Rehabilitation

褥瘡 – 定義・原因・特徴・評価方法・好発部位・進行度・治療方法・合併症について

 

高齢者や寝たきりの方へのリハビリを行っていると、非常に“褥瘡”の問題に考えさせられ、対応を必要とされる場合があります。
そこで本記事では、褥瘡の…

  • 定義
  • 原因
  • 特徴
  • 評価方法
  • 好発部位
  • 進行度
  • 治療や処置方法
  • 合併症

…などについて解説します。

褥瘡とは

褥瘡(じょくそう)の定義についてですが…

身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。 この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。

…とされています。

つまり、臨床的には…

長期にわたり同じ姿勢でいる場合に、体と支持面との接触局所で血行不全となり、その結果周辺組織に壊死を起こすもの

…となります。

褥瘡の原因

では、この褥瘡の原因とはどのようなものになるのでしょうか?

ここでは、褥瘡の主な原因として次の4つにまとめます。

  • 機能障害
  • 外的因子
  • 内的因子
  • 間違ったケア

以下に詳しく解説します。

機能障害

褥瘡の原因として…

  • 可動性の低下
  • 活動性の低下
  • 知覚認知の障害

…といった機能障害によるものがあげられます。
この機能障害を引き起こす背景には脳血管障害といった疾患があります。

機能障害が原因で、接触面との圧迫を起こし褥瘡を発生してしまうというプロセスになります。

外的因子

褥瘡の原因としての外的因子ですが、例として…

  • 骨突出
  • 関節拘縮
  • 皮膚の湿潤
  • 浸軟摩擦
  • ズレ

…などがあげられます。

つまり、こういった外的因子によって皮膚組織の耐久性の低下や損傷を引き起こし、接触面との圧迫の増大を招き褥瘡に発展してしまいます。

内的因子

また、褥瘡の原因としての内的因子ですが…

  • 低栄養
  • 加齢
  • 血圧の低下

…などもあげられます。

こういった身体の内的な原因によって組織の耐久性の低下や損傷を招き、褥瘡を引き起こすことにつながります。

間違ったケア

褥瘡の原因は本人の機能や状態のみならず、間違ったケアという環境因子によっても引き起こされます。

  • 侵害刺激に近いマッサージ
  • 粘着テープ

…などが、リハビリテーションをはじめとした医療の現場における褥瘡の原因にあげられます。

その他にも、情緒ストレスや喫煙、皮膚温も褥瘡の原因とされる場合があります。

褥瘡ができやすい人の特徴について

褥瘡が発生しやすい人とはどのような状態にある人になるのでしょうか・
主な特徴としては次のとおりになります。

  • 自力体位変換不能
  • 病的骨突出
  • 低栄養状態
  • 関節拘縮

以下に詳しく解説します。

自力体位変換不能

そもそもこの体位変換とは、

ベッド、椅子などの支持体と接触しているために体重がかかって圧迫されている身体の部位を、身体が向いている方向、挙頭の角度、身体の格好、姿勢などを変えることによって移動させること

…とされています。

寝たきりで自分では寝返りが困難な人は、それだけベッドなどに接触する部位に長い時間圧迫が加わるため褥瘡を起こしやすいと言えます。
脳血管障害やパーキンソン病、廃用症候群といった疾患が背景にあるため、予防及び増悪防止のためにもリハビリテーションによる支援が必要になります。

病的骨突出

病的骨突出とは、解剖学的に骨突出部位の軟部組織が減少することを言いますが、その結果褥瘡を起こしやすくなります。
この背景には低栄養状態や長期の臥床による筋肉量の減少などがあげられます。

低栄養状態

体に浮腫が生じているなどの低栄養状態の人も、褥瘡を引き起こしやすいです。
栄養状態の悪化により、筋や脂肪組織が減少し、骨が突出し褥瘡発症の危険性が高まります。
加えて、低栄養の状態だと浮腫が起こり、血行の不良を招いた結果褥瘡の危険性が高まることになります。
また、低栄養状態はすでにある褥瘡の治癒を遅くすることにもなるため、褥瘡の予防、治療にはなによりも栄養の確保が求められます。

関節拘縮

関節の可動域が制限され、屈曲・伸展が困難になる状態である関節拘縮がある人も、褥瘡のリスクが高いと言われています。
関節拘縮によって体動や姿勢変換不良を招いたり、手指の握りこみや拘縮肢の圧迫によって褥瘡ができることもあります。

OHスケールについて

上述した褥瘡ができやすい人の特徴を基に、褥瘡発生の危険要因を点数化し評価ツールとしたものが大浦武彦氏、堀田由浩氏によって開発された“OHスケール”になります。

このOHスケールは主に寝たきりの高齢者や虚弱高齢者を対象としています。

危険要因 自立度 点数
自力体位変換能力 できる 0
  どちらでもない 1.5
  できない 3
病的骨突出 なし 0
  軽度・中等度 1.5
  高度 3
浮腫 なし 0
  あり 3
関節拘縮 なし 0
  あり 1

