Rehabilitation

脳卒中の発症を予防する10の方法- 生活習慣・運動習慣・喫煙・飲酒・肥満など

 

身体の片側が麻痺してしまう片麻痺や、言葉がうまくしゃべれなくなる失語症。
そういった様々な障害を持つことになってしまう可能性が高いだけでなく、寝たきりになってしまう、場合によっては死亡の可能性も高い脳卒中という病気。
この脳卒中は、がんや心疾患とともに日本人の死因の高さから三大疾病とよばれている病気です。

本記事ではこの脳卒中の発症を防ぐための方法について解説します。

1.高血圧に注意する


脳卒中のなかでも、脳の血管が破けることで発症する“脳出血”は、多くの場合高血圧が原因とされています。
そのため、脳卒中の発症や再発の予防で一番重要なことは血圧を下げることになります。

脳卒中患者を対象にした降圧治療をした場合としなかった場合の比較調査では、降圧治療をした方が、脳卒中の再発率を約3割減らせることがわかっています。

脳卒中発症は高血圧が最大のリスク…ということについては、この他にも多くの研究でも確認されており、また公式のガイドラインでも推奨されている予防方法です。

ちなみにこの血圧ですが、目標値としては原則140/90mmHg未満ですが、糖尿病といった合併症がある場合は130/80 mmHg未満とされています。
ただし、75歳以上の高齢者に位置する“後期高齢者”の場合は、血圧も下げすぎるとあまり良くないこともあるため、150/90 mmHg未満を目標としても良いという報告もあります。

また、高血圧は心臓病といった他の病気の大きな原因にもなります。

普段から血圧をコントロールするということを意識することは、脳卒中のリスクを下げることにつながります。
血圧管理を意識付け、習慣化するためにも、家庭で血圧を測るということはとても大切とされています。
できれば朝の起床時とと就寝前の2回、毎日なるべく同じ条件で測定して記録することがおすすめです。

また、血圧が高い人は、早朝に血圧が上がりやすいので、起床後1時間以内に血圧を測って、これを目安にするとよいとされています。

2.糖尿病に注意する


糖尿病は、体内のインスリンが十分に働かないことで摂取した食物エネルギーを正常に代謝できず、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。

この糖尿病になると、腎臓にも影響が現れるだけでなく、血液や血管の障害をおこし、脳卒中…特に脳梗塞の発症リスクを高めることになります。

脳梗塞の原因の一つに“動脈硬化”があげられます。
糖尿病はその動脈硬化の進行を早めてしまうため、結果として脳梗塞の発症リスクを高めることにつながってしまいます。

福岡県久山町の全住民を対象に1961年に始まった“久山町研究”では、糖尿病のある人は、糖尿病でない人の2〜4倍、脳梗塞を発症しやすいことが分かっています。

また、糖尿病は脳梗塞だけでなく、心臓の筋肉へ血液を送る動脈がつまる“心筋梗塞”のリスクが2~4倍高まるともいわれています。

普段から糖尿病にならないような生活習慣を心がけることで、脳梗塞を予防することができるということです。

3.不整脈はすぐに受診する


不整脈の一種である心房細動は65歳以上の高齢者の5~10%にあると言われています。
この心房細動は大きな自覚症状がないことから、放置されていることも少なくありません

しかし、心房細動がある場合心臓内で血が固まりやすくなってしまい、それが心原性脳塞栓症の原因となります。
このように、心房細動が原因で起こる脳梗塞は、脳梗塞全体の20%程度で、その多くは60~70代の高齢者と言われています。
また、心房細動がある場合に脳梗塞が起こる危険性は、心房細動がない場合に比べて6倍になるという報告もあります。

脳梗塞を予防するためには、心房細動の治療とともに、血が固まりにくくなる薬で梗塞を防ぐ処置することがあります。

また、脳梗塞でも小さな血管が詰まる程度の場合、症状がないこともあります。
しかし、いくら症状がない小さな梗塞とはいえ、何度も起こった結果は大きな障害につながることもあるので、注意が必要です。

4.喫煙はNG


喫煙が健康を害するという知識についてですが、多くの場合は肺がんや気管支炎といった呼吸器の病気と関連されるかと思います。
そのため以前は脳卒中と喫煙の関連はあまり広く知られていないようでしたが、数年前からタバコのパッケージに記載されているようになったため、認知度としては高くなったようです。

「長年タバコを吸っているから今さらやめても変わらない」という人がいますが、そんなことはありません。
長年吸っていたとしても、やめた分だけ予防効果が期待できますし、万一脳卒中になった場合の重症度を下げられる可能性もあります

実際、喫煙はクモ膜下出血、虚血性脳卒中を増やし、発症リスクを2~3倍にします。
ただし、禁煙すると脳卒中の発症リスクは減少しますが、効果が現れるには2~4年を要する…という報告もあります。

基本的に喫煙はしないにこしたことはない…ということです。

5.アルコールは少量ならOK


喫煙同様、アルコールも脳卒中のリスクをあげることがわかっています。
米国脳卒中学会(ASA)によると、脳卒中の約87%は虚血性脳卒中、残りの約13%は出血性脳卒中であり、過度の飲酒は、その両方のリスクを高めるという調査結果が、医学誌「BMC Medicine」に発表されています。。

そのアルコールの量ですが、1日3合以上の日本酒の摂取は男性の脳卒中のリスクを2倍に上げるといわれています。

ちなみにこの日本酒換算で3合(1合は3単位)をその他の各種アルコールに換算すると…

  • ビール:中びん1本(500ml)
  • ウイスキー:ダブル1杯(60ml)
  • 焼酎:0.6合(110ml)

