TMT(トレイルメイキングテスト)のカットオフ値と平均値、方法や注意点について

“TMT検査”という注意障害の評価でよく使われるのですが、作業療法の臨床や現場で有効的に使っているでしょうか?
比較的簡単な検査だからこと、カットオフ値はもちろんのこと、その方法についても作業療法士は知っていないといけません。
今回はこの“TMT-A”“TMT-B”それぞれの方法や実施の際の注意点、そして年齢別の平均点やカットオフ値についてまとめてみました!

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TMT検査について

正式な名称は「Trail Making Test(トレイルメイキングテスト)」といい、“TMT-A”と“TMT-B”の2つで1セットとして扱う検査方法です。

TMTの目的

主に注意機能(持続性、選択性)遂行機能の評価として行われます。
また視覚的探索機能視覚運動協調性といった機能も評価できる要素とされています。

評価の対象について

主に高次脳機能障害である注意障害を有するクライアントに対しての評価バッテリーとして使用されることが多いです。
その中でも、脳血管障害や頭部外傷による前頭葉損傷の方や注意障害を持つ方に対して行うことが多い印象を受けますね!
また、最近では転倒リスクや高齢者の自動車運転能力を評価するための一つの指標としてTMT検査を行う場合もあるようです。

準備物品について

TMT検査を行う際に必要な物品は以下の通りです。

・鉛筆
・消しゴム
・ストップウォッチ

TMT-A検査とTMT-B検査の違い

おなじTMTの検査でもA検査,B検査によって評価するポイントが異なってきます。

TMT-Aについて


・用紙サイズ:A4用紙
・記載内容:1~25まで数字がランダムに配置されている
・方法:被験者は1から順番に1-2-3と鉛筆で線を結んでいく
・計測方法:25をゴールにし、そこまで到達するまでの所要時間

TMT-B検査について


・用紙サイズ:A4用紙
・記載内容:1~13までの数字 「あ」から「し」までの平仮名 がランダムに配置されている
・方法:被験者に数字と平仮名を交互に順番通りに線で結んでいく(1→あ→2→い→3…)
・計測:13をゴールまで到達するまでの所要時間

TMT-AとTMT-Bで共通する点、異なる点

A検査、B検査それぞれの共通する点、また異なる点については以下のとおり!

共通点

A検査、B検査の両者に共通する点としては、

・視覚性の探索能力
・注意機能の選択性注意
があげられます。

異なる点

また、異なる点としては、
B検査は“数字と平仮名を順番に交互に線で結ぶ”という課題のため、

・ワーキングメモリ
・分割的(分配)注意機能
を検査することができます。

つまり、A検査、B検査の両方とも著しく低い検査結果の場合は「視覚性の探索能力」「注意機能の選択性注意」の障害としてみるのが妥当ですし、B検査のみに著しく低い検査結果の場合は、「ワーキングメモリ」「分割的注意機能」の障害、、、いわゆる前頭葉の機能低下として推測することができます。

TMT検査における注意点について

TMT検査を実施する際には以下の点に注意が必要です!

①本番前には必ず練習問題を行う!

A検査、B検査両者とも必ず練習用紙を用いた練習問題を行ってから本検査を行います。
この時点でしっかりと検査指示内容の理解ができているかどうかを把握しないといけません!

②鉛筆は紙から浮かさない!

A検査、B検査ともスタートからゴールまで鉛筆を用紙から浮かさないようにして線を結んでいきます。
この点も練習問題を実施する段階で被験者に伝えておく必要があります。

③B検査では制限時間が5分!

B検査では制限時間が最大5分とされています。
制限時間内でゴール間で達成できなかった場合は「評価不能」と判断します。
もちろん作業療法士としては単純に「評価不能」で終わらせるのではなく、「なぜゴール達成ができなかったか?」を分析的に追求していく必要があります!

TMT検査適応外の例

またTMT検査を行うべきでない…いわゆる適応外の例はですが…

①鉛筆を使用できない場合は検査実施不可とする
②指示理解困難の失語症の場合
③半側空間無視の場合
…などがあげられます。
以下それぞれ詳細について説明します!

①鉛筆を使用できない場合は検査実施不可とする

被験者が重度の運動障害で、鉛筆を把持し線を結ぶことができない場合はTMTの検査対象外とします。
ただし鉛筆の持ち方や使用方法については言及していない点から、自助具や補助道具を使用した上で鉛筆の使用が可能かどうかを試してみるのも作業療法士としては必要なアプローチといえます。

②指示理解困難の失語症の場合

被験者が失語症といった指示理解が困難な場合は適応外とします。
指示理解困難の場合ですから、ブローカ失語症といった言語理解に問題はない場合はTMT検査の適応対象になります。

③半側空間無視の場合

被験者が軽度でも半側空間無視を有している場合も、その点数結果に大きな影響を及ぼす場合があるので適応外とします。

TMT検査の平均値、カットオフ値について

TMT-A、TMT-B検査結果における平均値、カットオフ値については以下の通りです。

TMT-Aの年齢別平均値

年齢別 平均時間 標準偏差
20歳代 66.9秒 15.4
30歳代 70.9秒 18.5
40歳代 87.2秒 27.9
50歳代 109.2秒 35.6
60歳代 157.6秒 65.8

TMT-Bの年齢別平均値

年齢別 平均時間 標準偏差
20歳代 83.9秒 23.7
30歳代 90.1秒 25.3
40歳代 121.2秒 48.6
50歳代 150.2秒 51.3
60歳代 216.2秒 84.7

TMTのカットオフ値

*作業療法士に必要な各検査のカットオフ値についての記事一覧はこちら

まとめ

今回、注意障害,遂行機能障害といった高次脳機能障害を評価する検査方法であるTMTテストの方法や注意点についてまとめてみました。
注意機能や遂行機能といった能力は、日常生活で様々な活動を行う上で必要不可欠な能力です。
TMT検査だけですべてを判断をつけることはできませんが、評価方法の一つとして作業療法士は身に着けておく必要があるでしょうね!!

作業療法士は語りたい!

さっきも少し触れたけど、
今後TMT検査は高齢者の自動車運転評価として使われていくだろうね!
高速道路を逆走した…なんて事故のニュース、結構聞きますからね。
高齢者の自動車運転の社会的な問題を考えると、
作業療法士が必要とされる場はもっと広がっていくのかもしれないね!