点数について

OHスケールには合計点数でリスク評価を行います。
合計点数が…

  • 1~3点:軽度レベル
  • 4~6点:中等度レベル
  • 7~10点:高度レベル

…となります。

褥瘡になりやすい疾患について

褥瘡を併発しやすい疾患については様々ですが、代表的なものとしては…

  • うっ血性心不全
  • 骨盤骨折
  • 脊髄損傷
  • 糖尿病
  • 脳血管疾患
  • 慢性閉塞性肺疾患

…があげられます。

加えて高度ではないものの、褥瘡発生のリスクが高まる可能性がある疾患としては…

  • 悪性腫瘍
  • アルツハイマー病
  • 関節リウマチ
  • 骨粗鬆症
  • 深部静脈血栓症
  • パーキンソン病
  • 末梢血管疾患
  • 尿路感染症

…などがあげられます。

褥瘡の好発部位

上述したように、褥瘡は骨が隆起している部位(骨突出部)にできやすいとされています。

基本的に耐圧がかかりやすい部位としては…

  • 仙骨部
  • 背部
  • 腸骨部
  • 大転子部
  • 下腿部
  • 踵部
  • 頭部
  • 肩部
  • 耳部

…などがあげられます。

ただし、この好発部位は仰臥位や側臥位、座位などの姿勢によって変化します。

姿勢別で褥瘡の好発部位をあげると…

  • 仰臥位:仙骨部・踵骨部
  • 座位:尾骨部
  • 側臥位:大転子部

…になります。

褥瘡の進行について

では、この褥瘡とはどのようなプロセスで進行していくのでしょうか?
ここでは、褥瘡の進行について解説します。

どの位の時間で褥瘡になる?

基本的にですが、その部位への圧迫の力が一定時間(40mmHg×2時間程度)加わることで、皮下組織や筋組織に虚血が生じて壊死に陥るとされています。

進行度による分類

褥瘡は、その進行度によって分類され評価されます。
その分類法も…

  • 治療:Shea分類
  • 予防:NPUAP分類

…という分類法が用いられることが多いようです。

Shea分類

  皮膚の状態程度 重症度
Ⅰ度 紅斑または表皮の壊死若しくは欠損 軽度
Ⅱ度 真皮全層に及ぶ潰瘍(壊死又は欠損) 中等度
Ⅲ度 皮下脂肪深層に達するものであって筋膜を超えない潰瘍(壊死又は欠損) 重度
Ⅳ度 筋膜を超えた潰瘍(壊死又は欠損、関節・骨の露出又は壊死を含む) 重度

NPUAP分類

  皮膚の状態程度
DTI疑い 圧力および/またはせん断力によって生じる皮下軟部組織の損傷に起因する、限局性の紫または栗色の皮膚変色、または血疱。
Ⅰ度 傷害が表皮にとどまっている状態。局所の発赤(紅斑)、表皮剥離(びらん)である。
Ⅱ度 傷害が真皮に及び、真皮までの皮膚欠損(=皮膚潰瘍)が生じている状態。水疱が形成されることもあり、壊死組織の付着や細菌感染が生じやすい。
Ⅲ度 皮下組織に達する欠損が生じている状態。
Ⅳ度 筋肉や骨まで損傷された状態。骨が壊死して腐骨(ふこつ)となったり、骨髄炎や敗血症を併発することもある。
U 深さ判定が不能な場合。

DTIとは?

DTI(deep tissue injury:深部組織損傷)とは、

外観からの推測は困難なものの、内部で圧力による負荷および虚血による代謝障害から組織壊死が起こっている状態

…になります。

臨床では、1週間程度で表皮が破たんし潰瘍を生じるとされています。

褥瘡の予防について

こういった褥瘡を予防するためにはどのような対応が必要になるのでしょうか?

褥瘡予防のために重要な項目としてここでは…

  • 体位変換の方法と時間間隔
  • 耐圧分散寝具
  • 栄養
  • スキンケア

…の4つについて解説します。

体位変換の方法と時間間隔

圧迫力やズレ力が発生するのを防止するためには、一定時間ごとに体位変換をすることが求められます。
注意点としては…

  • 体位変換時は転落や摩擦、ずれを軽減するために2人介助で行う
  • 病衣などのしわによる圧迫をさけるため体位変換後はきちんと整える
  • ギャッジアップの後は“背抜き”を行い、ズレ力を解消しておく
  • 時間の間隔としては、基本的に2時間を超えない範囲で行う(個人差はあります)
  • 褥瘡対策に特化したマットレスを使用している場合は、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています

