“福祉情報技術コーディネーター”って資格、ご存知ですか?
筆者は作業療法とIT技術に興味があり、その分野での可能性を感じていることからもこの資格を取得しています。
今回はこの『福祉情報技術コーディネーター』についてと、作業療法士である筆者がこの資格を取得して気づいたメリットについてまとめてみました。
目次
福祉情報技術コーディネーターとは?
福祉情報技術コーディネーター認定試験では障害者(高齢者を含む)のために、コンピュータを含む支援技術と、補助機材をその障害に応じて結びつけ自立をサポートできるように、環境提案と、その操作技術を教えるための指導者としての能力を認定します。
引用:e-AT利用促進協会
もともとは平成12年に「アシスティブテクノロジー検定試験」としてスタートしたのが始まりで、その後平成15年に福祉情報技術コーディネーター認定試験に名称変更しています。
受験料
2級・・・・8,640円
3級・・・・7,560円
合格率
3級の合格率ですが、
2級:41%
3級:39%
試験内容
出題範囲は主に公式のテキストからの出題になりますが、最新のOSやスマートフォン、タブレット、また障害者雇用の法案についてなどテキストには記載されていない問題も出題されていました!
回答方式はマークシートですが、1級は小論文がありますのである程度の文章力も必要になります。
福祉情報技術コーディネーターは期待されている資格
福祉情報技術コーディネーターを取得している職種としては、
介護福祉士
社会福祉士
また、以下のツイートでもあるように障害児教育の分野でも非常に有効性が高い資格と言えるようです。
最大の売りは商品案内役の コンシェルジュの常駐。福祉情報技術コーディネーターの資格を持つ中園正吾さんは、大学で最先端の情報機器を福祉分野で活用する手法を研究している。ipadなどのタブレット端末は障害児の学習や社会参加を促すツールとして期待されている。
— かばいん、発達途上中↑↑↑ (@kabainn) 2012年5月16日
現在は休止している?
そんな今後の医療、福祉とITを担う資格ともいえる『福祉情報技術コーディネーター』ですが、2017年2月に行われた第36回試験を最後に、現在は開催を休止しているようです。
その理由としては、
昨今の情報化の急速な進展により、支援技術にも大きな変化が起きております。したがって、唯一の試験のベース教材となっている福祉情報技術コーディネーター対策テキストの内容についても現在の新技術に合わない点が多々発生してしまっていることも否めません。
出題内容につきましては、現在まで情報化を出来る限り反映させて適切な問題の作成に鋭意努力して参りましたが、将来に亘る試験の継続と有用性を考えた場合、問題内容と合わせて、試験名称の変更や新テキストの作成を含めて、抜本的に改革することが必要であるとの結論に至りました。
引用:福祉情報技術コーディネーター認定試験公式サイト
とのことです。
たしかに、公式テキストの内容や使用している写真、文献などもやや古めのものもちらほらと・・・(苦笑)
IT分野は非常に発展するスピードが速いので、この判断は正しいのかもしれませんね!
作業療法士が福祉情報技術コーディネーターを取得するメリット
実際筆者がこの資格を取得したことでのメリットですが、
1.臨床の現場で役立つことができた
これが一番大きいですね。
実際に現場でクライアントとパソコンやスマホの操作方法を検討する機会が多いのですが、福祉情報技術コーディネーターの試験勉強をしていなかったらできなかったサービス提供やアドバイスが多くありました。
むしろ勉強する前はどうやって指導していたんだろう・・・と怖くなったくらいです(苦笑)
2.自身の知識を体系的にまとめることができた
OTはセラピストとしてリハビリテーションサービスを提供する手段は決して徒手的なものに限らないと思っています。
自身のあらゆる知識をそのクライアントの求めるものに統合し、抽出した情報が「アドバイス」や「指導」につながると考えています。
いくらパソコンやスマホに興味があって、少し詳しいだけでは偏りができてしまい、「アドバイス」や「指導」するための知識としては今一つのものになってしまいます。
3.作業療法士のキャリアをより高めることができた
作業療法士は全国にたくさんいますが、その中で自分のキャリアをより「生き残れるもの」にするには少し工夫がいります。
ただ漫然と目の前の業務をこなすだけ…ではこれからさらに増加していくであろうセラピストのなかで、長く自分のキャリアを保つことが難しくなってしまいます。
「キャリアデザイン」の分野でよく言われるのが「掛け算」の発想になります。
「作業療法士」は数多くいても、「作業療法士×福祉情報技術コーディネーター」の人となるとグッと少なくなる…。
そういう発想ですね!
まとめ
残念ながら現在は休止してしまっている「福祉情報技術コーディネーター」ですが、作業療法士の資格と組み合わせるには非常に有益な資格と考えています。
認定試験の再開の時期はまだ未定のようですが、もしまた再開したらITの分野に興味があるOTの方は挑戦してみるといいかもしれませんね!