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大人の塗り絵がもたらす脳科学と心理的効果と、行う際の注意点について!

 

大人の塗り絵、って数年前からブームのようですね!
作業療法の臨床や介護の現場でも結構使われているのですが、今回はこの「大人の塗り絵」の効果について、脳科学と心理の分野から考えてみます。
また、行う際の注意点についてもまとめてみました!

大人の塗り絵とは?




『大人の塗り絵』と言われるものは、一般的な塗り絵とは違いセラピー効果を目的とした塗り絵の『コロリアージュ』というもののようです。
このコロリアージュはどうやらフランスで流行したものらしく、特にフランスの女性を中心にブームになったとされています。


大人の塗り絵が持つ脳への効果

では、この大人の塗り絵がもたらすとされる脳への効果はどのようなものなのでしょうか?
脳神経の観点から、脳の部位毎に説明してみます!

後頭葉

Occipital lobe animation.gif


*赤色で示す部分が左半球の後頭葉。右半球は内側面を見せるため透明にしてあります。

後頭葉とは頭(脳)の後ろ…後頭部に位置する部位です。
後頭葉には、一次視覚野と視覚前野(視覚連合野)があるのですが、この部位では色や形といった情報を司るため、主に視覚とその認識に関与します。

大人の塗り絵を行う場合、まず「どんな絵なんだろう?」とその塗り絵をじっくりと観察すると、脳はどういう絵なのか認識しようとします。
この段階で後頭葉が活性化し出します!

側頭葉




*赤色で示すのが左半球の側頭葉。

側頭葉は耳の周辺…つまり頭の(脳)の左右両側に位置する部位になります。
この側頭葉は大脳辺縁系…特に海馬と扁桃体とも繋がっているため、言語理解、記憶や物事の判断、感情の制御、そして聴覚に関与します。

大人の塗り絵を行う場合、その塗り絵の絵をみて「小さいころ住んでいた土地の景色に似ているな…」といった、自分が過去に見た形や絵の記憶と照合しようとします。
つまり、側頭葉の活性化が起こるということになります!

頭頂葉



*赤色で示す部分が左半球の頭頂葉。右半球は内側面を見せるため透明にしてあります。

頭頂葉は頭(脳)のてっぺんに位置する部位になります。
この頭頂葉は、身体の各部位の知覚機能・接触・圧力・温度・痛みなどの体性感覚や、他の感覚との統合、認知を司っています。
また、体性感覚以外にも、刺激感覚、空間認識、立体認識、物体認識、読み書きや計算認識など様々な機能に関与します。

大人の塗り絵を行う場合、その塗り絵のどの部分にどのようなものが描かれているかを認識し、全体の構図を考えます。
この時に頭頂葉が活性化しだします!

前頭葉


Frontal lobe animation

*赤で示す部分が左半球の前頭葉。右半球は透明にしてあります。

前頭葉は頭(脳)の前半分と、側頭葉の上前部に位置する部位になり、前頭前野と運動野、運動前野に分けられます。
前頭前野は思考や創造性を司る部位で、いわば「脳の最高中枢」とされていて、意欲や実行機能を司っています。
そして運動野と運動前野はどちらも運動の遂行や準備を司る部位になります。

大人の塗り絵の場合、その塗り絵の情報が前頭葉に送られることで「どこから最初に塗ろうか…その次はどの色を使おうか…」といったプランニングを行います。
そしてそのプラン通りに手を動かし、実際に色を塗っていきます。
この一連の工程の段階で前頭葉が活性化されることになります!

大人の塗り絵がもたらす心理効果とは?

このように大人の塗り絵は脳の様々な部分を活性化する効果があります。
では、その結果どのような効果がもたらされるのでしょうか?
心理的な側面での効果は以下の通りになります。

ストレス発散効果


大人の塗り絵を集中して行うことで、その結果瞑想に近い状態になるとされています。
瞑想は集中と呼吸によってストレス発散を促す方法です(ざっくりな説明ですが。笑)。
大人の塗り絵は、集中して行うことでこの瞑想に近い状態になるため、非常にストレス発散効果が期待できるようです。

自律神経の調整効果


ストレス発散効果につながるのですが、大人の塗り絵は乱れた自律神経を調整する効果も期待できるようです。
無心に熱中することで、自然と呼吸も整い、リラックスすることができます。
その結果、高ぶった交感神経を落ち着かせ、鈍った副交感神経を活性化させると言われています。

大人の塗り絵を行う際の注意点

脳にも心理的にも様々なメリットがある大人の塗り絵ですが、その方法を間違えると逆効果になってしまうようです。
逆にストレスにならないためにも以下の点に注意する必要があります。

②1日15分~30分程度にする
②完璧を求めない
③見本や現実のものに忠実に再現しない
④ふつうの塗り絵でも効果はある?

②1日15分~30分程度にする

簡単に行うことができ、集中するとどんどん楽しくなってしまう大人の塗り絵ですが、その時間も15分~30分程度に限定しないと、肩や首に負担がかかり、「自律神経は整ったけど、首がガヂガヂ…」なんて状態になってしまいます。
人によってその時間もまちまちでしょうが、「負担が少ない時間内」で行うことが重要です。

②完璧を求めない

その細かさから、どうしても細部にこだわってしまい、少しのミスも許せなくなってしまいます。
少し枠からはみ出した程度も「味」と考え、リラックスした状態で行うことが必要です。

③見本や現実のものに忠実に再現しない

大人の塗り絵には基本見本がないものが多いのですが、その理由としては自由に思った通りに色を塗ることで、脳の活性化を促す…ということになります。
見本や「リンゴは赤い!」とステレオタイプ的に大人の塗り絵を行ってしまうと、せっかくの様々な脳の活性化も効果が少なくなってしまいます。
自由な表現を楽しむような方法がお勧めと言えます。

④ふつうの塗り絵でも効果はある?

特に「大人の塗り絵」という枠組みのものでなくても問題ないようです。
もちろんその絵がより細かいものであればあるほど、求められる集中力も高くなるのでより脳の活性化を促せるでしょうし、上手に完成したときの満足度も高いものになると思います。
でも対象が一般成人ならまだしも、障害を持った方や高齢者のリハビリとしてでしたら、「成功体験」を重ねる意味でも簡単な普通の塗り絵から導入する工夫も必要かもしれません。

おすすめ塗り絵集

ではここでおすすめの大人の塗り絵集をご紹介します!

大人の塗り絵(日本をめぐる四季の旅編)- 河出書房新社




画像参考:大人の塗り絵 日本をめぐる四季の旅編

様々な日本の風景、そして四季を楽しめる事からも高齢者の回想法としても利用できる塗り絵集です。

自律神経を整えるぬり絵 – アスコム




画像参考:自律神経を整えるぬり絵

“自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生が考案した塗り絵です。
自律神経を整えるための様々な仕掛けがあるのが特徴です!

まとめ

塗り絵というとなんだか子供の遊びのイメージですが、改めてその効果を考えると非常に作業療法としても有効な手段と言えます。
脳科学的にも、心理学的にも様々なメリットをもたらすこの「大人の塗り絵」、ぜひ臨床や現場で利用してみるといいかもしれません!!

作業療法士は語りたい!

作業療法の臨床や現場でこの塗り絵をきちんと目的を持って積極的に行っているというよりは、
単純に「暇つぶし」や「離床時間の延長」のために行っている場合が多い気がしますねー
どんなアクティビティにせよ、導入する目的をはっきりさせた上で行うのとそうではないのとでは、
得られる効果も大きく違ってくるんだけどねー
「塗り絵ってアクティビティで得られる効果を狙って導入」することが重要ですね!

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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