Rehabilitation

ACIS(コミュニケーションと交流技能評価)- 目的・対象・採点方法・項目について

 
acisとは

「なんだかあの人とは話が合わない…」
「なんだか会話中の距離感に違和感を感じる」

精神疾患や発達障害を有する方とコミュニケーションを取る際、結構こういった違和感を感じる場合が多くあります。

でもこの違和感って非常に受け手の個人差によるもので、比較ってしにくいかと思います。

標準化されたスケールの有用なもののひとつとして“コミュニケーションと交流技能評価(ACIS)”があげられます。

このACISはコミュニケーションスキルを項目別に分け、それぞれスコア化することで定量的な評価を行えるようにした評価方法です。

今回はこのACISという評価方法について解説します。

本記事の想定読者としては、

  • リハビリテーションセラピスト(作業療法士)
  • 学校教育関係者(保育士や幼稚園教諭、教師や塾講師)
  • 精神、心理学関係者
  • 就労支援関係者
  • …となっております。

    ACISとは?

    ACIS(Assessment of Communication and Interaction Skills)は“コミュニケーションと交流技能評価”とも呼ばれる評価法です。
    人間作業モデルに基づいて作成されたという経緯があります。

    目的

    ACISの目的としては、

    コミュニケーション能力の定量的評価

    となります。

    つまり、対象者の交流技能を観察によって数値化し定量的に評価するという目的になります。

    対象

    ACISはコミュニケーション障害を有するクライアントに対して有効とされています。

    なので発達障害や知的障害者、精神疾患や高次脳機能障害といった疾患や障害が背景にあるクライアントに対して用いると非常に客観的な評価を行えると考えられます。

    採点について

    ACISの採点ですが、各項目4点満点になります。

    点数 解釈
    4点(良好) 検者は障害の事実を全く観察しなかった
    3点(問題) 検者は障害の存在に疑問を抱く
    2点(不十分) 検者は軽度から中度の障害を観察する
    1点(障害) 検者は重度な障害(損傷、危険、怒らせること、個人間の関係を壊す危険性)を観察する

    詳しくは後述しますが、下位項目が20項目あるため、

    • 満点:80点
    • 最低点:20点

    …となります。

    ACISの項目について

    ACISは大きく3つのカテゴリーに分けられており、さらにそれぞれの下位項目を合わせると20項目になります。

    カテゴリー 下位項目
    身体性 接触する
    見つめる
    ジェスチャーをする
    位置を変える
    正しく向く
    姿勢をとる
    情報交換 はっきりと発音する
    主張する
    尋ねる
    交流を開始する
    表現する
    声の調子を変える
    教える
    話す
    持続する
    関係 協業する
    従う
    焦点を当てる
    関係をとる
    尊重する

    以下にそれぞれ詳しく解説します。

    身体性

    まず身体性のカテゴリーですが、

  • 接触する
  • 見つめる
  • ジェスチャーをする
  • 正しく向く
  • 姿勢をとる
  • …の6つの下位項目を評価します。

    接触する

    この項目は身体的接触についての評価になります。
    つまり接触を受け入れたり、お互いに接触しあうことを意味しています。

    点数 観察できる様子
    4点 場に適切で社会的行為を促進する接触or接触しない
    3点 接触の適正さを疑問視しする様子が観察される。長すぎたりそっけなさすぎる様子や、接触の意味が異なる様子が観察できる。
    2点 接触することの困難さや遅れが観察できる。長すぎたりそっけなさすぎたり少なすぎるものの、交流中断はしていない状態など。握手が長い場合などの時も当てはまる。
    1点 適切な時なのに、接触しなかったり拒絶する様子。もしくは、殴る、突発的、自傷的行動をとるなどの様子が観察できる。接触が長すぎて他者から止められたり、場にそぐわない接触をし相手に痛みを与えたり不快にさせるなども当てはまる。

    見つめる

    この項目では適切に視線を合わせることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 適切に視線を合わせることができる。交流の間適切に視線を合わせることを維持することができる。
    3点 適切に視線を合わせることができるとは言い難い様子。時間が不適切な可能性がある場合。
    2点 不自然に目を合わせず、避けているようにする様子。短かったり不適切だったりあいまいだったり維持できなかったりする。
    1点 不適切な視線で他者を不快にすることがある。交流の間アイコンタクトを全くとらず、うつむいたり、別のところを見ている。支援者の援助が必要な場合も当てはまる。