…に相当します。

しかし、1日1合(3単位)未満の飲酒は逆に脳卒中のリスクを下げる傾向にあるという報告もあります。

ほどほどのお酒だからこそ、健康に良いということを忘れてはいけません。

6.コレステロールをチェック


コレステロールについてですが、特に悪玉と言われる“LDLコレステロール”が高いと、心臓につながる大血管の障害を引き起こします。
海外の研究では高コレステロール血症は脳梗塞の危険因子であることが報告されています。

LDLコレステロールが高くなることで、血管の壁にコレステロールがたまり動脈硬化を引き起こします。
これによって脳梗塞のリスクにつながります。

LDLコレステロールが高い脂質異常症かどうかは、血液検査の結果で診断されます。
その際のチェック項目は、悪玉のLDLコレステロール、善玉のHDLコレステロール、中性脂肪のそれぞれの値で判断されます。

脂肪はコレステロール値、糖分は血糖値と関係しています。
それぞれ摂り過ぎに注意が必要ですが、「絶対にこれを食べてはダメ」という極端な食生活が必要というわけではありません。
食生活全体でバランスを考えることが重要になります。

7.塩分を控えた食事を


塩分の摂り過ぎは高血圧につながり脳出血のリスクを高めます。
日本高血圧学会の1日の推奨量は6g未満、厚生労働省の基準では1日の目標量が男性8g、女性7gです。

スーパーやコンビニでのお惣菜やお弁当、また、外食によって摂取する食事には塩分が多く含まれています。
そうすると気が付かないうちに過剰に塩分を摂取することになります。

8.適度な運動習慣を身につける


運動習慣といっても極端な運動が求められているわけではありません。
あくまでも運動する習慣を身につける…ということが重要です。

南オーストラリア大学健康科学部のミッシェル マクドネル博士ら研究チームによると、運動不足の人は、中程度または強度の運動を週に4回以上行った人に比べ、脳卒中または軽度の脳卒中を発症する割合が、20%高いという結果になったとの報告がされています。

運動は内臓脂肪を燃やし、血糖値や中性脂肪値を下げ、血圧を下げる効果があります。
さらに、善玉コレステロールであるHDLコレステロールを高める働きもあります。

どのような運動がよいか?という質問に対してですが、1日30分程度のウォーキングなどの有酸素運動が効果的といわれています。
また、活動と休息のバランスが取れた生活リズムを維持するような工夫が必要です。

ちなみに、男性では、汗をかく程度の活発な運動を週に4回行う人で、脳卒中リスクはもっとも低下していたものの、女性でも運動をする人で脳卒中リスクは低下したが、運動の強度と脳卒中の頻度との関連はみられなかった…という報告があります。
これは、女性はウォーキングのようなあまり激しくない運動でも、脳卒中予防の効果を得られるからだと考えられているようです。

運動が脳卒中の予防に効果があるとはいえ、脱水症状を起こすと血液もドロドロになって血流に淀みができやすく、脳卒中につながるリスクも高まってしまいます。
夏の暑い時期などは特に水分を十分に摂取するよう気を付ける必要があります。

9.肥満体質は改善を


過剰な食事、運動不足、代謝の悪さなどのリスクが体重になって表れますので、太り過ぎ(肥満)も間接的なリスクの一つとなります。
BMI(体格指数=体重kg÷(身長m)2)で標準適正(BMI18.5から25未満)を目指すとよいとされています。
統計的に最も病気にかかりにくい22を標準とし、25以上を肥満としていますので、習慣的に自分のBMIを把握しておき、食生活、運動習慣に注意することが重要と言えます。

10.定期的な脳ドックを受ける


脳卒中のリスクについてですが、生活習慣だけでなく遺伝的な要因もあることがわかっています。
そのため、家族で脳卒中を起こした人がいる場合には、脳ドックを受けることも必要な場合があります。

この脳ドックでは、MRI(磁気共鳴画像装置)で撮った画像や頸部に超音波を当てる検査で、血管の詰まりや動脈硬化の程度を調べることができます。
また、血圧や血液の検査も行い、発症リスクを高める高血圧や糖尿病などがあれば、生活習慣の改善指導が行われることもあります。
報告書を受診者に送付するだけという病院やクリニックもありますが、日本脳ドック学会の認定施設では、原則として医師が面談で報告書の説明をしています。
ただ、脳ドックを受けるだけでなくその結果について担当医からきちんと説明を受けるということも重要です。

違和感を感じたらすぐに受診

追加の項目にもなりますが、万が一身体にいつもと違う違和感を感じた場合はすぐに救急車を呼び、早急な医療機関での対応をするべきと言えます。
脳卒中を発症してから治療するまでの時間が早ければ早いほど、後遺症は軽くなりますし、その後の日常生活への悪影響は小さく済みます。

まとめ

本記事では、脳卒中の予防方法について解説しました。

脳卒中を予防するためには…

  • 高血圧に注意する
  • 糖尿病に注意する
  • 不整脈はすぐに受診する
  • 喫煙はNG
  • アルコールは少量ならOK
  • コレステロールをチェック
  • 塩分を控えた食事を
  • 適度な運動習慣を身につける
  • 肥満体質は改善を
  • 定期的な脳ドックを受ける

…があげられます。

作業療法士は語りたい!

脳卒中を発症しないように、普段の生活で予防を心がけるってことは今後重要になると思うんだ!
今回紹介した10項目の他に加えて、“規則正しい生活習慣”と“ストレスをためない”ってことも大切でしょうね!
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