもその間に脳卒中を発症してしまい倒れてしまいました。

その時の様子として、後にテレビインタビューで…

「ボトルのキャップを占めようとしたら左手が動かなかないことに気づいた」

…と語っています。

緊急搬送後に起こった幸運

空港での脳卒中の発症後、すぐにフロリダの病院に緊急搬送されたティモシーオマンソンですが、ここでその後の人生を左右する幸運な出来事が起こります。
搬送された病院でオペをした担当医が偶然にも、フロリダ州内ではトップクラスの脳卒中の外科医だったことです。

このことについても、後のインタビューで「非常に幸運だった」と語っています。

残る後遺症と俳優復帰への絶望

フロリダ州内トップクラスの医者のオペによって一命は取り留めたものの、ティモシーオマンソンには左半身の麻痺が後遺症として残り、車椅子での生活を余儀なくされます。
その間、リハビリや認知療法などを受け、日常生活の再建と俳優への復帰を目指していました。

しかし、医者からは…

「歩けるかどうかはわからない。ましてや収録のセットの上を歩けるようになるかどうかは難しいかもしれない」

…と説明されたようです。

諦めずにリハビリを続ける日々

それでもティモシーオマンソンは俳優への復帰を諦めてはいませんでした。
リハビリを続けることで少しずつですが歩けるようにもなり、日常生活も自分でできることが増えてきたようです。

俳優復帰へのチャンス

脳卒中を発症してから2年後の2017年の彼の誕生日パーティーの時、彼は参加してくれた友人や昔の仕事仲間の前で感謝のスピーチをしました。
実はその様子を見ていた参加者の中に『ギャラバント』のスタッフ・プロデューサーである“John Hoberg”と“Kat Likkel”の二人がいました。

彼らは『ギャラバント』でティモシーオマンソンと一緒に仕事をしていて、現在は人気テレビドラマ『This is US』の原案、脚本、制作総指揮を担っている“ダン・フォーゲルマン”に彼の現状について連絡をしました。

元々ダン・フォーゲルマンは『ギャラバント』の現場で一緒に仕事をしていたティモシーオマンソンのことを心配していて、俳優の復帰の時には協力しようと考えていたようです。
そして「彼をこのドラマに巻き込みたい」という思いから、なんとドラマ内でティモシーオマンソンの為の役を用意し、彼にオファーをしました。

ドラマ『This is US』でのグレゴリー役への抜擢


画像引用:THE OPRAH MAGAZINE

そしてついに、ドラマ『This is US』シーズン4の第3話に、主人公であるケイトとトビーの隣人で脳卒中の後遺症を持つ“グレゴリー”という役で俳優復帰を果たします。
この様子はアメリカのニュースや様々なウェブサイトでも取り上げられました。

ドラマ『サイク 名探偵はサイキック』への復帰

『This is US』への出演で俳優復帰したティモシーオマンソンにさらなるオファーが舞い込みます。

2014年にシーズン8で終了し、その後2017年にテレビ映画放送された『Psych 名探偵はサイキック』のテレビ映画第2弾である『Psych2』への出演オファーです。
もちろん配役は物語で重要な“カールトン・ラシター警察署長”。

実は2017年に放送したテレビ映画版でも出演はしているのですが、脳卒中の発症後すぐだったため、ほんの少しのカメオ出演(ゲストとしての出演)だったようです。

このティモシーオマンソンの『Psych2』への本格的な復帰出演ということで、急遽、主人公“ショーン”役の“ジェームズ・ロデイ”と、脚本家の“スティーブ・フランクス”は台本を書き直し、より多くのラシター警察署長の出番を作りました。