    ジェスチャーをする

    この項目では、指示や実演、または強調するための身体運動を適切に用いられるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 話し言葉を支えて適切なジェスチャーをする。
    3点 ジェスチャーの量、有効性、話し言葉との対応が適切とは言えない。
    2点 量や話し言葉との対応が不適切。内容を推察しないとわからないジェスチャー。ジェスチャーがないので混乱を引き起こす場合。
    1点 話し言葉と対応しない。全くしない。他者を侮辱するようなジェスチャー。支援者の介入が必要となる場合。

    位置を変える

    この項目では、適切な他者との距離間を調整できるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 集団の中で自分の席に座り、パーソナルスペースに十分に配慮して動くことが可能。他者との適切な距離を調整することができる。
    3点 接近しすぎていたり、遠すぎた位置に立ったり、動きの適切さを疑問視する様子が観察できる。
    2点 集団から離れたところに座ってギャップやバリアを置いてしまうが時折集団に加わる。他者に近づきすぎて混雑になる。初めは集団の中に座ったが、集団が移動しても動かない。歩行補助具や車いすを用いる必要がある。集団の中で2人だけの交流へと不適切に移り、場が乱れるときがある。
    1点 集団から離れたところに座り、集団に戻すために支援者の介入を必要とする。近すぎたり遠すぎる位置にいて場を崩壊させる。集団の中で2人だけの交流へと不適切に移り、場を崩壊させる。

    正しく向く

    この項目では会話などの相手に向けて適切な方向を向くことができるかどうかを評価します。頭だけを向けることも含まれます。

    点数 観察できる様子
    4点 他者が話をしているときに、適切に体を向けたり別の方向を向く。不同意を示すために、少しの間、別の方向を向いたりする。話をしている人の方と対象物との方を交互に適切に体を向ける。
    3点 交互に体を向けることの円滑さに欠けていたり、不適切と捉えられる様子が観察される。
    2点 体を向けたり、別の方向を向くことが困難で、よくわからない状態。人から人、対象物へと正しく向け直せない。正しく向け続けることの困難さがある。
    1点 正しく向いたり、別の方に向けず、支援者の介入を要する。正しく向け続けられない。別の方を向いてしまっていて参加しようとしない。

    姿勢をとる

    この項目では、その場に適した姿勢をとれるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 場に適切に肢位をとる。自発的かつ適切に、姿勢を変える。
    3点 場は中断しないが姿勢が不適切。性的なことを連想させると解釈できるような行為。
    2点 姿勢が固い等、適切に姿勢を変えられない。姿勢が公式的すぎたり、非公式すぎる。両腕がいつも胸の前で組まれていたり、座って前にかがんでいたりする。慎んだ姿勢をとる能力が制限されている。
    1点 頭を机の方に俯けていたり、頭の後ろで両腕を組んでいる。場を避けているような不適切な姿勢をとり、支援者の介入を必要とする。肌を露出し、性的なことを連想させるような姿勢をとる。

    情報交換

    情報交換のカテゴリーですが、

  • はっきりと発音する
  • 主張する
  • 尋ねる
  • 交流を開始する
  • 表現する
  • 声の調子を変える
  • 教える
  • 話す
  • 持続する
  • …の9つの下位項目を評価します。

    以下に詳しく解説します。

    はっきりと発音する

    この項目では、明瞭で理解できるように話せるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 明瞭かつ簡潔な発音で、すべての単語が理解できる
    3点 言葉が明瞭とは言えない状態
    2点 注意深く聞かないと理解できず、わずかに不明瞭な話し方。
    1点 ほとんど理解できないようなぶつぶつした話し方。支援者の介入を必要とする。意味不明に略語を使う。話さないなど。

    主張する

    この項目では、自分の希望やニードを積極的にはっきりと表現できるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 確信をもって話す。他者に要求する。肯定的に他者の要求を拒否する
    3点 他者への主張を疑問視する。自身なさげに話しているように見える。
    2点 ぐずぐずと先延ばしたり、頑固だったり、他者のやり方を飲み込んでしまって自分の意見がない。自分を表現できない。少しは自信をもって話すが、同時に疑問をもちながら話す。主張することや、不明瞭・中途半端な要求で場が中断する。
    1点 受け身で従順。ごり押ししたり、攻撃的、支配しようとしたり操ろうとしたりする。主張の必要性を知らず支援者の介入を必要とする。拒絶はしないが、その活動を行わない

