職業準備訓練はあくまで“準備”を高める事が重要って話。

作業療法士がなにかしらの障害を有した人に対して復職や就労支援を行う場合、多くが“職業準備訓練”を行うと思います。
でもこの訓練プログラムの目的や内容は昨今では変化しつつあるといわれています。
実はこの変化を支援する側である作業療法士も知っていないと、その支援自体が“バリア”になる可能性があるんですよ…。

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職業準備訓練とは

職業準備訓練とは、職業生活に必要な基本的な労働習慣を身に着けたり、社会生活を過ごすために必要な技能を向上させるための訓練を指します。
その内容も人によって様々なため、対象者のニーズに合わせて構成されるのが特徴です。
就職や復職、職場への適応に向けた準備性を高めるために、実際の職場で働く経験をする…なんて場合もあるようです。

職業準備訓練の焦点の変化



そんな職業準備訓練が近年変化してきているようです。
以前までおこなわれていた職業準備訓練という支援は、障害を有する人本人の「能力障害」に焦点を置き、本人の訓練によってその改善を目指していました。
国際障害分類がICIDH-Ⅱの時代ですから、障害=能力障害という医学的モデルの概念を根幹にしたものだったためとも考えられます。
ただ、能力障害の改善を基礎にした訓練では、障害が改善するという例は限られていたようです。

実際この時代からも能力障害視点での障害を克服していないにも関わらず、企業で就労しているケースもみられていたことから、就業へのバリアは対象者の障害ではなく、むしろそのような評価や訓練自体ではないか?という意見がでてきたようです。

必要なのは「職業準備性」を高めること?



現在の職業準備訓練という支援は、障害を有する人が仕事について考えたり、具体的な就職活動で直面する問題に対応する能力を重視されているようです。
そういった意味では、現代の職業準備訓練とは、本人の職業生活を始めるために必要な条件が“用意”されている状態である「職業準備性」を高める支援と言えます。
職業生活が始まる前から「できるorできない」の二択で判断するのではなく、あくまで“準備”に力を入れるということが求められていると言えます。

プレイス-トレインアプローチが重要



個別就労支援アプローチであるIPS(Individual Placement and Support)による職業支援のモデル(IPSモデル)では、
従来の職業訓練アプローチ方法である「トレイン-プレイス(訓練後に就労)アプローチ」ではなく、「プレイス-トレイン(就労して訓練)アプローチ」の重要性を強く謳っています。
作業療法室や場面設定されているような“保護的な場”での訓練のみでは、実際に職業生活がスタートしてから求められる能力をフォローしきれないのでしょうね。
あくまで職業準備訓練では職業生活をスタートするための“準備”に軸足を置き、実際に就労してからそこで必要なスキルを身に着けていく手法がより実践的であると言えます。

*ちなみにこの場合のプレイス(Place)は“場所”、トレイン(Train)は“育て上げる”の意味になると解釈しています。

まとめ

職業準備訓練の焦点が変化してきたことで、支援を行う側の意識を変化していく必要が非常に高まってきたと思います。
支援する側がいつまでも悪い意味での“従来の方法”しか知らず、それしか実践していなければ、その支援自体が対象者にとってはバリアになってしまいます。
この焦点の変化は恐らく世の中の変化(世論、テクノロジーetc)によってもたらされるものでしょうから、作業療法士といった支援する側もその変化にフレキシブルに対応していく必要があるのでしょうね!

作業療法士は語りたい!

もちろんこのプレイス-トレインアプローチは、
職業リハビリだけではなく、医学的リハビリの領域でも同じだろうね。
「できるADL・しているADL」なんてこととつながってきそうですよね!
こういう流れや変化を追っていくと、作業療法士はそろそろ医学的モデルのみからの脱却が必要なのかもしれないね!
元々社会的モデルに近い位置だったはずなんですけどねー。。