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次世代の作業療法士こそ『多動力』が必要になる6つの理由について

 

堀江貴文氏の新刊『多動力』を読みました。
非常に自分の考えに合っていたこと、そして今後の作業療法士にこそこの発想が重要なことと思い、発売と同時にすぐに読んだのでレビューしたいと思います。

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多動力とは?



「多動力」って聞きなれない言葉でしょうけど、これは“いくつもの異なることを同時にこなす力”のことを言います。
これからの時代、様々な産業が「水平分業型モデル」になるため、その結果ジャンルや業界といった“タテの壁”が無くなっていくこと、そのことによっていろんなことを同時にこなしていく…「多動力」が必要になってきます。

これはネットやスマホの普及、そしてIoT(Internet of Things =モノのインターネット)の普及に伴う社会の変化と言えます。

多動力のある人の特徴


まさに、ブルーハーツの『夢』の歌詞のような人が「多動力」の塊といえます!

いろんなことに興味があり、「あれもしたい、これもしたい」と様々なことに手を出し、一つのことに集中できない…。
落ち着きがなく、不注意で、結果多くの人にサポートしてもらっているような…いわゆる「厄介者」がこの多動力のある人の特徴と言えます(自分もそうです。笑)。

「いったいあの人は何がしたいんだろう?」
「あの人の肩書はなんのだろう?」

なんて言われるようになったら立派な「多動力」を持っている人です!
別の言い回しとしては『大量行動』なんてのもありますね!

多動力はマイナス?



多動という言葉は、ADHD(注意欠如・多動性障害)のイメージにつながるため、一般的にはマイナスな印象を持たれやすいです。
でも、これからの時代はこの「多動」という力が逆に強みになるということが、著書では言われていますし、自分もそう思っています。
決してマイナスではない、むしろメリットだらけのプラスの要素ということです!

作業療法士が多動力を必要とする理由



ここで医療職、リハビリセラピストとしての作業療法士(以下OT)にとって、これからこの『多動力』が必要になる理由をお話します。

OTは「生活」を支援する職業だから



OTは決して上肢を専門にするリハビリセラピストでもないし、精神や心理を扱うセラピストでもないと思っています。
OTは「生活」を支援するセラピストです。
クライアントの生活の質を向上するように支援することが“目的”であって、上肢の機能やADL動作、精神・心理、福祉用具といったカテゴリーはあくまで“手段”になります。

そしてこの「生活」は今の時代非常に多種多様です。
目の前のクライアントの生活歴や趣味、考えや生き方に至って同じ人はいません。

100%生活スタイルも価値観も自分と同じ…というクライアントはいるはずもありません。
しかし、OT自身が多種多様な興味を持ち、あちらこちらにアンテナを張っていることで、そのクライアントを理解する“入口”になることがあります。
この“入口”の種類と幅が狭いと、理解できるクライアントの幅も狭くなってしまう…ということです。

OTの基礎は広い人生経験からできている




前述の“入口の幅”にもつながることですが、OTはいろんな人生経験を基礎にしておく必要があります。
結局、他人を理解するためには自分の経験を基礎に照らし合わせるしか方法がないと思います。
その基礎が一辺倒で、狭い、単純なものだったら、どうしても相手を理解するために苦労をしてしまいます。
様々なことを「多動的」に行い、経験し、有益、無益関係ないほどの量のインプットをした上で、「相手を理解する」ことができると考えています。

生き残るOTは掛け合わせた知識が必要




OTが扱う領域は「生活」ということはお話しましたが、良くも悪くもその範囲は広いものになります。
そして今後も増え続けるOTの養成校と新卒OTの数を考えると、「どうやって生き残るか?」がテーマになってきます。
これはキャリアデザインにもつながる話ですが、自分の「強み」を作るためには「掛け算(レバレッジ)」の発想が重要です。
堀江氏の『多動力』では以下のように紹介されています。

1つのことに1万時間取り組めば誰でも「100人に1人」の人材にはなれる。
~中略~
ここで軸足を変えて、別の分野に1万時間取り組めば何が起きるか。
「100人に1人」×「100人に1人」の掛け算により、「1万人に1人」の人材になれる。
これだけでも貴重な人材だ。
引用:『多動力』