    尋ねる

    この項目では、ある課題を行うために必要な情報や個人的情報を求めることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 適切に質問して、情報、提案、説明、明瞭にすることなどを求める。多すぎず少なすぎず適切な数の質問をする
    3点 調べることや質問数が不適切である可能性がある。
    2点 不適切な質問をして場を中断させる。無駄が多く「しゃべっているだけ」にみえる。調べることの遅れや躊躇がみられる。遠回しなやり方で調べる
    1点 あまりにも多すぎる質問で場を独占したり妨げる。調べる必要性や機会があるにもかかわらず質問しない。支援者の介入を必要とする

    交流を開始する

    この項目では、他者との交流を適切に始めることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 交流を開始するために、適切に注意を向ける。割り込むためにうまい瞬間を待つ。
    3点 他者と関わりあうためのやり方を疑問視する
    2点 交流を開始することが困難である。注意を引こうとするが、不適切なやり方だったり躊躇する。適切なやり方ではあるが、うまくいくまで何度も注意を引こうとした。
    1点 始めようとせず、関わりあおうともせず、支援者の介入を必要とする。大声で叫ぶなど、不適切なやり方で注意を引こうとし、場の崩壊を引き起こす。孤立や引きこもりといった行動を示す。最初は開始するが、黙ってしまうなど。

    表現する

    この項目では、適切な感情表現、態度を示すことができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 場に適した感情がみられる。ゲームで勝った時や、ゲームの進行につれて興奮、幸せを示したり、負けた時には悲しみやフラストレーションを示す。
    3点 感情が場に適していないようにみられる場合。感情や態度に制限・障害がある可能性がある。
    2点 それほど熱心ではないぶっきらぼうな感情だが、まだ、その場には適切である。話とは食い違う感情。悲しいことを話しているときに微笑む。変わりやすい突発的な感情
    1点 情緒不安定、感情がない、泣く、くすくす笑う、涙ぐむ、ヒステリックに笑う、すすり泣く等場に不適切な感情。。感情の欠如や不適切な感情をコントロールするために支援者の介入を要す

    声の調子を変える

    この項目では、適切に話の中で声の大きさや抑揚えお用いることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 周囲の人がすべての話を容易に聞くことができて、声の大きさや抑揚が適切。
    3点 おかしな抑揚や声の大きさの場合。
    2点 周囲の人が話を聞きにくかったり、大きすぎる声の大きさ。抑揚が話の内容と食い違う。
    1点 ささやくような声で聞こえない。大声、叫ぶ、金切り声で話すので支援者の介入を要する。単調に話したり、歌うように話す。話せないなど。

    教える

    この項目では、適切に他者のために注意を促したり指示を与えたりすることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 場に適切に教える。攻撃的でない。
    3点 教えた内容の適切さや、教えることの躊躇など不適切な様子。
    2点 教えることが遅れたり、教えないことが場の雰囲気を損なう。教える内容が不適切で場に影響する。
    1点 自分の番なのにパスしたり、教えることを避ける。教えることを拒絶したり、教えなかったことが支援者の介入を必要とする。教え伝える内容が攻撃的な時など。

    話す

    この項目では、相手に理解できる言葉を適切に使用しているかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 わかりやすく適切な単語を選んだ完全な文章。
    3点 単語や文法が不適切な印象を受ける。
    2点 語順の間違い、不適切な文法、同じ単語の反復があり、完全な文章だがわかりにくい。内容、意図を推測することは可能。
    1点 意味不明な言葉。新造語。支援者が意図を説明する必要がある。きちんと組織立っていない文章で支離滅裂で一部しか理解できない

    持続する

    この項目では、話しをする時間が適切かどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 躊躇やぶっきらぼうさがなく、適切な長さで、終わり方も適切である。
    3点 順番に交代して話すことに不適切な印象を受ける。躊躇、ゆっくりさ、ペース、終了が不適切である可能性がある
    2点 他者の話を切る。1語での答え方。圧力をかけられたような話し方で、場が中断する。話が長すぎたり短すぎたりする。
    1点 意味がわからなかったり、どもりや躊躇があり、支援者が意味をつなぐ必要がある。圧力をかけられたような話し方で、他者が話を切る必要がある。不適切な1語での答え方で場が崩壊する。場に全く反応せず支援者の介入を必要とする。全く話さない沈黙か、とどまることなく話し続ける場合。