…などがあげられます。

また、長時間の同じ部位への圧迫を避けやすいポジショニングとして、“30度側臥位”という方法もあります。
このポジショニングによって、臀部で体重を受けることができるため骨の隆起部への圧迫を比較的さけることができます。
この姿勢を取る場合は、クッションなどを利用し、できる限り広い接触面積で姿勢を保つようにします。

耐圧分散寝具

褥瘡の発生予防のためには耐圧分散寝具を使用するのも一つの方法になります。
この目的としては、

  • 身体の接触面を増やし、突出部への圧力を低くするため
  • 接触部位を変えることで、接触圧を低くするため

…とされています。

また、耐圧分散寝具も様々な種類があるためその利用者の状態や好み、ケアの状況や環境によって選択する必要があります。

栄養

褥瘡発生の原因でも触れたように、低栄養状態にあると褥瘡の発生リスクを高めるだけでなく、治癒の時間を遅くしてしまうリスクも伴います。

この低栄養状態を確認するためには…

  • 炎症の状態
  • 脱水の状態
  • 血清アルブミン値
  • 体重減少率
  • 食事摂取量

…などを指標とします。

低栄養状態にあるクライアントに対しては、高エネルギー、高蛋白質のサプリメントによる補給が行われたり、経口摂取が困難な場合は経管栄養や経腸栄養などの方法をとる場合もあります。

スキンケア

褥瘡の予防として皮膚を良好な状態に保っておくという“スキンケア”の視点も重要になります。
褥瘡になりやすい皮膚の特徴としてあげられるものに、尿や便失禁による湿潤(皮膚のふやけ)があります。

尿や便失禁によって排泄物が臀部周囲の皮膚に付着し、その状態が長時間継続することで、皮膚への刺激となりスキントラブルが発生します。
このスキントラブルが褥瘡発生につながりやすくなります。

尿、便失禁へのケアを徹底することも必要ですが、いかにオムツ内失禁しないで済む排泄方法を検討するか?というリハビリテーションによる支援も求められてきます。

褥瘡の評価について

褥瘡の評価方法とはどのようなものがあるのでしょうか?
主な方法としては、日本褥瘡学会で制定されたDESIGN-R®があげられます。

DESIGN-R®について

褥瘡の治療過程を評価するためのツールであるDESIGN-R®ですが、端的にまとめると次の項目を評価します。

  • Depth(深さ):創内の一番深い部分
  • Exudate(滲出液):ドレッシング交換の回数
  • Size(大きさ):褥瘡の皮膚損傷部の大きさ
  • Inflammation/Infection(炎症/感染):局所の感染徴候の有無
  • Granulation tissue(肉芽組織):良性肉芽の割合
  • Necrotic tissue(壊死組織):壊死組織の有無
  • Pocket(ポケット):ポケットの有無

褥瘡の処置や治療について

褥瘡に対しての処置や治療についてですが、

  • 創の洗浄と、壊死組織への切除(デブリドマン):深い褥瘡が対象
  • 薬剤や創傷被覆材による湿潤療法:浅い褥瘡が対象
  • 耐圧分散マットや適切な体位変換
  • 栄養管理

…があげられます。

褥瘡の合併症について

褥瘡はそのまま放っておくことで様々な合併症の原因にもなり得ます。
主なものとしては…

  • 感染症
  • 髄膜炎
  • 敗血症

…といった感染による合併症があげられます。
この感染症はクライアントの全身状態の悪化を招きますし、最悪の場合は死に至るケースもあります。

まとめ

本記事では、褥瘡について解説しました。

褥瘡とは…

  • 長期にわたり同じ姿勢でいる場合に、体と支持面との接触局所で血行不全となり、その結果周辺組織に壊死を起こすもの
  • 褥瘡の原因としては、機能障害や外的・内的因子、そして間違ったケアなどがあげられる
  • 自力で体位変換が困難な人や、低栄養状態であったりする人は、褥瘡を発生しやすいと言える
  • 褥瘡発生の危険要因を点数化し評価ツールとしたものを“OHスケール”という
  • 褥瘡を発生しやすい疾患は様々
  • 褥瘡の好発部位は姿勢によって変化するも、仙骨部や大転子部、踵骨部などが代表的
  • 進行度による分類は、治療に対してはShea分類、予防に対してはNPUAP分類がある
  • 予防には定期的な体位変換や耐圧分散寝具の使用、そして栄養状態の管理が必要
  • 褥瘡の評価ではDESIGN-R®が代表的

作業療法士は語りたい!

褥瘡はその人のADLだけでなくQOLを低下させる大きな要因にもなり得るからね。
体位変換やポジショニングなど、褥瘡に対して作業療法士ができることって多いでしょうね!
褥瘡ガイドブック 第2版 褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)準拠

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