作業療法士が普段何気なく使用している“アクティビティ”という言葉。
これって世間一般で使用されている“アクティビティ”とは少し意味が異なっています。
ましてや、経験不足な作業療法士ほど、このアクティビティの意味や目的が曖昧なままリハビリテーションとして提供しているように思えます。
本記事では、作業療法やリハビリテーションとしての“アクティビティ”について解説します。
想定読者としては…
- 作業療法士
- リハビリテーション医療従事者
…になります。
目次
そもそも“アクティビティ”とは?
そもそもこのアクティビティとはどのような意味になるのでしょうか?
英単語としての意味では次のようになります。
- 活動
- 活気
- 働き
ただし、世間一般でのアクティビティの意味ですが、
- 旅行先での遊び
- レジャーとしての体験活動
…の意味として使用されることが多いようです。
作業療法における“アクティビティ”とは?
作業療法における“アクティビティ”ですが、主に“作業活動”として捉えられます。
その作業活動は次のようなものに大きく分けることができます。
- 日常生活活動
- 仕事、生産的活動
- 遊び、余暇活動
作業療法においてのアクティビティの目的について
作業療法におけるアクティビティの目的について大きく分けると次の2つになります。
- クライアントの障害に対しての治療的介入手段として
- クライアントの自己実現のため
以下に詳しく解説します。
治療的介入手段として
そもそもアクティビティ(作業活動)を行うためには、身体機能だけでなく精神、心理、さらには環境、社会的な適応力に至る様々な機能を必要とします。
それらの機能を分類すると、
- 運動(筋力、運動協調性、巧緻性、耐久力など)
- 感覚(視覚、聴覚、触覚など)
- 知覚(運動覚、図―地や空間関係の弁別、両側統合など)
- 認知(注意力、概念化、読解、信号や記号の理解など)
- 感情(自立、依存、象徴性、感情操作、現実検討など)
- 社会性(対人交流、コミュニケーション、協調性など)
- 文化(価値観、生活状況など)
- その他(年令適正、安全に対する注意、性的同一化など)
…にわけられます。
アクティビティを治療的な介入手段として用いる際の目的としては、
これらの機能を統合的に向上させること…という捉え方ができると思います。
自己実現として
次にアクティビティの目的を「自己実現」の手段とすることについてですが、これはアクティビティ自体が目的と捉えられます。
この自己実現についての定義は解釈の違いによって様々ですが、おおまかには「人間としての豊かな自己の能力や個性を実現させていこうとするもの」とされています。
- 「高齢になったけど、こんなことができるんだ!」
- 「障害を持っているけど、こんなものも作れるんだ!」
…といった加齢や障害によって生活や活動が限定的になってしまっても、残存能力や環境調整によって可能なことを知り、それを通しての社会参加を行うこと…というのが作業療法のアクティビティにおける自己実現と考えられます。
作業療法士はもっとアクティビティを見直すべき!
身障領域での作業療法場面では、どうしても機能訓練がメインになってしまっていること、アクティビティ=手工芸として扱い、その目的も「離床時間の延長」「精神賦活」といった部分的な目的のために導入しているようなケースが多くみられます。
これは正直言って「もったいない」と思っています。
もっと作業療法士が提供するアクティビティによって、多くの効果をクライアントに提供できるはずです。
作業療法の作業活動(アクティビティ)がクライアントにもたらすことができる恩恵を、改めて考える必要があるのかもしれません。
まとめ
本記事では作業療法におけるアクティビティについて解説しました。
- “作業活動”として捉えられる
- “日常生活活動”、“仕事、生産的活動”、“遊び、余暇活動”に分けることができる
- 目的としては、“治療的介入手段”及び、“自己実現”として