    関係

    “関係”のカテゴリーですが、

  • 協業する
  • 従う
  • 焦点を当てる
  • 関係をとる
  • 尊重する
  • …の5つの下位項目を評価します。

    以下に詳しく解説します。

    協業する

    この項目では、共通の目的に向かって他者と協調的に行動できるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 他者と十分に協調し、指示に従い、材料や道具を共有する
    3点 孤立気味だったり依存しすぎのように見える。役に立たない可能性がある
    2点 いつ協力すればいい、道具を共有することに気付くのが困難である。お節介を焼きすぎて、場が中断する。孤立していたり、十分に貢献しなかったり、過剰依存である
    1点 協力するためには支援者の援助、励まし、再保証、監視を要する。お節介すぎて場が崩壊する。極度に孤立していたり、何にも貢献しなかったり、拒否したり、完全な援助を必要として依存的である場合。

    従う

    この項目では、暗黙のルールやはっきりとした社会的規範に従えるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 攻撃的でない行動を示して、場を乱さない
    3点 観察者は行動の社会的適切とは言えないような時。
    2点 悪口を言ったり、ひそひそと名前を読んだり不適切な行動をとる。
    1点 他者を攻撃したり、怒らせて愛想を尽かされたり、場を乱す。敵意を持って相手にへりくだったり、軽蔑的に名前を呼んだり、性的誇示をしたりする。支援者の介入を必要とする。

    焦点を当てる

    この項目では、他者との関係及び場の両方に適切に注意を向けることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 メッセージが完全に伝えられるまで、その話題に留まる。場に適した言葉づかいをする。場に必要な注意を払っている
    3点 注意散漫な様子がうかがえる。言葉遣いの適切さや場に必要な注意が不適切な印象を受ける。
    2点 話が脱線してもとの考えに戻ることがない。あるいは、1つの話題に固執し反芻している。場に適した言葉づかい・行動を維持できない。無関係な出来事によって注意散漫になるが、最後には場に戻ることができる。
    1点 言葉が場に適してない。同じ事柄に留まることがない。あるいは、他者と違って一人だけ一つの事柄に留まる。支援者の介入がないと注意散漫になり、場に戻れない。行動は一貫して「関係ない」といったもので場に注意を向けることがない。

    関係をとる

    この項目では、他者と良好な関係を適切にとることができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 適切な冗談や逸話を話す。お世辞を言ったり建設的な批判をする。不平不満を言わない。支持する。適切な感情や情緒を披露する。自発的で適切に関係をとる
    3点 良い関係をとろうとするために用いたやり方が不適切な印象を受ける。
    2点 感情を非適切にあらわにすることが場を乱す。あいまいなお世辞を言ったり、無関心に見える。貧弱な会話や冗談を言ったり、不適切に笑う。
    1点 支援者の介入を必要とする。攻撃的な冗談や会話を言う。不愉快にさせるように笑ったり敵意がある。文句を言ったり協調性が貧弱。最初はラポールをとるが、維持できない。アイデアや示唆を与えることができず、励ましやお世辞を言うことがなく、関心を示さない。孤立、引きこもり行動をとる。

    尊重する

    この項目では、他者の反応や要求に対して臨機応変に対応することができるかどうかを評価します。

    点数 観察できる様子
    4点 他者が間違って理解したらすぐに言い方を修正し、もう一度言ったり別の言葉で言ったり細かく説明する。他者の反応に対して自発的に調節する
    3点 クライエントが調節する必要性に気付いているかどうか曖昧な印象を受ける。調節の適切さや速さを疑問視する。言葉の修正が足りず、支援者が混乱する
    2点 最初は調節する必要性に気付かなかったが、調節する。言葉を修正したりはっきりと言い直すことの遅れがあり、調節できない
    1点 クライエントは調節する必要性に気付かない。調節をしない。あるいは、しようとするができない。支援者の援助を必要とする

    まとめ

    「なんとなくコミュニケーションがとりづらい」「なんだか話が合わない」ということは非常に当事者の感覚的ではありますが、ACISを使用することで定量的に評価、分析をすることができます。

    ACISとは…

  • 人間作業モデルに基づいて作成された評価
  • コミュニケーション能力の定量的評価の方法
  • 対人交流、対人コミュニケーション障害を有するクライアント対象
  • 3つのカテゴリー、20の下位項目で構成されている
  • 作業療法士は語りたい!

    作業療法が扱う分野や対象って、非常に定量的な評価がしにくいですから、
    このACISのように定量的な分析、評価方法は非常に便利ですね!
    ただ重要なのは、数値化するだけでなくその点数間にある質的な違いや変化をしっかりと判断するってことだね!
    <イラスト&図解>コミュニケーション大百科

    <イラスト&図解>コミュニケーション大百科

    戸田久実
    1,540円(11/13 07:10時点)
    発売日: 2019/02/14
    Amazonの情報を掲載しています
    sponsored Link
     

    ピックアップ記事

    Sponsored Link

    PAGE TOP