Rehabilitation

歯磨き動作に対しての評価バッテリー、検査について

 

整容動作の中でも、“歯磨き”に対して標準化された評価方法や検査方法はないようで、様々な評価方法を組み合わせて包括的に評価する…というのが通例のようです。
今回はこの歯磨き動作に対しての評価バッテリーや検査についてまとめました!

歯磨きを作業療法評価することとは?

ADLの整容動作の一つである“歯磨き”ですが、これを作業療法士が評価するということは、

①歯磨きそのものに対しての日常生活評価
②歯磨き動作に対しての評価
③磨き残しに対しての評価

…の3つの評価の視点が必要になります。

①歯磨きそのものに対しての日常生活評価

“歯磨き”というセルフケアを、そのクライアントは日常生活においてどの程度行っており、どの程度の自立度で行うことができているのか?という視点での評価になり、実施する目的としては、

・歯磨き動作の自立度の判定
・他職種間との情報共有
…となります。

また、ここでの評価は後述する“歯磨き動作そのもの”に対してではなく、あくまで日常生活という枠内でどのように実施しているかどうか?を評価するため、基準値が定められているADL評価バッテリーを使用し状況把握をする場合が多いと言えます。

主な評価バッテリーや日常生活動作の検査としては、

・FIM
・Barthal Index(BI)
・CAS(標準意欲評価法)
・Katz Activities of Daily Living Index(カッツインデックス)
・ADL-T
・ルーチン課題インベントリー(RTI:routine task inventory
・総合的基本生活技能評価(comprehensive evaluation of basic living skills)
…といったものがあげられます。

FIM

“しているADL”を評価するFIMにおいては、歯磨き動作は整容動作の判定基準内の一つの項目として扱われます。
FIMでは整容動作の自立度について7段階で評価します。

FIM(整容)

Barthel Index(BI)

“できるADL”を評価するBIにおいて歯磨きは整容動作の項目内で扱われます。
“自立”or“部分介助または全介助”の2段階で評価されます。

Barthel Index(BI)

CAS(標準意欲評価法)

“質問紙による自覚的意欲評価”、“日常生活行動面での意欲評価”、“自由時間の行動観察”という多角的な視点で意欲を評価するCASですが、観察する日常生活の16項目の中に“洗面・歯磨き”として扱われます。
この歯磨きに対して自発的に行えるかどうか?という視点で5段階にわけて判別します。

CAS(標準意欲評価法)

ADL-T

生田らによる“ADL-T”で評価対象である5つのADLの中に“整容”が含まれています。
この整容に対しての自立度を5段階で判別しますが、特に歯磨きに対して項目化されていないようです。

ADL-T

ルーチン課題インベントリー(RTI:routine task inventory

ルーチン課題インベントリーでも評価対象であるADLの中に“整容”が含まれます。
しかしADL-T同様、特に歯磨き動作を項目化していない点や、非常に時間をかけて行う方法のために、実際の臨床や現場で有益な使用じづらいという点からも、あまり使い勝手が良いバッテリーとは言えないかもしれません。

ルーチン課題インベントリー(RTI)

総合的基本生活技能評価

慢性期の精神疾患の方を対象として行われる“総合的基本生活技能評価(comprehensive evaluation of basic living skills)”の第1部の身づくろいと個人衛生という枠で、歯磨きの評価が項目にあります。
これに対して4段階で評価します。

②歯磨き動作に必要な能力や機能に対しての評価

歯磨き動作そのものに必要な身体的、精神・認知機能評価も、「なぜそのクライアントは歯磨きが自立できないのか?」という問題解決のためには必要な手順になります。
その身体、精神・認知機能、及び能力とそれに対しての評価方法についてですが、

能力・機能 評価
関節可動域 ROM-T
筋力 MMT
感覚機能 感覚検査
姿勢保持能力(バランス機能) Berg Balance Scale(BBS)
上肢の操作性 STEF
手指の巧緻動作能力 パーデュー・ペグボード・テストオコナー手指操作性テストFQテスト
問題解決能力 包括的作業療法評価尺度(COTE)
注意 TMTCATかなひろいテスト
身体の認識 身体失認の有無
前頭葉機能 WCSTFAB

…などがあげられます。

*クライアントの疾患や症状、障害によって多少の違いはありますのでご了承ください。

③磨き残しに対しての評価

歯磨きはただ歯ブラシで歯をブラッシングすればいいというわけではなく、きちんと歯垢が除去されているか?口腔内の残留物はないか?といった“完成度”にも注意を払う必要があります。
いくら動作としては自立していても、その質が低いままでは歯磨き動作を行う目的の達成には程遠い物になってしまいます。
家族や介護者が目で確認する…というのも簡易的な方法としてはよいのかもしれませんが、歯垢染色液によるチェックや、口臭チェッカーといったもので視覚化、数値化して客観的に評価する必要もあると言えます。
また、歯科衛生士が主に行う“O’Leary のプラークコントロールレコード”という歯ブラシの効果を定量的に判定する方法もあります。

まとめ

歯磨きという整容動作の一項目を評価する際、“日常生活ないでどの程度行えているのか?”と“どういう手順や動作、操作で歯磨きを行っているのか?”、そして“磨き残しがなく、きちんと磨くことができているのか?”という二つの視点でみる必要があります。
その後の訓練的な介入や自助具の選定などの対応をスムーズにするにも、この評価段階をしっかりと行い、問題点の抽出が必要になります。

作業療法士は語りたい!

整容動作へのリハビリテーションの目的を考えても、歯磨きに対しては非常に疾患予防と社会的孤立防止には必要な支援と言えるからね!
予防の観点からも、作業療法士は積極的に介入するべきADLなんでしょうね!

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