障害を持つ人の就労支援に作業療法士が関わる場合、どのような関わり方をすればよいのか迷うことがあります。
今回は職業リハの観点から、対象者自身と環境の“二方向性の支援”という切り口で作業療法士の関わり方についてまとめてみました!
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h2>作業療法士の就労支援は二方向性/h2>
仕事に就くということは、少なくともその職場(企業)の生産活動に貢献するため、要求されることに答える必要があります。
その場合、障害を持つ人への就労支援においては対象者側に向けた支援と、環境や集団に向けた支援の二つの方向それぞれに作業療法士が関わる必要性がでてきます。
端的に言えば、
②資源開発
目次
①能力開発
この“能力開発”は対象者自身へ向けた支援として扱われますが、さらに
ⅱ.技能の活用
ⅰ.技能の発達
この“技能の発達”は、対象者自身がまた習得できていない個人的な機能を、教育や訓練で新たに学習して発達させることになります。
つまり新しく“スキル”を身に着ける工程と考えられます。
ⅱ.技能の活用
この“技能の活用”は、すでに習得した機能的な特性を実際の環境の中で十分に活用できるように訓練することになります。
つまりすでに身についている“スキル”を様々な環境で応用的に“活用”する工程と考えられます。
②資源開発
対象者が働く職場…つまり、環境や集団の側に向けた支援としてこの“資源開発”があげられます。
これは既存の企業や組織、期間、制度などの社会資源を「調整」や「修正」することでより対象者が働きやすくなるようにするアプローチとして捉えられます。
ⅰ.資源の調整
この“資源の調整”は社会資源を選択したり、活用の仕方の調整や援助によって、個人の特性に応じて活用できる資源を結びつける支援とされています。
“取捨選択”や“マッチング”というキーワードが関連してくると考えられます。
ⅱ.資源の修正
この“資源の修正”は、個人の価値観や必要性に応じて、既存の社会資源そのものを改善していくこととされています。
“シフトチェンジ”・“パラダイムシフト”や“イノベーション”といったキーワードが関連してくる部分と考えられます。
働くことへの評価について
このような働くことへの作業療法士の関わり方における二方向性のアプローチ、“能力開発”と“資源開発”ですが、どちらにも共通して重要なことは“しっかりと評価を行うこと”と考えられます。
様々な環境下での作業、活動を通して、対象者の職業的潜在能力を評価する必要がありますし、その評価がしっかり行われていないと、有益な支援につながっていかなくなります。
この評価ですが、
②医療機関側からは障害に対する情報、家族側からは生活に対する情報の収集
働くことへの訓練について
しっかりとした評価を行った上で、実際の訓練へ移行していきます。
作業療法士が行う働くことへの訓練についてのポイントとしては以下の4点があげられます。
②訓練内容と期間の共有
③訓練、支援内容の具体化
④技能習得の機会設定
あくまで作業療法=職業訓練ではないという捉え方からすると、「職業準備性」に重点を置き、訓練プログラムを立てることが必要とされています。
まとめ
障害を持つ人への作業療法士による就労支援について二方向性の支援が重要という切り口で端的にですがまとめてみました。
対象者自身への支援、対象者を取り巻く環境への支援の二方向性性の支援が必要ということは、こういった職業リハの領域に限らず多くの領域でも共通する部分かもしれません。
またこの二方向性性の支援を行う場合、対象者へのしっかりとした評価を行い、なによりも訓練、就労への動機づけができるような訓練プログラムの設定が必要になってくると言えます。