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うつ病に見られる口腔内トラブルと、歯磨きができない状態への支援のコツについて

 

うつ病、もしくはうつ傾向の場合、普段は意識していない習慣化された日常生活動作も行うことがおっくうになってしまいます。
整容動作の一つである歯磨き動作に対しても顕著にみられます。
今回はこのうつ病に見られる口腔内トラブルと、歯磨きができない状態への支援のコツについてまとめました。

うつ病にみられる口腔内トラブルについて

うつ病のクライアントに比較的多くみられる口腔内のトラブルについては以下のとおりになります。

・口渇
・味覚障害
・歯周病
・口内異常感症
・咬合異常感

口渇

うつ病に対して処方される抗うつ剤には、副作用として口渇が現れる場合があります。
実際に唾液の量は正常であるにも関わらず唾液が出なくて口の中が乾くと訴えたり、逆に唾液が出すぎて困るというような訴えも多く聞かれます。

味覚異常

うつ病の場合、何を食べてもおいしくない、砂を噛んでいるといった味覚異常の訴えも聞かれます。

歯周病

うつ病により歯磨き動作を行えず、その結果口腔内の衛生状態が悪化し歯周病のリスクを高める場合があります。
また、逆に歯周病がうつ病を重症化させる原因になるとの指摘もあります。

口内異常感症

口内異常感症とは、実際の器質的には口腔内に異常がないにも関わらず、なにか異常な感覚を感じるという症状です。
口腔心身症のひとつとして扱われます。

咬合異常感

歯のかみ合わせに対して異常な感覚を感じる症状です。
背景に顎関節症が潜んでいる場合もあります。

うつ病の歯磨きができない状態への支援について

うつ病のクライアントは歯磨きといった日常生活動作に対しても億劫になり、その結果口腔内のトラブルに発展する場合もあります。
以下のようなポイントを抑えて、支援することが必要になります。

・キシリトールガムを使用する
・歯磨きシートを使用する
・マウスウォッシュを使用する
・洗面台にむかうことから始める
・気を紛らわせる

キシリトールガムを使用する

歯周病や虫歯予防として普段からキシリトールガムを噛んでおく…というのも効果的です。
また口腔ケアとしてガムを噛むだけでなく、ガムを噛むことでセロトニンの分泌を促す効果もあるようです。
その結果うつ病の改善につながることも期待できます。

歯磨きシートを使用する

歯磨き動作って行うべき工程が多くあります。
うつ病のクライアントが億劫と感じる理由としては、この工程の多さもひとつとしてあげられます。
歯磨きシートを使用することは、少ない工程で口腔ケアができること、そしてさっぱりすることで気分の向上にもつながるというメリットがあります。

マウスウォッシュを使用する

歯磨きシートよりは工程が多くなりますが、歯磨き動作のステップアップのひとつとしてマウスウォッシュを選択することも必要です。
また、マウスウォッシュも刺激が強いものもあるので、最初は低刺激性のものから始めるのがおすすめです。

洗面台にむかうことから始める

「歯磨きをしなくてはいけない」という脅迫的な感覚がより歯磨き動作を遠ざけてしまう場合があります。
習慣化につなげるという点でが、まず洗面台に向かう、ということから始めてみることも重要です。
その後口をゆすぐだけする、歯磨き粉なしで歯を磨いてみる、歯磨き粉を付けて歯を磨いてみる…といったステップアップしていくという方法をとると効果的な場合があります。

気を紛らわせる

歯磨きは習慣化してみればルーチンワークとするパターン動作化することができます。
BGMを流す、スマホで動画を見ながら歯を磨く…といった意識を歯磨き意外のものに向けて気を紛らわせながらするということも効果的な場合があります。

まとめ

「歯磨きをしなきゃ余計に人と会うことができない」と頭ではわかっていても、実際に歯磨き動作をするまでに大変なエネルギーが必要になるのがうつ病の特徴とも言えます。
その際は、段階付ながら歯磨き動作につなげること、また意識を他に向けて行うことといったコツで歯磨き動作を行うことができるケースもあります。
うつ病のクライアント自身、歯磨き動作の必要性は感じていることがほとんどなので、歯磨きをすることが負担にならないような工夫や配慮をすることで、動作の再獲得、再習慣化につなげることができます。

作業療法士は語りたい!

「歯磨きしなきゃ」って思えば思うほど動けなくなってしまう…ってよく聞かれますね。
単純に“めんどくさいから歯磨きをしない”というだけでないことを支援側が理解しないといけないね。
「当たり前のこと」が上手にできない状態下にあるってことを知ることが一歩でしょうね!

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プロフィール

あいとう

あいとう@セラピストブロガー

作業療法士っていうリハビリのセラピストをしながらブログの運営をしています。

多趣味(釣り、アニメ、音楽…)なことと、多数の副業経験(ホスト、婚活パーティMC,ライブハウス、自主レーベル、DJ/VJなどなど)が根っこにあるアラフォー男子です。

座右の銘:「濡れ手に粟」

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