その結果、このテレビ映画のタイトルが『Psych 2:ラッシー カム ホーム』になりました。
このテレビ映画は2020年に公開予定です。

ティモシーオマンソンが脳卒中後、俳優に復帰できた4つの要素

このティモシーオマンソンのケースから、脳卒中を発症し後遺症が残ったとしてももう一度社会復帰できるための要素として…

  • 早急かつ高度な医療対応があったこと
  • 自分の仕事をしっかりとこなしていたこと
  • 自分の障害を受け入れたこと
  • 諦めないこと

…の4つがあげられると考えます。

以下にそれぞれ詳しく解説します。

早急かつ高度な医療対応があったこと

なによりもまずは、脳卒中発症後早急な救急搬送と、偶然にもその州内でトップクラスの医療的な措置を受けることができたことがあげられます。
この少しでも早い対応が行われたおかげで、一命を取りとめることができましたし、寝たきりや重度の後遺症が残るという結果を免れたのだと思います。

自分の仕事をしっかりとこなしていたこと

ティモシーオマンソンの出演作のリストをみても、長い間脇役やチョイ役ばかりです。
世間的に認知されている役としても決して主人公ではありません。

それでも、自分が与えられたどんな小さな役でも一生懸命こなし続けていたことが、脳卒中を発症したとしても周囲の「なんとか俳優への復帰を助けたい」という気持ちと行動に繋がったのだと思います。

自分の障害を受け入れたこと

『This is US』への出演オファーを受けるまで、やはり脳卒中による障害が残ったことに対して、ティモシーオマンソンはあまり公にはしたくない気持ちがあったようです。
それでも、脳卒中の隣人という役のオファーを受けたことで、「自分にしかできない役」と捉えなおし、役を通してもっと脳卒中に関して伝えることができるかもしれない…と考えるようになったようです。

これは、障害の需要の最終段階でもある「解釈と発展」に位置する心の変化だと思います。

諦めないこと

なによりも「俳優として復帰する」という目標を掲げ、諦めずにリハビリを行い、自分の状況を親しい友人にもアナウンスしていたことも俳優復帰の要素としてあげられます。

社会参加の機会を与えることが一番のリハビリでは?

上記の4つは、どちらかと言えばティモシーオマンソン自身の要素にもなりますが、実はもう一つ重要な要素が彼を取り巻く環境にもあるのだと思います。
それは、周囲の人が本人に「社会参加の機会を与える事」です。

  • 『This is US』のプロデューサーである“ダン・フォーゲルマン”は、脳卒中の隣人“グレゴリー”という役を与え、
  • 『Psych』の脚本家である“ジェームズ・ロディ”は、脳卒中から回復する“カールトン・ラシター警察署長”という役を与えました。

このことは、ティモシーオマンソンの気持ちを前向きにすること、俳優として社会復帰することの一助として非常に影響が大きかったはずです。

リハビリは決して作業療法士や理学療法士だけが行うものではありません。

医療とは無縁の人でも、その当事者の社会参加を促すため、何かしらの役割を与えるということは立派なリハビリでありセラピーになり得るんだと思います。

まとめ

本記事では、脳卒中から無事俳優としての復帰を果たした俳優“ティモシーオマンソン”から、社会参加に重要な要素と、その重要性についてケーススタディしました。

ティモシーオマンソンのケースから学べることは…

  • 脳卒中は何よりも早期発見、早期対応が最重要
  • 普段から自分の役割をしっかりこなしていることが重要
  • 不運にも障害が残ったとしても、「障害をもった自分にしかできないことは何か?」という視点は必要
  • 自分の目標を明確にし、諦めず、自身の状況をアナウンスすることも必要
  • リハビリは決して専門職のみが行うものではなく、「役割を与える事」でも成り立つということを多くの人は理解すべき

「障害=無くすもの」と考えると、ティモシーオマンソンのような復帰は難しくなっちゃうかもしれませんね。
過去の自分と比べてしまい、「こんな姿では復帰できない」「まだ昔のような演技はできない」と考えちゃうから、
『This is US』のオファーも、『Psych2』のオファーも断っていたかもしれないね。
「障害は無くすものではなく、受け入れ乗り越えるもの」ってことでしょうかね。
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