つまりOTの知識・技術に違う分野のものを掛け合わせる事で、そのOT自身の価値は何倍にも膨れ上がり、唯一無二の存在になれます。

ちなみに手前味噌ですが自分は、

①OT × 音楽関係(バンドマン・インディーズレーベル主催・ライブハウス経営)
②OT × アパレル(アクセサリー)ブランド経営
③OT × ウェブ、オンライン事業
④OT × 福祉情報技術コーディネーター1級
⑤OT × 釣り(アウトドア)
⑥OT × ナイトビジネス(ホスト)
など思いついただけでもOTのキャリアにこれだけレバレッジをかけれます。
もちろんこの掛け合わせでなにか事業を起こしたり、コンテンツをつくろうとすれば、「OTだけをしてきた人」よりも格段にスピーディーに行うことができます!
これは「多動力」の成し遂げた結果と言えます。
*ちなみにまだまだ増える予定です(笑)

OTはスペシャリストよりゼネラリストであること




OTの中には1つのジャンルに絞って、専門性を高めてキャリアを積んでいくタイプの方が多くいらっしゃいます。
もちろんその方法が悪いとは言いませんし、むしろ「理想」のキャリアデザインとも言えます。
でも、非常に「危うい」とも思います。
国家予算における医療費の軽減、医療の主な現場が病院から地域へ移行すること、介護予防の重要視、メンタルヘルスの重要視…といったOTが活躍できる場は多様性に富んできます。
そうなると今後のOTはセラピストとしての比重から、コーディネーター的な役割へ比重が偏ってくると考えられます。
こうなってしまうと、ある特定のジャンルのスペシャリストは「それしかわからない、できない」という扱いを受け、需要が低くなってくる可能性があります。
「自分は○○の専門家」というキャリアデザインはもちろんニッチ戦略としては重要ですが、その背景には広いジャンルの経験と知識が必要になってきます。

OTは100%の知識は邪魔になる




スペシャリストよりゼネラリスト…の項目につながりますが、そうなるとOTにとって100%の知識を身に着けておく必要がなくなってくるのではないか?と思います。
もちろん「無知でいい」「勉強しなくていい」というわけではありません。

100点満点の知識は逆に邪魔になる、ということです。

OTをはじめ、医療職の最終目的は「クライアントの生活改善」です。
自分の技術、知識の向上はそのための“手段”であって“目的”ではありません。

だからこそのチーム医療であると思います。

知らない知識は聞けばいい。
足りない技術は他の職種に任せればいい。

全部をOT自身で行う必要はありません。

ただ全く知識として自分にないのではヘルプを求めることもできなくなってしまいます。
案外80%程度の知識を幅広く養うことで、自然に他職種を頼ることになり、結果自然とチーム医療として歯車が回っていくのかもしれませんね!

OTこそタイムマネジメントが必要




OTを始め、医療職の人は基本忙しいです。
通常業務に加え、週末は勉強会、研修会に参加し、人によっては論文をジャーナル掲載するため必死で執筆、学会での発表なんてのもあります。
そこに家庭を持つとなおのこと時間が少なくなり、24時間が24時間ではなくなってしまいます。
非常にタイムマネジメントの能力を必要とするのです。
大量の仕事(タスク)をこなすためには、「速度」ではなく「リズム」と、この本でも言われています。
様々なことを同時に行って「多動力」を意識することでこのリズムも自然と養われていくことになります!

まとめ

いまだに様々なことに興味を持ち、多動的に手を出すことの社会的なイメージは悪い印象があります。
「一つのことに集中できない」
「いろんなことに手を出しすぎだ」
「まずは一個に絞って行うべきだ」
…そんな声は多く聞かれます。

自分も『作業療法がテーマのウェブマガジン“作業療法プレス”始めます。』で触れたように、様々な事業を興味と「面白そう」という理由から立ち上げてはつぶしての繰り返しを行ってきました。
でもこれらはすべて今のキャリアに繋がっていますし、自分の自信にもつながっています。
だから万が一、仮に明日腰痛を発症してOT生命が絶たれたとしても、「じゃあ次はこの仕事をしよう!」とすぐに切り替えることができます!
「一つに絞ること」は重要なことにも思えますが、視点を変えれば「リスクも伴うこと」という意識を持つ必要があります。
これからの作業療法士として、多く「求められる存在」になり確実に生き残るためには『多動力』という能力が必要になります!!!!

作業療法士は語りたい!

なんかいろんなOTの方からすっごいディスられそうな内容ですね(苦笑)
…うーん、そうだねー(苦笑)
でも、誰かがちょっと違った切り口でOTのキャリアのことや今後のことについて言わないと、
閉鎖的な業界だから、どんどん衰退していっちゃうと思うんだ。
OTの仕事が本当に好きだからこそ、って感じなんですけどね(笑)

【参考文献】
多動力 (NewsPicks Book)

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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