作業療法をはじめ、リハビリテーションの分野では作業分析、動作分析、活動分析、行動分析…といった様々な“分析”があります。
今回はそれらの“分析”とはどのようなものなのか、その違いについて解説します。
目次
分析とは?
そもそも“分析”とはどのようなことなのでしょうか?
調べてみると以下のように定義されています。
分析とは…
①ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。
②物質の鑑識・検出、また化学的組成を定性的・定量的に鑑別すること。
③概念の内容を構成する諸徴表を各個別に分けて明らかにすること。
④証明するべき命題から、それを成立させる条件へ次々に遡っていくやり方。
引用:wikipedia
…なんだかちょっと難しいですが、以下にそれぞれ深掘りして解説します。
①ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること
様々なものは小さな情報の集合体と捉えると、構成している個々の情報を改めて分けることが“分析”することの第一歩になります。
その“分ける”ことも何を軸として“分ける”かは、分析の目的によって変わってくるはずです。
そして分けた後の個々の情報をそれぞれ比較することで、物事を明らかにする作業を“分析”と呼ぶ…こういう解釈で大方間違いないのかと思います。
②物質の鑑識・検出、また化学的組成を定性的・定量的に鑑別すること
この文言でいう分析の意味が指すものは、どちらかと言えば“科学的な分析”のことを主に指しています。
そのため直接作業療法の分野には関連しにくいですが、“定性的・定量的に鑑別すること”という部分は共通する印象を受けます。
作業療法をはじめとしたリハビリテーションの分野は主に“人”を対象とする分野であることから、数字では表せられない“性質”の部分にフォーカスをあてる“定性的”な側面を重要視する特徴があります。
しかし、効果判定の為の比較検討などの際にはやはりしっかりとした“数字”で表す“定量的”な側面も必要になってきます。
リハビリテーションにおいての分析で必要なものは、“定性的”、“定量的”どちらの側面も必要になってくるという解釈なんだと思います。
③概念の内容を構成する諸徴表を各個別に分けて明らかにすること
“徴表”とは、ある事物の特徴を表すもので、他の物と区別する性質のことを言います。
それが作業でも動作でも活動でも精神でも、それらの概念特有の特徴を個々に分けて再度明確にすること…と解釈できますので、比較的①の“分析”の捉え方に近い印象を受けます。
まあ、そのまま“概念分析”なんて言葉があるくらいですから(笑)。
ただ意外に作業療法プログラムを考える際には、この概念の分析という工程は必要なんだと思うんですけどね!
④証明するべき命題から、それを成立させる条件へ次々に遡っていくやり方
証明すべき命題…作業療法やリハビリテーションの分野においてはクライアントが抱える“生活障害”と捉えるとわかりやすいかと思います。
この障害を成立させてしまっている各条件に振り返っていくこと自体が“分析”という手法…と解釈できます。
作業療法評価自体が分析的な要素を含んでいる…逆に言えば、分析的な視点がないと作業療法評価として成立しにくいってことでしょうかね!
集計と分析は対の関係
ちなみに、その事象に対しての様々なデータを集めて計算することは“集計”と呼ばれています。
物事を分解して、成分、要素、側面を明らかにすることである“分析”とは全く逆にあるものという捉え方ができますね!
まとめ
何気なく臨床や現場でも“分析”という言葉を使っていましたが、改めてその意味を調べ深めることで、分析をすることの目的が明確になったと思います。
クライアントの状態、抱える課題をしっかりと把握するためには、分析的な視点は非常に有効になってくると思います!